日本国召喚×不沈戦艦紀伊   作:明日をユメミル

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第49話

外洋の荒波を掻き分けながら、風神の涙と帆から受ける風力で20ノットの速度で航行する、元皇国海軍所属のパールネウス級戦列艦のネームシップ『パールネウス』は、帆にこの世界独特の海賊旗を掲げていた。

 

 

「ふむ………今日の取り引きは大掛かりだな」

 

 

パールネウスの元艦長で現在は船長となっている『ランデス』は、甲板に敷き詰められていた大量の木箱の中を見ていた。

蓋が空いていた木箱の中には鉢に植えられた観葉植物に似た植物が大量に詰め込まれていた。

 

 

「しかしこの量となると、億は行くな」

 

 

ランデスはこの植物を見て笑みが溢れる。この植物は観葉植物に見えるが観葉植物という生易しい物ではない。第3文明圏ではこの植物から生える実を加工して生成されるとある薬品が原因の犯罪が多発しており、国際的に栽培と売買が禁止されている違法植物である。

ランデス達が身を置いている海賊の拠点ではこの植物の大量栽培が行われており、売れば大金が手に入るため、貴重な財源となっている。

今回もランデスらは、この植物を販売予定のとある国の船との接触のため動いていたのである。

 

 

「船長、前方に船影を視認!」

 

「旗は?」

 

「確認します」

 

 

部下の船員が単眼鏡で見えてきた船のマストに掲げてある旗を確認する。

 

 

「確認しました。顧客の旗です」

 

「よし。丁重にお迎えしろ」

 

 

 

パールネウスはその場で帆を畳み停止すると、そのとある国の船はパールネウスに接近し、右舷に接舷する。

 

 

「ようこそ、お待ちしておりました」

 

 

とある国の船から一人の男がパールネウスへと乗り込んでくると、ランデスはそう言いながら出迎えた。

 

 

「うむ。早速だが品物を確認したい」

 

「えぇ。こちらです」

 

 

ランデスは近くに置いてあった箱の蓋を開けて中身を見せる。

 

 

「ふむ…………確かに確認した。では約束の物を渡そう」

 

 

そう言うと男は部下に大きな木製のケースを用意させ、蓋を開けて中を見せる。

中には細かく砕かれた大小の金塊がギッシリと詰まっており、ランデスはその金塊を手に取る。

 

 

「確認しました。ではお納めください」

 

 

ランデスは金塊を受け取ると、パールネウスの乗員達は甲板に置いてあった荷物をとある国の船に積み込んでいく。

 

 

「しかしこれ程の量を一体、何に使うんですか?」

 

「知れた事よ、これらを欲しがってる奴は大勢居る。金の成る実なら良い商売になるからな」

 

「成る程……では今後も我々をご贔屓に」

 

「無論だ」

 

 

積み込み作業は30分程で終わり、双方を繋いでいた縄が解かれる。

 

 

「さて、帰ろうか」

 

 

各々、商売を終えて帰ろうとしたその時…………

 

 

「船長、北の方角より船影を視認!凄い速度でこっちに向かってきます!」

 

「何だと!?」

 

 

ランデスは単眼鏡で向かってくる船を見た。その船はとんでもなく早い速度でこちらに向かってきており、小さなマストにはクワ・トイネ公国の旗が掲げられている。

 

 

「いかん!連中に捕まるのは不味い!早く離脱しなければ!」

 

「帆を下ろせ急ぐんだ!戦闘配置に就け!魔導銃をありったけ用意しろ!」

 

 

互いに慌てた様子で逃げる準備に入った。

 

 

 

 

 

 

 

 

「艇長、目標を視認!」

 

 

現場近くに到着した43-2号はパールネウスと、もう1隻の船を確認した。

 

 

「よし!確認する」

 

 

スーイは双眼鏡で2隻を確認する。

 

 

「1隻は確かにパールネウス級だな。もう1隻は何処の船だ?」

 

 

マストに視線を変えて旗を確認する。

 

 

「あれは……リーム王国旗じゃないか!」

 

 

そう、パールネウスと接触してきていたのはリーム王国の船だった。

 

 

「何故リームの船が………」

 

「分からん。取り敢えず臨検しよう」

 

 

43-2号は2隻へ接近し、拡声器を使い呼び掛けた。

 

 

「こちらクワ・トイネ公国海軍だ!貴船は我が国の排他的経済水域を侵犯している!直ちに帆を畳み、その場で停止せよ!これより臨検を実施する!」

 

 

スーイは2隻に接近する。乗員達は臨検に備えて武器庫からムー製の44式短機関銃を取り出し、不測の事態に備える。

 

 

「ん?」

 

 

パールネウスに100メートルの位置までやって来ると、パールネウスの右舷に備えられていた30門の魔導砲の砲門が開き砲身が43-2に向けられた。

 

 

「いかん……総員伏せろ!」

 

 

スーイは直感的に危機を感じて、乗員にそう指示すると床に伏せる。

その直後、多数の砲声が響き渡り、43-2の船体の回りに水柱が上がり、衝撃波が襲い掛かる。

 

 

「撃ってきた!撃ってきましたよ艇長!」

 

「撃ってくるって事は、やましい事をしてるって証拠だ!通信士、本部に報告!」

 

「了解!」

 

「操舵手、直ちに離脱!」

 

「了解!」

 

 

通信士が通信室へと走り、操舵手は舵輪を手にスロットルレバーを操作し艇をパールネウスから離脱させる。

しかし、その間にパールネウスの甲板から魔導銃を手にした乗員による銃撃も始まり、防弾が施されていない船体に小さな穴が開けられ、操縦室の防弾ガラスにヒビが入る。

 

 

「艇長!海軍本部より、護衛艦を向かわせるとの事で、本艇は自らの安全を最優先にしつつ相手を捕捉し続けよとの事です!」

 

「分かった、応戦するぞ!各員射撃用意!」

 

 

スーイの命令で2人の射撃手達はガエタン社製の12・7ミリ重機関銃と8ミリ機関銃をパールネウスに向けて射撃を開始する。曳光弾と徹甲弾と榴弾の順で放たれる12・7ミリ弾はパールネウスの船体に穴を開け、8ミリ弾は帆を引き裂いていく。

甲板で待機していた乗員も手にしていた44式に30連の箱型マガジンを装着してからパールネウスに向けて発砲した。魔導銃を持っていた乗員達が居る甲板に向け集中攻撃を行う。

 

 

「操縦手、奴の魔導砲の死角に入れ!」

 

「了解!」

 

 

スーイは魔導砲の射程距離外へ離れるのは困難と判断し死角となるパールネウス艦尾へと回り込むよう指示した。操縦手は舵輪を操作しながら、43-2号をパールネウスの艦尾へと移動させる。

さすがのパールネウスも斜角が狭い魔導砲の死角となる艦尾方向に付けられては攻撃手段は魔導銃のみに限られる。

 

 

「えぇい!何としてもあの小舟を沈めるのだ!」

 

 

パールネウスの乗員達は弓矢を持ってくると魔導銃が射撃出来ない装填中の間を埋めるため、矢を43-2号に向けて放つ。

 

 

「痛っ!」

 

 

降り注いだ矢が甲板に居た2名の乗員の肩と足に突き刺さった。

 

 

「クソ!」

 

 

何とか負傷を免れた別の乗員が二人を引き摺りながら、艇内へと収容する。

 

 

「喰らえぇぇぇぇぇ!!!」

 

 

12・7ミリ重機関銃の射撃手は甲板に居たパールネウスの乗員へ向けて射撃し、次々と倒していく。

 

 

「クソ!まだ援軍は来ないのか!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

続く




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