日本国召喚×不沈戦艦紀伊   作:明日をユメミル

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第60話

壁を越えて中に入り目に飛び込んできたのは、ビルや一戸建ての家屋等様々な建物を模した建築物と訓練用のグラウンドが規則的に配置されている光景だった。

ルミエス達はそのままその奥へと進み、真上から見ればカタカナの『コ』の字の形をした大きなコンクリート製の建物へと向かう。

 

 

「陛下、こちらが本部となります」

 

 

その建物は4階建てのコンクリートで出来た建物だった。白一色で塗装された建物のコの字の凹みの部分に位置する正面玄関には自動ドアが設けられている。ドアに使用されているガラスは白く濁った曇りガラスが使われており、建物の中の様子を伺う事は出来ない。

正門の2枚の曇りガラスが左右にスライドする。その奥から黒一色の戦闘服とアルタラス王国の国章が縫い付けられた黒いベレー帽を被った一人の軍人が現れた。

 

 

 

「陛下、お待ちしておりました」

 

「出迎え、ご苦労様です。大佐」

 

 

大佐と呼ばれたこの男は南エリア全体を取り仕切る責任者であり、南エリアに隠れるようにしている例の部隊の指揮官でもあった。

 

 

「本日は我が409部隊のご視察、大変光栄でございます」

 

 

 

 

 

『409部隊』

 

 

それが彼等の部隊名である。

彼等は現在のアルタラス王国政府でもごく限られた者しか関知していない機密部隊であり、存在自体も厳重な機密管理体制下により守られている。非公認部隊のため正式名が付けられておらず、409部隊と言う部隊名も便宜的に付けられた名称である。

 

この部隊はフィルアデス戦争で皇国軍相手に抵抗していた地下抵抗組織の中の地方出身の軍人や民間人義勇兵で編成されていたゲリラ部隊を祖としている。戦後、再編されたアルタラス王国軍に組み込まれる形となった彼等は、王国政府がフィルアデス戦争で皇国の首脳部を制圧した日米の特殊部隊の存在に、自国にも特殊部隊が必要だと認識した事から、戦後直ぐに選抜された義勇兵達を日本へと留学させ、そこから2年間の間、ムーの第22空挺連隊と合同で陸上自衛隊の第1空挺団と海上自衛隊の特別警備隊、新生合衆国軍特殊作戦コマンドの指導のもと厳しい訓練を受けている。

 

彼等の任務は主に対ゲリラ戦や敵地への潜入偵察、破壊工作、空挺作で、彼等は陸海空と戦う場所を選ばず如何なる状況でもアルタラス王国全土を行動できる様に徹底して訓練されており、王国軍で唯一の水陸両用作戦が可能な部隊でもある。

 

部隊は大隊規模で編成されており、戦闘任務を担当する第1から第4までの戦闘小隊を中心に総務、補給、情報、計画の4つの部門がある。

戦闘小隊は各々に得意分野を生かして役割分担されており、第1小隊はパラシュートを使った空中潜入や攻撃作戦を行う空挺任務、第2小隊はスキューバダイビングにより水路と海路から敵地への潜入と攻撃、第3小隊が都市部を中心とした市街地戦、第4小隊は山岳地帯での戦闘任務を中心としており、隊員は各小隊に各々得意な分野毎に配属されている。

 

 

 

「それでは陛下、ご案内致します」

 

 

指揮官の案内でルミエス達は本部棟に入る。

正門から入ると、万が一に敵対勢力による基地制圧を防ぐために敢えて入り組んだ間取りで作られた廊下を歩き回り、棟の一番東にある地下への入り口前にたどり着く。

 

 

「此処から先が我々の訓練場となっています」

 

 

地下へ向かう階段をゆっくりと降りていく。

コツコツとコンクリートで出来た階段を叩く靴音が響き、螺旋階段を降りていくと、地下最下層へと到着した。

指揮官はIDカードをスキャンさせ訓練場へ入る入り口を開ける。

 

 

「どうぞ」

 

 

開かれたドアを潜って中に入ると、そこには地下とは思えない程の広い空間が広がり、ビルを模したコンクリート製の建物、建物内を閲覧出来るモニター、空間を真上から見るための応援席のような監督所があった。

 

 

「総員集合!」

 

 

指揮官が声を張り上げてそう言うと、ビルの屋上からロープが垂らされて、10人程の人間が姿を表した。

彼等は屋上でロープをベルトに引っ掛けると、同時にそこからロープ伝いにラペリング降下で1階へと降り立った。

 

 

「小隊集合!」

 

 

降り立つと同時に彼等はルミエス達の前に横一列で整列した。

 

 

「陛下、彼等が我が部隊の精鋭です」

 

 

ルミエスの目の前に直立不動で立つ409部隊の隊員は、全身を黒一色の戦闘装備を身に纏っている。黒の戦闘服の上には上半身を守る黒のボディーアーマー、手には44式短機関銃、片足の太ももにはレッグホルスターが装着され43式自動拳銃が収められている。頭には黒一色に塗装された42式戦闘鉄帽、そして彼等の顔面を完全に覆い尽くす目の部分にだけ開けられた穴と鼻の部分が緩やかに出っ張ったシンプルなデザインの黒く重厚なマスクが装着されている。

顔を隠しているマスクの奥にある彼等の表情を伺い知る事は出来ず、しかもシンプルなデザインのマスクに、直立不動で姿勢を崩さない姿と相まって大きな威圧感を放つ。

 

 

「彼等は第3小隊の者です。第3小隊は市街地戦に精通しております」

 

 

前述の通り、409部隊の第3小隊は市街地戦闘を主にしており、障害物の多い市街地戦闘や屋内戦闘に於いて、彼等は高い能力を発揮し、ルミエス達の目の前に現れた時のようにラペリング降下は彼等の必須スキルの1つである。

 

 

「それでは第3小隊による訓練検閲を実施いたします」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

続く




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