日本国召喚×不沈戦艦紀伊   作:明日をユメミル

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第86話

塔に立て籠るリョノスを倒す唯一の方法である、ファルタスが持つ魔力の全てを使い最大出力で展開するシールド魔法、塔を守っているシールドにファルタスのシールドをぶつける事により発生する中和現象を引き起こし、脆くなったところから攻撃を撃ち込む作戦。

 

 

「ファルタスさん、これを着けて下さい」

 

 

 

彼を確実に塔にまで送り届ける役を担う猿渡は、ファルタスに万が一のために鉄帽と防弾チョッキ3型を渡す。

 

 

「貴君らの兜と鎧か」

 

「はい。万が一の事がありますので」

 

 

猿渡はファルタスに防弾チョッキを着せ、ヘルメットを被せるとチョッキとヘルメットの脱ぎ方を軽くレクチャーする。

 

 

「了解した。気遣い感謝する」

 

「いえ。じゃあ俺らが塔まで確実に送り届けますから、頼みましたよ」

 

「任された」

 

 

そう言うと2人は10式の砲塔によじ登り、猿渡は車長席に座り、ファルタスは砲塔の上に立った。

 

 

「こちら猿渡、小隊前進用意よし」

 

『こちら犬神、中隊前進用意よし』

 

『連隊、前進用意よし!』

 

『了解。これより特科が射撃する。現状で待機』

 

「了解」

 

 

 

この作戦、リョノスの注意を戦車小隊と塔内部を制圧する自衛隊普通科と海上歩兵団歩兵連隊から引き離すため、先ずは特科の99式と海上歩兵団の野砲部隊の榴弾砲による総攻撃が行われる。

 

 

 

『特科、射撃用意よし』

 

『野砲、射撃準備完了』

 

「本部了解。攻撃準備よし」

 

「了解。作戦を許可する!攻撃開始!」

 

「攻撃開始っ!」

 

 

作戦開始と同時に特科と野砲部隊による砲撃が開始された。

放たれた155ミリ、120ミリ、105ミリの砲弾は塔へと殺到する。

 

 

「各個に自由砲撃!弾幕を絶やすな!」

 

 

リョノスの注意を逸らすため砲撃は各個自由砲撃が許可され、特科隊と砲兵は撃っては弾を装填し、撃っては弾を装填する作業を続ける。

 

 

『中隊全車、撃て!』

 

『小隊、撃て!』

 

『一斉射撃、撃て!』

 

 

加えて海上歩兵団戦車大隊のラ・シャルマンと海上歩兵団対戦車隊の42式自走無反動砲とカラッゾ・ジープに搭載された42式105ミリ無反動砲、更には対空砲部隊の42式自走高射機関砲と35ミリ高射機関砲の砲撃も加わり、塔は爆煙と炎に包まれる。

 

 

「行くぞ!小隊前進、前へ!」

 

『中隊前進、前へ!』

 

 

待機していた戦車小隊と普通科中隊が前進を開始した。前衛の戦車小隊の先頭を走る猿渡の10式の砲塔の上で、ファルタスは車体からの振動と砲撃の衝撃波に耐えながら詠唱を開始する。

 

 

「はぁぁぁぁぁぁっっ~………守れ、風の精霊よ。世は蜃気楼、時は流水の如く流れる。しかし今は我に守る力を」

 

 

ファルタスは詠唱を唱えながら両手の掌に魔力を集中させる。掌には魔力を集中させた事により白い光が沸き出すように流れ、光はやがて10式の前をまるで城壁のように広がり、それは徐々に光量と大きさを増していく。

すると、先程までファルタスの肌に当たっていた砲撃の煙と熱波がシールドに阻まれる。

 

 

 

「良いぞ!これなら行ける!シールド展開、魔力最大!猿渡殿、いつでも大丈夫だ!」

 

「了解!小隊指揮車より司令部へ!突入準備よし!」

 

『了解!攻撃を停止する』

 

 

塔への攻撃が止まった。

黒煙の向こうに塔が見え、距離が縮まる度にその大きさが伝わってくる。

 

 

 

「小隊散会!」

 

 

ここで、猿渡の乗り込む小隊指揮車以外の10式は離れた。猿渡の10式は1200馬力全開で塔に突っ込む。

 

 

「総員、耐ショック用意!」

 

『行けぇぇぇぇぇぇぇ!!!』

 

 

ファルタスのシールドが塔のシールドに接触した瞬間、甲高い音が響き、カメラのフラッシュのような強烈な光が辺りを覆い尽くす。

 

 

「シールド限界まで後50秒!」

 

「ファルタスさん!奴のシールドは?」

 

「依然健在だ!予想以上に硬い!」

 

『チクショウ!!丈夫なバリアーだなぁ!!』

 

 

指揮所でもそれを見守っている鬼島、ヴァンデクリフト、自衛隊員、ムー兵達。

 

 

「まだ穴は開かないのか!?」

 

「頑張れ!!押し込むんだ!」

 

「負けるな!!」

 

 

 

ムー兵と自衛隊員達は声援を送る。

 

 

 

「一点突破だ!砲身が入り込めばそれで良い!」

 

『了解!』

 

 

猿渡の指示に操縦士はエンジンの出力を上げる。

10式の履帯は空回りしながら土を巻き上げ、エンジンマフラーからは排煙が大量に吐き出される。

 

 

「リミッターを切れ!エンジンが壊れても構わん!」

 

『了解!』

 

 

操縦手は、エンジン操作パネルにあるリミッター解除のスイッチを押してリミッターを解除する。

すると普段なら決して出さないような音がエンジンルームから響き渡り、タコメーターがレッドゾーンを示す。

 

 

『エンジン限界寸前!』

 

「シールド限界まで後15秒!」

 

 

間も無く限界時間が近づき、ファルタスから疲れの表情が滲み出る。

すると、塔とファルタスのシールドの接触している部分に皹のようなものが見え、直後にシールドがガラスのような音を立てて割れ、砲身がシールドを突破し食い込んだ。

 

 

「撃て!」

 

 

砲手がコントロールスティックのトリガーボタンを押すと、装填されていたAPFSDS弾が発射され、分厚い鋼鉄で出来た塔唯一の入り口の扉を破壊した。

 

 

「次弾、対りゅう装填!」

 

 

自動装填装置が弾薬庫から対戦車榴弾を揚げて、砲に素早く装填する。

 

 

「撃て!」

 

 

続けて放たれた対戦車りゅう弾は扉の向こうにある、シールド発生装置と魔導アーマーに直撃し、両方を木っ端微塵に破壊した。

すると、今まで塔を覆っていたシールドが消失していき、鉄壁を誇った塔は完全に機能を失った。

 

 

「うっ………」

 

 

魔力を使い果たしたファルタスが力を失い、砲塔の上で尻餅をついた。

 

 

 

「ファルタスさん!」

 

 

ファルタスに声をかける猿渡。

 

 

「だ……大丈夫だ。魔力を使い果たして力が抜けただけ………心配はない」

 

「よかった………」

 

 

彼の無事を確認し安堵する猿渡。

 

 

「お?ようやく追い付いたみたいだな」

 

 

そこへ、後方の普通科中隊と歩兵部隊がやって来た。

 

 

「猿渡1尉!」

 

 

89式装甲戦闘車の車長用ハッチから城島が猿渡に声を掛けてきた。

 

 

「おぅ、こっちは無事だぜ」

 

「良かった。後は我々がやります。動けそうですか?」

 

「無理だ。無茶させたからエンジンはオーバーヒート、履帯も切れた。サスも逝ってるかもな」

 

 

ふと見ると10式のエンジンルームから黒と白の煙が漏れ出しており、完全にオーバーブローしてしまっているのが分かる。

 

 

 

「じゃあ戦車回収車を要請します」

 

「助かる」

 

「じゃあ後は我々でやります。中隊下車用意、下車!」

 

 

犬神の89式と後続の96式と軽装甲機動車から普通科隊員、海上歩兵団歩兵連隊の装甲車とトラックから歩兵隊が降りてくると、塔の制圧に乗り出した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

続く




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