日本国召喚×不沈戦艦紀伊   作:明日をユメミル

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第41話

陥落したレイフォルから無事に脱出したランボールは息が切らしながら、ムー大陸の北の端を目指して走っていた。

 

 

「はぁ……はぁ………ここまで来れば」

 

 

何とか敵の目から逃れようと走り続け、休憩のためその場で立ち止まる。

 

 

「そう言えば」

 

 

ふと何かを思い出したランボールは懐から封筒を取り出した。それは第2艦隊へ作戦命令書を届けた時にアケイルからファンターレに託された手紙だった。

第2艦隊壊滅後にファンターレに渡す筈だったが、あれから色々と事態が進んだため渡すのを忘れていたのである。

 

 

「どうするべきか?」

 

 

振り替えると、遠目に炎に包まれたレイフォリアが見える。ランボールはもうラルスフィルマイナもファンターレも生きてはいないと思い、渡しそびれたこの手紙をどうするか考える。

 

 

「仕方無い」

 

 

そう言うと再び立ち上がり手紙をまた懐に仕舞うと、また走り出した。ひたすらに体力と息が続く限り走り続け、やがて北の端にある岬へとたどり着く。

断崖絶壁の崖の上から隠されていた縄梯子を垂らして、崖下の砂浜に降り立つと懐中電灯を点灯させ海に向かって点滅させる。

 

 

「来た!」

 

 

すると、沖合いの海上に1隻のハイドラ級潜水艦が浮上してきた。浮上すると艦内から乗員達が姿を表し、ゴムボートを使ってランボールが居る砂浜までやって来る。

 

 

「陸軍のランボール少佐ですね?」

 

「あぁ」

 

「お待ちしてました」

 

 

ランボールは乗員に促されるようにゴムボートに乗り込み砂浜を離れ潜水艦へと乗り込むと、足早に潜行し姿を消した。

 

 

 

 

 

 

レイフォル陥落から3日後、レイフォリアは国連軍によりグラ・バルカスからの占領から3年の時を経て解放された。

 

戦火に巻き込まれた住民達が不安な様子で後片付けをする中、ヒノマワリ王国から進出してきた部隊と司令部もレイフォリア入りを果たし、レイフォル内の帝国軍残存部隊への武装解除と大規模なゲリラ狩りが進められていく中、大内田ら国連軍司令部要員達は陥落したラルスフィルマイナへと訪れていた。

 

 

 

「これが例の化け物か」

 

 

 

基地の正門にモニュメントのような状態となっているルークスとワイルダーを見に来ていた大内田達。

今まで未確認情報だったグラ・バルカスの新兵器に国連軍には少なくない混乱と衝撃をもたらしていた。

 

 

 

「まさかこんな奥の手を隠し持っていたとは」

 

「しかしこのような怪物を作り上げるとは……帝国の底力には恐れ入るな」

 

 

 

パットンとゲオルグの2人はワイルダーとルークスのような戦車を実用化した帝国の技術力に戦慄する。

大内田とウォーレン、そしてムー本国から急いでやって来たマイラスの3人はルークスに直に触れたり、被弾孔から車内を覗き込んだりしながら観察をしている。

 

 

「中から遺体はもう運び出されたのか?」

 

「はい。殆ど原型を留めていませんでしたが、一人の遺体の衣服には階級章と士官用の物とおぼしき腕章が取り付けられていたのが確認されています。恐らくは高級将校か司令部要員かと。今、捕虜からの聞き取りを元に身元を調べています」

 

 

そんな会話の中、大内田はルークスとワイルダーを見て何かを思い出した。

 

 

 

 

「旧軍の5式とオイ車に似てるな」

 

 

 

大内田は旧陸軍が開発していた超重戦車オイ車と見た目が似ているルークスと、5式中戦車に似ているワイルダーを見ながらそう言った。

 

 

「少なくとも帝国の技術は大戦当時のアメリカと同レベルはあるとの分析だ。コイツらも全くの同一ではないだろう」

 

 

 

大内田とウォーレンがそんな話をしている中、マイラスら先進技術立証室の技術者達はノートとペンを片手にワイルダーを観察している。

 

 

 

「コイツはウチのラ・シャルマンと性能的にはドッコイと言った所だな。主砲の口径は75ミリの長砲身、足回りは従来のグラ・バルカス製戦車に見られるシーソー式……砲塔と車体は溶接構造で、砲塔には避弾経始が取り入れられているみたいだ」

 

「我々の視点で言えばコイツは中戦車に分類されますが、砲が2門搭載されているの見ると帝国軍はかつてのドイツが産み出したティーガー戦車のような拠点突破用の重戦車として使うのを想定していたのでしょうか?」

 

「いや、もしかしたら主砲の75ミリの装填の遅さを補うための補助的な物なのでは?あるいは歩兵用とか?」

 

「なら機銃で充分だろう?歩兵相手に砲を使うのは非効率的過ぎる」

 

「しかしコイツにはラ・シャルマンに比べてまだ技術的に甘い部分があります。特にこの装甲板の断面や表面仕上げには荒さが見られます。もしかして技術立証用の先行生産型の兵器ではないでしょうか?」

 

「成る程。だとしたら非効率的な小型砲の搭載や装甲板の仕上げの甘さが不足しているのにも説明がつく」

 

 

 

技術者として細かい所に目を付けるマイラス達のノートはワイルダー関連の事で瞬く間に1冊を使い果たした。

だがマイラスは懐からもう一冊のノートを取り出し、今度はルークスの観察を始める。

 

 

「ふむ……コイツは拠点防衛用か?」

 

 

マイラスは日本で入手した軍事専門の本や資料、更にはミリタリー系列の漫画作品でしか見た事がない本物の超重戦車に技術者としての血が騒いでいた。

 

 

 

 

「装甲と火力を極端に重視している点ではドイツの『ヤークトティーガー』と『マウス』に共通しているが、」

 

 

 

時間が過ぎていくのを忘れマイラスは技術吸収を行っていく。

 

 

 

 

 

 

 

 

続く




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