シールドの無力化に成功し、リョノスが立て籠る塔の制圧に乗り出した普通科中隊と歩兵団歩兵小隊。
両部隊の盾となっている89式装甲戦闘車が10式の砲撃で破壊された扉を踏み潰しながら中へと入った。
「中隊突入!」
後ろから普通科隊員が小銃を手に塔内部に突入する。
「さっきのアーマーか?」
1階には同じく10式の砲撃で大穴が空いた魔導アーマーとシールド発生装置の残骸が散らばっている。
「目標を探せ!」
隊員達は1階部分を捜索するが、リョノスの姿はない。
「いないぞ!」
「こっちもいない!」
「ここに居ないとなると……上か」
2階へ上がる階段がある。よく見ると、階段には血のような染みがある。その染みは階段を登っているように伝わっている。
状況から見ても、それはリョノスの体液である事とリョノスは2階か更に上の階に逃げている可能性が高かった。
「行くぞ!」
部隊は階段を上りリョノスを探す。
「注意しろ!窮鼠猫を噛む!向こうがどんな手段に出るか分からんぞ!」
「トラップに注意だ!」
普通科隊員と海上歩兵団の兵士達はクリアリングの要領で部屋を一つ一つ捜索していく。しかしリョノスは一向に見つかる事はない。
「居ないな………」
「奴の体液はこの階で途切れてる。何処かに隠れてるのかもな」
既にリョノスの体液は途絶えており、この階の何処かに隠れてる確率は高い。
そして、その階の最後の倉庫のような小部屋を残すのみとなり、普通科隊員が突入態勢に入る。
「発破!」
扉に仕掛けられた爆薬を爆破させ扉を破壊すると、小部屋に突入した。
「暗いな………ライトを使え」
窓が無いのか小部屋は真っ暗で、室内をライトで照らす。
「こりゃ…………執務室みたいだな」
彼らが踏み込んだのはリョノスの執務室だった。彼らはこの部屋の何処かにリョノスが隠れているものと確信し、捜索に入った。
「此処にも居ない」
「本棚の裏にも居ませんね」
「じゃあ後は………あの机の下か」
この部屋で身を隠せる場所はもう机の下のみである。隊員達はゆっくりと机に近づき、裏側へと回り込むとライトを照らす。
「う…………うぁ……………」
「目標発見!!」
予想通り、リョノスは机の下で踞っていた。
「拘束しろ!」
「やめろ!触れるな!やめんか!」
隊員達はリョノスを机の下から引き摺り出し、暴れて抵抗するリョノスの両手両足にミリシアル帝国特製の手錠型魔導拘束具を掛ける。更には舌を噛み切って自殺をしないよう口に猿轡を噛ませ目隠しをさせて完全に拘束した。
「本部に報告!目標を確保した!」
突入隊からの報告は本部に届けられ、緊張気味な雰囲気だった司令部内は安堵の雰囲気に変わった。
「良かった………今度も死人を出さずに済んだな」
「全く………しかし魔法帝国の技術力恐るべしだ。今回は色んな事を学ばさせられたな」
リョノスと言う量産型魔王と魔導アーマー、強固なシールドを作り出す技術力に改めて魔法帝国の脅威を認識した。
「よし。全隊に作戦終了を通達」
その後、作戦は成功の内に終了が伝えられた。
「猿渡1尉!作戦は成功したとの事です。突入した普通科隊がリョノスを拘束したとの事です」
塔の外に居た猿渡らは無線でリョノス拘束に成功した報を受けて、緊張が解れる思いだった。
「やったな。ファルタスさん、聞いての通りです」
「良かった。少しは役に立てたかな」
少しだけ魔力が回復したファルタスは安堵の表情を浮かべた。
「お?回収車のお出迎えか」
ふと丘の方向を見ると、要請を受けた11式戦車回収車がやって来ていた。
「さて、帰る準備でもしましょう」
続く
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