日本国召喚×不沈戦艦紀伊   作:明日をユメミル

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第68話

訓練を開始した実験隊はナイトストーカーズが作成した、訓練プログラムの一番最初の訓練である超低空飛行訓練を行う。一口に超低空飛行訓練と言うが、ヘリコプターも航空機も超低空飛行訓練はとんでもなく難しいところがある。

 

 

「揺れるな」

 

「いつも事ながら、この訓練は心臓に良くないな」

 

 

ヘリコプターも航空機も超低空飛行を行うと、地面効果という現象で下向きに流れる空気が地面に当たると跳ね返り、機体のコントロールが難しくなるのである。実験隊のパイロットは低空飛行訓練を受けてはいるものの、やはり墜落してしまうかもしれないという恐怖感と緊張感から汗をかく。

監督役のナイトストーカーズのパイロット達は訓練でも実戦でも特殊部隊を迅速に尚且つ隠密に輸送する超低空飛行が多いため、実験隊の目の前でも余裕の表情で機体を完璧にコントロールする。

 

 

『3番機、速度が落ちてるぞ!そのままだと墜落するぞ!慌てずゆっくりと速度を上げて、一定の高度を保ち続けろ!』

 

『了解!』

 

『6番機、速度が速すぎる!もう少し速度を落とせ!』

 

『了解!』

 

『1番機と2番機、5番機はその調子で速度と高度を維持し続けろ!』

 

『『『了解!』』』

 

 

ナイトストーカーズのパイロット達も操縦しながら実験隊に指導を行う。

実験隊は彼等の厳しい指導になんとか齧りつきながら追い付こうと必死で、指導された事を慎重に行動へと移していく。

 

 

『よし、 上出来だ』

 

 

一連の訓練を終えた実験隊に、ナイトストーカーズは次の訓練に入る。

 

 

『次は友軍負傷者の緊急搬送訓練だ』

 

 

次なる訓練は前線で負傷した友軍兵士を回収する訓練である。前の世界でも史実通り朝鮮戦争時に初めてヘリコプター投入された際のヘリコプターの仕事は負傷した兵士の回収と搬送が主で、この事からヘリコプターの軍事利用が認識された事により、後のベトナム戦争でもアメリカ軍は多数のヘリコプターを積極的に投入している。

ヘリコプターの軍事利用に於いてこの訓練は非常に重要でり、もしこれを完璧にこなす事が出来れば軍事面はもとより、軍事以外の分野でもヘリコプターの有用性が活かす事が出来る。

実験隊のパイロット達もヘリコプターの可能性をしっかりと認識しているため、こういった訓練に対しては非常に積極的であり、ナイトストーカーズから緊急搬送訓練を聞かされると直ぐに指定された場所へと向かう。

 

 

 

『見えた!』

 

 

 

訓練場へ到着すると、そこには開けた場所があり、そこには負傷者役の陸軍兵が待機していた。

 

 

『確かに、あんな所へは着陸できないな』

 

 

今回の緊急搬送訓練はヘリコプターが着陸できない状況を想定し、ホバリング状態で負傷者をロープを使って救出する訓練である。

負傷者役が居るその地点はヘリコプターが着陸できるスペースがなく、地面には大小の岩があり、今回のような訓練には最適な場所である。

 

 

 

『先ずは手本を見せる。しっかり見ておけ』

 

 

監督役のナイトストーカーズ所属のブラックホークが手本を見せるため先に訓練に入った。

アメリカ軍最強のヘリコプター部隊と言われているだけあり、パイロットは機体を慎重に近づけ負傷者役の真上でしっかりとホバリングさせる。

キャビンドアが開かれると、空軍特殊部隊パラレスキューの隊員がロープを使って素早く降下すると、負傷者の容態を確認してから担架に負傷者を移して体を固定させ、ヘリから降りてきているロープに担架を引っ掛けるて、そのままヘリに向かって引き上げられていき共に収容された。

 

 

『すげぇ。いつ見ても感動するな』

 

『俺達もあんな風に出来るようになるかな?』

 

 

実験隊は彼等の手際に感動しつつ、自分たちも同じような事が問題なく出来るように努力しなければと自覚する。

 

 

『本日は貴官達にも実践してもらう。先ずは1番機』

 

『了解!』

 

 

先ずはラ・ソチカー1番機が作業に取り掛かる。

 

 

『落ち着け、訓練通りにやればいい』

 

『はい』

 

 

アドバイザーとして乗り込んでいたナイトストーカーズのパイロットに見守られながら1番機のパイロットは負傷役の目の前で機体をホバリングさせる。

 

 

「降下用意!」

 

 

合衆国空軍特殊作戦コマンドで訓練を受けているムー空軍内に創設された統括空軍特殊作戦コマンド隷下の『特殊救難部隊』の隊員達がホイストに繋がれたロープを降ろす。

 

 

「降下!」

 

 

合図と共に特殊救難隊員達はラ・ソチカーから降下していく。

降り立つと同時に、これまでの訓練通りに負傷者の容態確認を行った後、担架に負傷者を乗せて体を固定、ロープと繋ぎ救助ホイストが引き上げていく。

 

 

『1番機、8分!遅い!あと3分は時間を縮めれる筈だ!』

 

『了解!』

 

『よし!2番機、スタンバイ!』

 

 

ムーのヘリパイロットと空軍特殊救難部隊の訓練はまだ佳境に突入したが、まだ前途多難な様子であった。

 

 

 

 

 

 

場面は変わり、新生合衆国本島東海岸。

 

 

此処には合衆国海兵隊東部エリア担当の部隊が駐留する『キャンプ・イーストリバー』基地がある。

この基地を含めた東西南北の基地には沖縄に駐留していた海兵隊第3海兵遠征軍を4つに分け、それぞれの基地で連隊規模で駐留しており、この基地には第3海兵連隊が駐屯していた。

 

 

この日、東海岸沖には海軍の揚陸艦ニューオリンズとミサイル駆逐艦2隻、ムー海軍の新型空母『ラ・カギーア』と『ラ・カーガ』、新型の『ラ・ゼミネーカ』級駆逐艦6隻が展開していた。

 

ニューオリンズの艦内に設けられた車両甲板には、戦闘迷彩服に身を包んだ完全武装のムー兵と、少人数の第3海兵連隊の隊員達が集合していた。

 

 

 

「良いか!この訓練が我が国にとって初となる本格的な上陸訓練となる!この訓練の成果によって我々、海上歩兵団は晴れて海兵隊と成り得る!」

 

 

彼等の目の前でそう話すのは、ムーで初となる水陸両用作戦部隊『海上歩兵団』の団長を勤めるヴァンデクリフト中将である。

 

この訓練はムーにおける海兵隊構想により創設された海兵隊編成準備部隊である海上歩兵団の最終訓練プログラムであり、前世界で世界最強と謳われている合衆国海兵隊から上陸作戦に関する様々な訓練を受けた海上歩兵団にとっては今後の海兵隊創設に向けた地盤作りを兼ねている。

この訓練の結果によっては海上歩兵団の存在意義や海兵隊構想を大きく左右されるとあり、ヴァンデクリフトと海上歩兵団の兵士達の気合いはとてつもない程に高かった。

 

 

「間も無く時間であるため、最後に皆に言わせてもらう事がある………………海兵としてムー国民の模範となり、恥じぬ生き方と誇りを持て!!」

 

「「「「「「「「了解!!」」」」」」」」」」

 

 

 

ヴァンデクリフトの言葉に海上歩兵団の兵士達は息を合わせて答える。

演説が終わると直ぐに海上歩兵団の兵士達は装備を整え、海兵隊のAAV7に乗り込んでいく。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

続く




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