ゲリラ戦に持ち込まれて、立ち往生していた地上部隊は空中からの誘導指示に従い、部隊を散開させ比較的安全なルートを辿っていた。
司令部は敵側の最終防衛ライン攻略のため当初の作戦を変更し、市街地に突入していた第1、第2、第3までの3つの海兵連隊をそれぞれ前方、左右側面から仕掛ける三方向からの包囲攻撃を仕掛ける作戦に切り替え、空中からヘリコプターによる地上部隊誘導を開始していた。
『大佐、そこから二ブロック先にある交差点を左折した後、三ブロック程進め』
「了解!」
誘導指示を受けながら市街地を進んでいる、第1海兵連隊連隊長『エコー・マイク』大佐は、軽装甲車内の無線マイクを片手に運転手に指示を出す。
「軍曹!二ブロック先の交差点を左に曲がれ!!そこから三ブロック直進!」
「了解!!」
怒声に近い指示に運転手は萎縮しながらもステアリングを握りながら運転に集中する。
彼が乗り込む軽装甲車を先頭にした車両部隊が走行しているエリアは車両が余裕で通れる1車線の道路で、比較的に高速で進めている。
時折、発砲があるが車両に取り付けられている交戦装置からは電子音は鳴っていないため、何とか走行は続けている。
「こちらα1、他の部隊の現状はどうなってる!?」
『現在、他の部隊はこちらの誘導で予定通り前進中』
「α1了解!軍曹、そこを左だ!早く曲がれ!!モタモタするな!」
第3中隊の車両部隊は交差点を左に曲がる。
「軍曹、止まれ!止まれ!止まれ!」
マイクの大声に反応した運転手は慌ててブレーキを踏み込み車両を停止させるが、急停止したため後続の車両が軽装甲車のリアに次々と衝突し、衝撃でマイクはコンソールとハンドルに頭をぶつけてしまった。
「クソっ!」
「大佐、どうしたんですか急に?」
「あれを見ろ!」
前方を指差した方向を見ると、20メートル先に大量のタイヤが火を付けられた状態で燃えており、ゴムが焼ける匂いと黒い煙が辺りを覆っていた。
「バリケードのつもりだ!これじゃ前に進めん!」
「どうしますか?」
「待ってろ!こちらα1、進路上にバリケード!」
『通れそうか?』
「無理だ!辺りは真っ黒い煙だらけだし、障害物が多すぎる!とてもだが通れん!別のルートを探してくれ!」
『了解。そこから脱出して、2ブロック先の交差点を左に曲がれ!』
「了解!」
第3中隊はその場でバックし、進んできた道路に出ると、2ブロック程進んだ後、指示された通りに交差点を左折した。
「この先を進めば敵の右側面を突けるぞ」
左折した片側1車線の道路を進めば最終的に、最終防衛ラインの右側面を突く事が出来る。
「全車停止!」
ここで第1海兵連隊は停止する。今回の作戦は敵を三方向から同時に突く必要がある。最終防衛ライン正面担当の第2、左側面担当の第3海兵連隊と足並みを揃える必要があるため、マイク達は此処で待機に入る。
「スカイアイ、こちらα1。予定地点に到達した、このまま待機する」
『了解。損害を報告せよ』
「現在負傷者40、戦死者が66、戦闘に支障は無いと判断する」
『了解。次の指示があるまで待機』
「了解!」
第1海兵連隊は待機に入った。
その頃、敵正面担当の第2海兵連隊は敵最終防衛ラインの手前五キロの地点の道路上に待機していた。
「こちらb2、位置に就いた。待機する」
『了解』
第2海兵連隊の真正面には敵が最終防衛ラインを構築している官庁街があり、一際目立つ庁舎を模したビルが見える。
「そろそろ大詰めだな。迫撃砲と戦車は?」
「今、攻撃準備中です」
「分かった」
同じ頃、左側面担当の第3海兵連隊は少々移動が遅れていた。
「こちらD3!現在、予定地点に移動中!」
第3海兵連隊はゲリラ攻撃に真っ先に晒されていたため、損害が他の連隊よりも大きく、負傷者の後送と部隊の再編に時間が掛かっていた。その遅れを取り戻そうと道路を全速力で走っている。
『スカイアイよりD3、なるべく急げ』
「分かってる!!そう急かすな!後5分で到着できる!」
急かされる様な指示に第3海兵連隊連隊長は怒鳴り返す。
彼らは損害が少ない車両を何とか操り、空中からの指示に従って予定通り待機地点に到着した。
「こちらD3、予定地点に到着!」
『了解!』
ようやく3つの部隊が予定位置に到達し、攻撃態勢に入った。司令部に居るヴァンデクリフトが部隊に攻撃指示を出せば、総攻撃が開始される。
「いよいよ決着の時だな…」
ヴァンデクリフトは無線機のマイクを手に取る。
「これより最終段階に突入する!攻撃を開始せよ!」
続く
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