日本国召喚×不沈戦艦紀伊   作:明日をユメミル

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第65話

グラ・バルカス帝国本土の最西端に位置する軍港都市『ヨルムン』という場所がある。此処は帝国海軍発祥の地と言われ、建国当時から存在する歴史ある場所である。

 

現在は、第2文明圏と第3文明圏と面するラグナ港に帝国海軍の総司令部が移っており、主力艦艇の大半はそちらに移っている。そのため港には2世代も3世代前の旧式艦や練習艦などしか居ない。

そんなヨルムン港にも帝国海軍最大と言われている潜水艦隊基地が存在する。

基地や、港に停泊している潜水艦も防諜の観点から海軍憲兵隊と陸戦隊による厳重な警備が敷かれている。

 

 

 

 

ウゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥ~!!!!!

 

 

 

ある日の午後、ヨルムン港と隣接する町全体にサイレンが鳴り響く。

それを聞いた瞬間、町の人達は近くの建物や防空壕の中へと飛び込んでいく。

 

 

 

『空襲警報!空襲警報!直ちに避難せよ!直ちに避難せよ!』

 

 

 

街中を憲兵の車が走り回り、拡声器で住民達にそう呼び掛ける。しかし空を見ても航空機の姿はなく、陸軍の防空部隊も全く動いている様子はない。

これはヨルムンでは此処最近恒例になりつつある、防空訓練であり、敵国の航空機による都市攻撃を想定したもので、ヨルムン駐留の陸海軍が主導で行う訓練であるが、それは表向きである。

この訓練の実態は、ヨルムン港に停泊している潜水艦部隊の出港、訓練の様子を見せないようにするための偽装工作であり、市民達が防空壕に入ったのを確認した憲兵隊が海軍陸戦隊を通じて基地に報告の後、港で待機していた潜水艦が出港していくのである。

 

 

 

「出港用意!!!」

 

 

街中にサイレンが鳴り響く中、潜水艦用の港からシータス級、ハイドラ級潜水艦が次々と出港していく。

岸壁から離れ水深が深い位置に達すると、各艦は次々と潜航していき、訓練が行われる沖合いの海域へと向かう。

 

 

第1潜水艦隊旗艦シータス級2番艦『ディフダ』と3番艦『バテン・カイトス』は6隻のハイドラ級潜水艦に守られながら、航行していた。

グラ・バルカス帝国海軍潜水艦隊は航空機を搭載するシータス級1隻を3隻のハイドラ級が護衛し、敵の最前線基地の偵察や爆撃を行う航空作戦、ハイドラ級のみで編成された小規模な部隊による潜水艦が得意とする通商破壊戦を行う戦略がとられている。

 

今のこの編成は前者であり、今は第1と第2潜水隊の2個の潜水隊が纏まっている状態なのである。

 

 

「隊司令、間も無く時間です」

 

「よし。タンク排水、上げ舵5、浮上」

 

「タンク排水、上げ舵5、浮上」

 

 

第1潜水隊旗艦のディフダはその場で浮上を掛ける。艦首を5度上げてゆっくりと海面に向かう。

 

 

「3、2、1」

 

 

カウントダウンの後、ディフダは海面に浮上した。

ディフダが浮上したと同時に第1潜水隊のハイドラ級3隻と第2潜水隊が浮上し海面に姿を表した。

 

 

「航空機発艦作業開始!」

 

「各艦は全周警戒!」

 

 

浮上後直ぐに、乗員達が艦内からハッチを開けて甲板に出ると対空機銃座と高射砲座に着き、周囲を警戒する。その間にディフダとバテン・カイトスの航空機格納筒の大型ハッチが開かれ、格納されていたシータス級の搭載機として開発された水上攻撃機『アクルックス』が姿を表した。

 

この機体はつい最近正式採用されたばかりの機体で、液冷エンジンが収められた尖った機首、後ろに折り畳まれた主翼、左右主翼下のフロートが特徴で機体の性能と見た目は旧日本海軍の水上攻撃機『晴嵐』そのものである。

機体自体は転移前からカルスライン社とゲールズ社の2企業で開発が進められ、アンタレスを改造したカルスライン社案とシータス級での運用に特化した新規設計のゲールズ社案との競合の結果、ゲールズ社の新規設計案が採用され、アクルックスとして正式に採用された経緯がある。

 

 

格納筒から引き出されたアクルックスの折り畳まれた主翼が広げられ、フロートが取り付けられる。

 

 

「フロート固定確認!」

 

「エンジン始動!」

 

 

作業員の合図でアクルックスのパイロットがエンジンを始動させる。エンジンが始動するとプロペラが回転を始め、強烈な風圧により周囲の海水が巻き上げられる。

 

 

「カタパルト空気圧正常!射出問題なし!」

 

「甲板作業員は待避!」

 

 

空気式カタパルトの空気圧が正常値を示し、いよいよ発艦に入る。

 

 

「作業員待避確認!」

 

「カタパルト射出秒読みはじめ!」

 

 

カタパルト射出の秒読みが開始させる。

担当員がカタパルトの射出ボタンを片手に、腕時計の秒針を読み上げる。

 

 

「6、5、4、3………発進!」

 

 

射出ボタンを押すと同時に、機体を固定していた固定具が空気圧で勢いよく押し出しされ、アクルックスは飛び上がった。

 

 

「発艦確認!」

 

「2号機、発艦準備に掛かれ!」

 

 

最初の機体が飛び立ったのを確認したと同時に次の機体の発艦作業を開始する。

飛び立った最初の2機が次の機体が飛び立つまでの間、上空を低空で旋回しながら待機する。そして次々と機体が飛び立ち、最終的に6機のアクルックスが揃う。

 

 

「急速潜航!深度100に付け!」

 

 

アクルックスを排出した潜水隊は逃げるように、急いで海中へと潜っていき、海面から姿を消した。

 

 

 

「艦隊潜航確認!指揮官機より各機に告げる!このまま低空飛行で目標に向かう!」

 

 

 

アクルックスの飛行部隊は低空飛行に入ると、訓練海域に向かっていった。

 

 

 

続く




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