日本国召喚×不沈戦艦紀伊   作:明日をユメミル

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第57話

今回は、先に紹介したロデニウス大陸に存在する3つの国のうちの2つを紹介したが、続いては3つめの国となるロウリア民国へと目を向けていこうと思う。

 

 

クワトイネとクイラの2か国が軍の近代化を早急に進めている中、かつてロデニウス大陸最大の国家であったロウリア民国でも前述の2か国に続いて軍の近代化に着手していた。

しかしロウリア民国は過去のロウリア王国時代の亜人排斥政策と5年前の1639年に起きた戦争に敗北後に一時的な南北分断、更には2年前のロウリア人民共和国がロウリア民国へと侵攻したロウリア戦争により兵力と国力は疲弊していた。

 

1639年以降、一気に軍縮へと進んだ旧ロウリア王国軍を再編したロウリア民国軍は、ロウリア戦争の時点では旧王国軍が保有していた戦力の5割程度しか保有しておらず、戦争後の内部諸侯問題や賠償問題による混乱により武器も圧倒的に不足していた。

そんな中で起きたロウリア戦争に於いて、ロウリア民国は戦いの主導権を国連軍に頼らざる得ない状態で、もっぱら国連軍の後方支援に徹していた。

 

戦争後、自国の有事を他国に任せきりという醜態を晒したロウリア民国の上層部は早急に軍の再編と近代化を行わなければならないという結論に達し、前述の2か国に続くように軍の再編、近代化に向けて動き出した。

しかし2度の戦争によりロウリア民国の財政は非常に苦しい状態で、日本や合衆国とムーの企業進出を受け入れ、有り余る程の土地の売却に関するセールス、更には日本と新生合衆国が他国への貿易を行うためのハブ港として貿易品を保管する大倉庫地帯のために貸し出ししている土地代による収入で多少は儲けているとはいえ、クワトイネやクイラのように土地以外に目立った輸出品も特産品もないロウリア民国の懐事情は厳しかった。

そんな中で行われる軍の近代化強行は、2度の戦争で醜態を晒してしまった事へ対する他国から自国へ対する評価や政治的な問題をどうにかして改めさせる必要に駆られる一種の脅迫概念によるものであった。

 

 

軍の近代化と再編於いて必要とされた戦略について、それまで使われてきた従来の戦略である他国への侵攻と遠征能力を想定した戦略を廃し、他国からの侵攻に備えた国土防衛を中心とした戦略へとシフトした事から、広い国土を持つロウリア民国全土を完全にカバーできる事が前提とされた。

防衛戦に於いてこれまでの戦争の経験から制海権と制空権の維持が新しい戦略に最も適しているとされ、海上戦力と航空戦力の強化が最優先という結論が出された。

 

 

そこでロウリア民国は先ず、空の守りを固めるべく旧ロウリア軍竜騎士隊に代わり新設されたロウリア民国航空軍の整備を急いだ。

 

 

 

ロウリア民国航空軍ビールズ基地………

 

 

「各機、フォーメーションを組め!」

 

 

 

内陸にあるビールズ地方にあるビールズ基地上空を空冷星形エンジンから発せられる強力なエンジン音を奏でているのは、ムーのかつての主力戦闘機であったマリンであった。胴体と主翼にはロウリア民国の国章が描かれており、操縦席に座り操縦桿を握っているのは元竜騎士や志願してやって来たロウリア民国航空軍のロウリア人パイロット候補生達である。

現在、パイロット養成の拠点となっているビールズ基地にはロウリア人パイロット140名がムーからやって来たムー人教官数十名からの訓練を受けている。

 

 

この日は元竜騎士経験がある者と志願兵の2つのグループ分かれて、ムー人教官の監督の元、訓練が行われていた。

 

 

『1番機!フォーメーション指示の合図が遅すぎる!そんなモタモタした指示じゃ皆が合わせられん!』

 

「はい!」

 

『6番機と8番機は旋回が遅い!もっと思い切りスロットルを上げろ!!』

 

『2、3、4、5番機は互いの距離が狭すぎる!接触するぞ!!』

 

 

 

無線機越しに志願兵で編成された第1班のロウリア人パイロット達にムー人教官からの怒号が響く。元々、ド素人の集まりである第1班は空戦どころかワイバーンの搭乗経験も無いため、スキルはまだ低い状態にある。

 

 

 

対する元竜騎士で編成された第2班は、第1班よりも一歩先に進んだ基礎空戦訓練を行っている。

 

 

「うぉぉぉ!負けるかぁぁぁ!!」

 

「まだまだぁ!!!」

 

 

流石に航空機の操縦経験以外では高い空戦技能を持つ第2班は激しい空中戦を展開している。

 

 

『よし、その態勢を維持し続けろ!マリンの旋回能力を生かすんだ!』

 

『機銃の残弾も考えるんだ!下手に撃ち続けると、足元を掬われるぞ!』

 

 

 

地上で監督しているムー人教官らも第2班には強い信頼を置いている様子で、1班を指導している教官達とは違い、それ程大きな怒号は飛ばしてはいない。

 

 

 

その日の午前の時間を使って行われた空戦訓練は2班の全勝で終わった。

 

 

昼食と休憩を挟んで午後からは初の実弾を使用した対地攻撃訓練が始まった。

標的は滑走路の端にある空き地に設けられた標的に向けて機銃で撃つ射撃訓練が行われる。今回は初の実弾射撃という事もあり、標的に命中した弾数によって勝敗の判定が行われる。

 

 

「1班、攻撃コースへと侵入」

 

 

先に仕掛ける第1班のマリンが低空飛行で攻撃コースへと侵入してきた。

パイロット達は照準器を標的に合わせ、タイミングを見計らって引き金を引いた。

 

 

ドドドドドドドドドド!!!!

 

 

 

機銃から放たれた銃弾は標的に降り注ぎ、射撃を終えた1班のマリンは上昇して上空待機に入った。

 

 

「続けて第2班、攻撃コースへ侵入」

 

 

 

第2班のマリンが1班と同じ超低空飛行で侵入してきた。そして一斉に機銃攻撃を行い上昇していく。

 

 

 

訓練終了後、早速射撃評定が行われる。

 

 

 

「只今の射撃訓練、1班命中弾58、2班命中弾64、よって2班の勝利とする!」

 

 

僅差で2班が勝利となった。

 

 

「また負けたぁぁ!」

 

「いい線行ったと思ったのにな~」

 

 

負けた1班のパイロット達は僅差で敗北してしまい少し落ち込んでいた。

 

 

「なら、今度は負けないように訓練するだけだ!何時までの2班の連中の好きにさせてたまるか!」

 

 

血の気の多い1班の班長が皆にそう言い聞かせ、訓練による技量向上を目指そうとする一方で、2班のパイロット達は今回の判定について互いに意見を交換しあいながら、更なる技量向上を目指している。

 

 

 

ロウリア民国航空軍の未来は果たしてどうなるのかは、まだこの時点では誰にもわからなかった。

 

 

 

 

続く

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