ムーの日本の援軍がマギカライヒに向かい初めてから更に数日が経過した。
先に現地に到着したのは、マギカライヒと地続きとなっているムーの海上歩兵団だった。
「着いた」
出発から3日掛けて、マギカライヒ共同体首都エーベストにある駅に到着した海上歩兵団は此処で車両を降ろし、バルーン平野へ向け陸路を使う事となるが直ぐに向かう訳ではない。
海上歩兵団は此処に留まり、陸上自衛隊有害鳥獣駆除作戦隊とムーに国際平和維持部隊として駐留している陸自の特科部隊との連合部隊と合流する事となっている。
そのため、この駅を拠点にして1日待たなければならなかった。
「ムー国、海上歩兵団のヴァンデクリフト閣下ですね?」
そこへ、駅の玄関口から正装した複数人の男達がやって来た。
「はい、そうですが」
「お待ちしておりました。我々は外交部の者です」
「そうでしたか。本日よりよろしくお願いいたします」
「こちらこそ」
外交部の担当員達の後ろから一人だけ服装が違う男が現れた。ヴァンデクリフトはその男に見覚えがあった。
「おや?貴方はもしやファルタス提督でしょうか?」
「私をご存じで?」
現れた男はファルタスだった。ファルタスの顔を知っていたヴァンデクリフトは驚いた。
「はい。貴方の事は我が国のメディアを通じて知っております。此処でお会いできるとは光栄です」
「そうでしたか」
2人は握手を交わす。
「提督は何故此処に?」
「実は休憩で此処に旅行に訪れていまして、その途中にリョノスに関する事案で、マギカライヒの方々に微力ながら助言を」
「そうでしたか」
「それに関して実は私は閣下が率いておられる海上歩兵団に興味があるのです」
「我が部隊をですか?」
「えぇ。水陸両用作戦が可能な史上初の部隊と聞いております。今回は貴軍のご活躍を期待しております」
「恐縮です」
ファルタスの会話を終えるとヴァンデクリフトは外交部の担当員達との話を始める。
「我々は此処で日本国からの援軍を待つ予定なのですが」
「伺っております。海上歩兵団の方々にはこの駅を拠点の1つとして提供いたします。駅の周囲は陸上隊1個大隊が警備し、半径2キロ以内は立ち入り制限を設けているため民間人はおりません」
「分かりました。では車両を降ろしたいのですが」
「承知しました。駅前の広場をお使いください」
「感謝いたします。では我々は作業に入りますので」
マギカライヒ側との簡単な確認作業を終えてから、海上歩兵団は車両の積み降ろし作業を開始した。
貨車から戦車と装甲車、トラック、ジープが次々と降ろされていき、降ろされた車両は駅前の広場に並べられていく。
「副官」
「はい」
「陸上自衛隊の到着時刻は?」
「明日の正午の予定です」
「分かった。陸上自衛隊の車両が駐車できるよう、なるべくスペースは確保しておくように」
「了解!」
この日、海上歩兵団は駅を拠点に夜を明かした。
翌日の正午となり、駅にムー本国からの第2便が到着した。
「来たか」
第2便の車列には、陸上自衛隊有害鳥獣駆除作戦隊と特科隊の自走榴弾砲が載せられていた。
「デカイな」
貨車に載せられた99式自走榴弾砲と10式戦車を見て、自分たちが装備している車両との違いを改めて認識するヴァンデクリフト。
「御待たせしました」
客車から鬼島が降りて、ヴァンデクリフトの元へとやって来た。
「陸上自衛隊有害鳥獣駆除作戦隊の鬼島です」
「同じく陸上自衛隊国連平和維持部隊の山西晃一です」
「海上歩兵団のヴァンデクリフトです。よろしくお願いします」
2人は簡単に握手を交わす。
そして挨拶も早々に、自衛隊は直ちに車両の積み降ろしを開始する。
「既に現地へは偵察小隊を向かわせました。情報では敵に動きは見られないそうです」
「了解しました。では我々も急ぎましょう」
車両の積み降ろしを終えた作戦隊と特科隊の10式戦車、16式機動戦闘車、89式装甲戦闘車、96式装輪装甲車、99式自走155ミリ榴弾砲、MLRS、93式至近距離地対空誘導弾、中距離多目的誘導弾、軽装甲機動車、高機動車、海等が海上歩兵団と共に移動準備を終える。
「指揮車より全車、前進!」
車列の先頭を勤める海上歩兵団の車両が一列を成して移動を開始した。
『サクラ1より作戦隊各車、前進』
後を陸上自衛隊が続き、討伐部隊はバルーン平野へ向けて移動した。
続く