時系列的にはレイフォル陥落後です。
第1話
国連軍による鋼鉄の盾作戦にてレイフォルが陥落し、そのニュースが世界を駆け巡った。
各国の新聞やニュース等のメディアはこぞってレイフォル陥落を伝え、それを聞いた世界中の人が歓喜または不穏な空気を見せる。
それは第3文明圏でも例外ではなかった。
フィルアデス大陸の北にある『トーパ王国』は凶悪な魔物により人類未踏と言われている更に北方にあるグラメウス大陸と地続きとなっている。
トーパ王国の最北端には巨大な『世界の扉』と呼ばれる巨大な壁がある。
1万年以上も昔に、トーパ王国国民の先祖が太陽神の使いと呼ばれる謎の集団と共に築き上げた壁で、1万年もの間、トーパ王国とフィルアデス大陸を守り続けている。
そんな世界の扉に守られた城塞都市トルメス内から壁の上へと登った所にある監視所に2人の人影があった。
「ふぅ…今日も寒いな」
「全くだ。この時期はどこもかしもこ寒くなるから嫌になるな」
監視所からグラメウス大陸方向を監視しているのは、トーパ王国軍トルメス駐留部隊の騎士『モア』、王国軍と専属契約を交わしている傭兵『ガイ』は例年通り12月の寒さに震えていた。
「しかしこのカイロってのは本当に凄いな。これがあって良かった」
ガイの手には世界共通語と日本語の2つの言語がプリントされたカイロが握られていた。
「本当に……これがないと寒くて風邪を引きかねんからな。まさに日本様々だ」
モアの手にもカイロが握られている。
高い位置にある監視所には北風が直撃するため、寒さは地上に居る時よりも体感的にそう感じるのである。
「ところでガイ、お前の右肩に提げてるそれって…」
モアはガイの右肩に提げられている"ある物"に目を向けた。
「これか?良いだろ。ムー国製のボルトアクションライフルだぜ!」
ガイが手にしたのはムー国製の30年式歩兵銃だった。
「凄いな!魔導銃よりも連射が効くんだってな?」
「そうだぜ。魔導銃よりも操作が楽だし手入れも簡単だ!それに威力もある!」
「よく手に入ったな」
「普通に店で買えたぜ」
「はぁっ!?そんな凄い銃が武器屋で買えたのか?」
「あぁ。俺一ヶ月間居なかったろ?実はな、ムーで別の仕事で行ってきたんだ。その時に立ち寄ったマイカルの銃砲店で手に入れたんだぜ」
誇らしげにガイは30年式のボルトを操作する。
「銃剣とスリングとクリーニングキットに狙撃スコープにガンケース付きだったぜ」
「豪華だな。いくらしたんだ?」
「まぁ………その………給料3ヶ月分は飛んだな」
「そんなに……生活とか大丈夫なのか?」
「まぁムーに仕事行ってて臨時収入が入ったから問題は無いさ」
そう言うとガイは立ち上がり、グラメウス大陸方向に向けて30年式を構えスコープで地平線を眺める。
「ん?」
ふとスコープ越しに地平線に何やら蠢く影が見えた。
「影?」
その影はどんどん大きくなり、やがて距離が縮まり、その正体が判明した。
「オイオイオイオイオイオイ!」
「どうした?」
「ありゃ、ブルーオーガとレッドオーガじゃねぇかよ!それに大量のゴブリンやオークも見えるぞ!」
「何だって!貸してくれ!」
モアはガイから30年式を奪うように手にとり、ガイがやっていたように30年式を構えながらスコープで北を見る。
スコープ越しに見えたのは、赤色と青色の巨体を持つ巨人と、それを取り囲み守るように布陣する数えきれない程のオークとゴブリンが見える。
「こりゃ不味いぞ………直ぐに司令部に行くぞ!」
「おうっ!」
2人は監視所から急いで降りると、司令部へと走っていった。
続く
皆様からのご意見とご感想お待ちしております。