日本国召喚×不沈戦艦紀伊   作:明日をユメミル

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第73話

グリーンベレーとヘリコプター部隊による夜襲から3時間が経過した午前5時59分。

東の空から朝日が上り、辺りが明るくなって1日が始まる直前、海上歩兵団本陣では本隊が出撃準備を整えていた。

 

 

「中将、間も無く時間です」

 

「秒読み開始」

 

 

指揮通信車内で秒読みが開始される。

 

 

「10秒前、9、8、7、6、5、4、3、2、1、0」

 

 

秒針が12を差し、午前6時となった。

 

 

「作戦開始!」

 

 

その合図と同時に海上歩兵団本陣から部隊が次々と出発していく。彼らが目指すのは目標である演習場内の人工都市。

 

 

 

「先行の偵察隊からの報告は?」

 

「はい。既に敵は街一帯に強固な防衛陣地を構築しており、制圧目標の中央庁舎へ到達するまでに4つの防衛線が張られています」

 

「各防衛線の敵戦力は?」

 

「第1から第3までの防衛線には歩兵を中心とした部隊が、最後の防衛線には装甲戦力が集中しています」

 

「市街地戦は免れないか………市街地突入後は歩兵を前衛に出し、戦車は歩兵の後方支援に徹するように指示を。そして、戦闘員と非戦闘員をしっかり見分けるように厳命!」

 

「了解!」

 

 

ヴァンデクリフトの指示に従い、部隊は歩兵を前衛に立て、戦車を中心とした装甲部隊は歩兵支援のため後方に下がった。

前衛に立った歩兵部隊は42式装甲車に乗り込み、その前方と後方をを43式軽装甲車に乗り込んだ歩兵分隊が固めながら市街地に突入した。

 

 

「静かだな」

 

 

43式のルーフにあるガエタン重機銃手の一人がそう呟いた。

アスファルトで舗装された道路をゆっくりと進んでいく中、特にこれといった反応は見られず、回りの建物の窓越しに非戦闘員役達からの視線が向けられる。

 

 

「気を付けろ。何処から仕掛けてくるか分からないんだから」

 

「了解」

 

 

銃座を左右に向けながら周囲を警戒する。一応、自衛隊の軽装甲機動車の国際派遣仕様のように射撃手を守るための防弾シールドが取り付けられているが、何処から銃弾が飛んでくるか分からないため、気は抜けない。

 

 

 

暫く市街地を進んでいると、道が広くなり部隊は大通り手前へと差し掛かる。車列はそこで停止した。

 

 

「周囲を警戒!」

 

 

大通りは道が広くなっている分、敵からも視認されやすいため、部隊はここで周囲の偵察のため、歩兵分隊を使い周囲の警戒を開始した。

装甲車から降りた各歩兵分隊は周囲の建物を一つずつ、隈無く捜索していく。勿論、建物内での不意の遭遇戦に備えて彼等は合衆国海兵隊からCQB訓練を受けており、狭い建物内でも取り回しし易いように各分隊には2名の44式短機関銃を装備した兵士が配置されている。市街地戦に慣れている海兵隊からの訓練を受けた各分隊の動きは素早く、建物内に入ると部屋を次々と押さえていく。

 

そして、5階建てのビルを制圧した1個分隊が屋上に上がった。

 

 

「よし。ここなら辺りが見えやすいぞ」

 

 

「気を付けろ。何処かにスナイパーが居るかもしれん」

 

「了解」

 

 

スナイパーを警戒し、屋上の壁に開いている小さい隙間や穴から双眼鏡を押し込み、大通りの向こうの第1防衛線の様子を観察する。

 

 

「いるいる。結構、厳重そうですね」

 

「下手に大通りに飛び出してたら今頃蜂の巣だな」

 

 

大通りを出て北へ向けて3キロ先に、最初の第1防衛線が見える。大通りを封鎖するように土嚢が大量に積み上げられ、様々な廃材やタイヤが置かれ、強行突破が出来ないようにされている。それらの隙間には銃眼があり、そこから小銃と軽機関銃の銃口が大通りを向いている。

 

 

「こりゃ突破は難しいな……」

 

「どうする?」

 

「考えがある。無線を小隊長に」

 

「了解」

 

 

分隊長は自身が所属する小隊の小隊長に自身の作戦を伝え、小隊長は中隊長へと、中隊長は大隊長へと許可を求め、許可が出ると作戦が直ちに実行に移された。

 

 

「迫撃砲を用意だ!」

 

 

海上歩兵団の歩兵を中心に編成されている基幹部隊である海兵連隊内には味方を砲火力で支援する迫撃砲小隊が編成されている。迫撃砲小隊にはそれぞれ小型の60ミリ、大型の105ミリの迫撃砲が配備されており、60ミリ迫撃砲を装備する軽迫撃砲分隊が制圧したビルと建物の屋上から、105ミリ迫撃砲を装備する重迫撃砲分隊は後方から第1防衛線へと砲撃を行う準備を開始した。

 

 

「迫撃砲小隊、射撃用意完了!」

 

「砲撃開始!」

 

 

合図と共に迫撃砲の装填手が迫撃砲の砲口から砲弾を内部へと落とすように装填し、直後に砲弾が勢い良く撃ち出された。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

続く

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