日本国召喚×不沈戦艦紀伊   作:明日をユメミル

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第83話

日ムー連合部隊はバルーン平野を見渡せる丘に本拠地を置き、陣地を構築していた。

今回は侵攻してくると予想されるリョノスの軍勢をこれ以上エーベストに向かわせないようにするため、防御に重きを置いた戦術が執られる。

 

 

日ムー連合部隊は先ず、平野と塔を見渡せる丘を盾にするように陣地構築を開始した。海上歩兵団工兵隊と有害鳥獣駆除作戦隊の施設中隊が持ち込んだ重機を駆使し、丘の中腹から左右に延びる塹壕が掘られ、そこに海上歩兵団歩兵隊と自衛隊普通科隊の隊員が小銃と機関銃を設置し、その後ろを戦車の車体をスッポリを隠す戦車壕が掘られ10式とラ・シャルマンが砲を正面に向けて、丘の真正面に侵攻を仕掛ける敵に備える。

 

続いて丘の後ろ側にある広い平地には、海上歩兵団砲兵連隊の120ミリ榴弾砲と105ミリ榴弾砲、特科連隊の99式自走りゅう弾砲とMLRSが砲とランチャーを真上に向けて待機しており、丘越しから敵への砲撃できるようになっている。

此処までの陣地構築にかかった時間はわずか半日、正午からの作業開始から夕方には完了した事になる。

 

 

そして現在、日も暮れて夜となり月明かりにより辺りが照らされる中、連合部隊は敵襲に備えて待機している。

 

 

 

「各車点検完了。異常無し」

 

「了解」

 

 

丘の頂上に設けられた作戦司令部に隣接する特科連隊本部では、山西が塔を見ていた。

月明かりに照らされた謎の塔は不気味な程静かで、頂上から見える魔物も動きが無いのが尚の事、不気味さを醸し出している。

 

 

「不気味だな」

 

「えぇ………」

 

 

彼だけではなく、他の隊の隊員やムー側の将兵らも敵に一切の動きが無い事に妙な違和感を感じていた。

 

 

 

 

 

 

 

その頃、塔内の執務室の窓から丘に居る日ムーの連合部隊を見ていたリョノス。

 

 

「成る程……この世界の下種共は予想以上に進化していたようだ」

 

 

目に映る連合部隊の戦車や車両を目の当たりにしていたリョノスは、それまで抱いていたこの世界の人間達に対する差別的感情は抱きつつ、彼らの進化の課程を素直に認めている。

 

 

「まさか下種共が魔帝様が使っているような魔導車をあれ程揃えているとは………そうなれば将来復活するであろう魔帝様の世界制覇の障害となり得る。此処は早めに潰すべきだな」

 

 

リョノスはゆっくりとムー大陸を支配下に置く計画だったが、予想外の事態に、練っていた計画の前倒しと作戦の一部変更を行う。

 

 

「アレを使うか」

 

 

そう言うとリョノスは執務室から出て、階段を使い塔の一番下にある広い部屋のような場所へとやって来た。

 

 

 

その部屋には、人型の無機質な物体が直立した状態で置かれていた。

 

 

「下種共にMGZ型魔導アーマーを使うのは少々やり過ぎな気がするがな」

 

 

鉄のような素材で作り上げられている物体の表面をリョノスは撫でるように触る。

その人型の物体の正体である『MGZ型魔導アーマー』は、魔法帝国がリョノスのような量産型の戦闘能力向上のために開発した、言うなれば魔法で動くパワードスーツである。

魔導エンジンを主機関とするMGZは、背部に魔法帝国が使用していたとされている様々な魔導兵器が搭載可能で、機体自体の防御力は生身を遥かに上回る。

 

 

「だがこれを我が身に纏い、2000もの培養体で作られた軍勢なら怖いものなど存在しない。見ておれよ下種共………」

 

 

 

 

 

 

 

 

一夜が過ぎ、夜が明けた。

 

 

「朝か……」

 

 

朝日に照されてテントから這い出した百田は、塔を見ていた。

 

 

「しかし………なんだ?この胸騒ぎは……」

 

 

百田は言い知れぬ胸騒ぎに不安を感じていた。

それは昨年のトーパ王国での任務の時に、ノスグーラがカイザーゴーレムで進撃を開始したあの夜明けの時と似たような不安感だった。

 

 

「ん?」

 

 

彼の胸騒ぎは直後に現実となった。

 

 

 

「あれは………」

 

 

 

朝日に照されていた塔の扉が突然開くと、中から大勢の魔物が姿を表した。その魔物は手に武器を持ち、目は丘に居る自分達を見つめているように光っていた。

 

 

「こりゃ……来たか!!」

 

 

百田は直感的に敵が動き出した事を悟り、急いで司令部へと駆け込んだ。

 

 

「1佐!!」

 

「どうした!?」

 

「敵が動き出しました!」

 

「本当か!?」

 

「はい!今、塔の扉が開いて中から多数の魔物が姿を表しました!」

 

 

百田は鬼島とヴァンデクリフトにそう報告する。

 

 

「よし!百田3佐!各隊に非常呼集!戦闘配置だ!」

 

「了解!」

 

「副官!こちらも戦闘配置だ!」

 

「はっ!」

 

 

日ムーの部隊に非常呼集が掛かった。眠りに就いていた日ムーすべての隊員と将兵は飛び起き駆け足で武器手に取り各々の配置に就いていき、当直の者も眠い目を擦りながら手にしていた小銃と機関銃に弾を装填し戦闘態勢を整えた。

 

 

「各隊配置完了!戦闘配置よし!」

 

「了解!敵の動きは?」

 

「観測からの報告では、塔内部から姿を表した魔物は外に居た魔物と共にこちらに向けて進撃を開始した模様!」

 

「分かった。閣下、魔物は数が厄介です。先ずは魔物を優先的に攻撃しますか?」

 

「リョノスの戦闘能力が分からない以上は、リスクを少しでも減らす必要があるか……分かった。砲兵隊による攻撃を許可する」

 

 

鬼島とヴァンデクリフトの判断により、山西率いる特科隊と海上歩兵団の砲兵隊による曲射砲撃の用意が開始された。

 

 

「射撃用意」

 

 

観測隊から送られてくる諸元に従いMLRSのランチャーが起き上がり、塔がある方向に向けて旋回する。

 

 

「周囲安全確認」

 

「発射機周囲異常無し!」

 

「了解」

 

 

今回の作戦に参加しているMLRSは3両あり、すべてのランチャーにはクラスター爆弾が詰め込まれたM26ロケット弾が装填されている。

 

 

『1号車、射撃用意よし!』

 

『2号車、射撃用意よし!』

 

『3号車、射撃用意よし!』

 

『本部、中隊射撃用意よし』

 

「了解」

 

 

射撃用意が整い、先ずは着弾地点確認のための点検射撃が開始される。

 

 

 

「5、4、3、2、1、発射!」

 

 

 

カウントダウンと同時に3両のMLRSからロケット弾が1発ずつが発射された。

 

 

 

 

数秒後、塔から丘に向けて進撃を開始した魔物の軍勢の直上にM26が到達、空中でロケット弾本体が弾け飛ぶと、大量のクラスター爆弾がばら蒔まかれ、彼らの頭上から降り注ぐ

直後、多数の爆発音がバルーン平野に響き渡り、魔物は黒い煙りに包まれた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

続く




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