日本国召喚×不沈戦艦紀伊   作:明日をユメミル

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第50話

銃撃開始から30分が経過した。双方の銃撃による応酬は激化の一途をたどっており、お互い負傷者を出しながらも攻撃の手を緩める事は無かった。

 

 

「クソ!弾切れだ!」

 

「武器庫から弾持ってこい!」

 

 

43-2号の武器庫に収納されていた弾薬は既に7割を消費しており、何時弾切れを起こしても可笑しくはない状態だった。しかしパールネウスからの攻撃が激しいため、反撃しなければやられてしまう事は明白であり、弾数を気にしている暇は無かった。

 

 

「艇長!」

 

「どうした!」

 

「援軍が来ました!」

 

 

操縦室に居た見張り員が指差した方向を見ると、海軍本部からの命令で出撃してきた最新鋭のコーメ型護衛艦が見えてきた。

 

 

「助かった!」

 

 

スーイは操縦室のロッカーから信号拳銃を取り出し、上空に向けて1発の信号弾を打ち上げた。

 

 

 

 

 

 

 

「艦長!信号弾上がりました!」

 

 

空に打ち上げられた信号弾の光は、コーメ型護衛艦『コーメ』からも視認された。

 

 

「何発だ?」

 

「1発です!」

 

「1発は緊急を要するか…………総員戦闘配置!」

 

 

 

コーメの艦長である『チゴイ』中佐は総員戦闘配置を指示すると乗員達は各々の配置に就く。

 

 

「各部戦闘配置完了!」

 

「43-2号に待避するように指示せよ!対水上戦闘用意!」

 

 

コーメは発光信号で43-2号にその場から離れるように指示を出す。

すると43-2号はパールネウスから急いで離れ、それを確認したと同時にコーメの76ミリ単装速射砲と20ミリバルカン砲がパールネウスに向けられる。

 

 

「目標捕捉、射撃用意よし!」

 

「警告射撃3発、撃て!」

 

「撃て!」

 

 

艦首の76ミリ砲が連射で3発をパールネウスに向けて発射した。放たれた3発はパールネウスの左舷10メートルの位置に着弾し水柱をあげる。

 

 

「目標に動きは?」

 

「ありません!」

 

「接近する!ただし目標は捕捉し続けよ!」

 

「了解!」

 

 

射撃指揮装置に備えられている射撃レーダーを起動させ波で船体が揺れる中、砲塔要員達はパールネウスを捕捉し続ける。

 

 

「目標との距離200を切りました」

 

「敵の射程距離に入った。突発事態に備えよ!」

 

 

その時、パールネウスの右舷に備えられた15門の砲がコーメに向けて撃ってきた。

 

 

「衝撃に備え!」

 

 

直後、コーメの回りに砲弾が着弾し船体に衝撃が走る。

 

 

「被害は!」

 

「2発が舷側に命中!被害なし!」

 

「正当防衛!撃て!」

 

 

コーメに搭載されている20ミリバルカン砲はガエタン社がライセンス生産しているM61バルカン砲を、手動での使用を想定して発射速度を毎分500発まで落としている廉価版ではあるが、木造船相手ならその破壊力は抜群であった。

甲板に大量の薬莢が転がり落ち、2基のバルカン砲から放たれる20ミリ弾により木に薄い鉄板を張っただけのパールネウスは穴だらけとなり、乗組員達も20ミリ弾の直撃で体を粉々に吹き飛ばされていく。

 

 

 

「射撃やめ!」

 

 

 

チゴイの指示でバルカン砲を操作する射撃員達は引き金から指を外し射撃を終えた。6本の砲身からは発射熱による陽炎が立ち、発射口から硝煙が出ている。

2基のバルカン砲からの射撃を受けたパールネウスはマストが倒れ、艦橋などの上部構造物は穴だらけにされ、 浮かんでいるだけの状態となっていた。

 

 

「さて、お客さんに事情を聞かなくちゃな」

 

 

チゴイはその場から逃げようとしていたリーム王国の船に目線を向けると、拡声器のマイクを手に取る。

 

 

「こちらクワ・トイネ公国海軍第1艦隊所属、護衛艦コーメ。これより貴船を臨検する!逃げるなよ!」

 

 

コーメはリームの船が逃げないよう、76ミリ砲とバルカン砲を向けて釘を刺す。

 

 

 

「クソ!これでは我が国が………」

 

 

 

砲を向けられていたリーム船の船長はどうしようか迷っていた。

 

 

(降伏するか国へ戻るか…………だが国へ帰れば口封じで確実に消されてしまうし、クワ・トイネに降伏したとしても強制送還されてしまう可能性がある…………)

 

 

船長はクワ・トイネに降伏するか、国へ戻るか決断を迫られる。

そして、船長はある一計を案じた。

 

 

(こうなれば亡命だ…………クワ・トイネに亡命すれば少なくとも死ぬ事はない)

 

 

船長はその場で降伏を決意しコーメからの臨検に応じると同時に、クワ・トイネへの亡命の意思を示した。

 

 

 

 

 

この事件は後に『ロデニウス大陸沖不審船事件』と呼ばれ、リーム王国と海賊との間に繋がりがある可能性が浮上し、リーム王国側は窮地に立たされる事となり、海賊との繋がりに関する調査が開始される事になったのは別の話であった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

続く




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