先遣隊到着から2日が経過した。
ミナイサ地区に残された民間人の救出作戦開始日となったこの日、トルメス南エリアから魔王軍に占領された北エリアの中間地点となる、北エリア入り口となっている入り口に、日米トの3か国の部隊によって編成された救出部隊が待機していた。
「時刻合わせ、作戦開始10秒前。9、8、7、6、5、4、3、2、1、0、今っ。1300、オペレーション『鬼ヶ島討ち入り作戦』開始!」
作戦に参加する日米各2個分隊合計4個分隊34名とモアを指揮官とするトーパ王国軍2個分隊20名、合計54名で編成された救出部隊は北門を開き、北エリアへと入った。
救出部隊は北エリアへ入ると同時に2個に分かれ、地上を移動する部隊と、民間人達が捕らえられている北エリアの領主館の裏側へと続く地下道へと入り各々移動を開始した。
地下道へと入った猿渡率いる陸自1個分隊8名とラモン率いる海兵隊1個分隊10名、モア率いるトーパ軍1個分隊10名は、地下道の経路図を元に領主館近くにある地上部隊との合流地点へ向けて、照明も何も無い暗い地下道をナイトビジョンを使い歩く。
猿渡達の任務は、300人以上は生存していると思われる民間人の中で自力で移動可能な要救助者用の避難経路となっている地下道の安全確保と、要救助者が捕らえられている領主館の偵察、地上部隊と連携し館に突入し要救助者達の安全確保と避難誘導を担当している。
「こんな暗闇でも良く見えるな」
モアとガイ、トーパ軍の騎士達は自衛隊から貸りたJGVS/V8ナイトビジョンが装着された88式鉄帽を被り、利き目に向けてマウントされたV8を覗きながら歩く。
「でもこれ、目が痛くなるな」
「我慢しろ。貸してもらって文句を言うな」
慣れないナイトビジョンの映像に違和感と戸惑いながらも、何とか教えられた通りに使っている。
「上の連中、大丈夫でしょうか?」
「向こうは車両が就いてるから大丈夫だろ」
「でも相手は化け物ですよ?」
「隊長達が徹夜で練った作戦なんだ。上手くいくさ」
海兵隊と自衛隊の隊員達は内心不安を感じながらも、罪もない一般人達が今もこの瞬間、魔王や化け物達の糧になっているなら早く助け出さないとと気を引き締めてる。
暫く歩いていると、領主館近くのマンホールへと続いている梯子を見つけた。
「この上だな。俺が先に行く」
ラモンがM4A1カービンを手にマンホールの外が安全かを確認するため梯子を素早く昇る。
「頼む、誰も居ないでくれ」
そう願いながらゆっくりマンホールを開けて、辺りを見回す。幸い魔物の姿は無く静かな様子で、目の前には領主館の勝手口が見える。
「敵影無し」
そう言うとラモンはマンホールを退けて、外へ出る。
その後から海兵隊員と自衛隊員、モアとガイ達も続けて梯子を登って外へ這い出し、ここで隊は再び2つに分かれる。
2ヵ所からの同時突入のため比較的警備の手薄な勝手口には猿渡ら自衛隊員とトーパ軍、領主館北門にはラモン達海兵隊員が突入に備えて待機する。
『こちらマッドドック、突入用意よし』
「了解」
領主館から南へ100メートルの地点で待機していた百田とアーロン率いる地上部隊は敵の注意を引き付けるための行動をとる態勢に入る。
「こちらピーチマン、正面広場に敵の姿はあるか?」
『確認しています。正門に雑魚が30、レッドとブルーの姿もある』
「了解」
百田は無線のチャンネルを変え、待機しているヘリ部隊に連絡を送った。
「鬼ヶ島討ち入り準備よし」
『了解。これよりそちらへ向かう』
無線交信を終えると、百田は次の指示を送る。
「こちらピーチマスター、突入開始!」
百田の合図で16式機動戦闘車とストライカーMGSが、その場から一気に領主館へ向けて走り出す。敵の気を引くためエンジンを全開にして、滑り込むように領主館正面広場へと展開する。
「居たぞ!赤鬼と青鬼だ!」
「雑魚の豚共も居るぞ!まとめてステーキにしてやる!」
突入すると、報告通り30体のゴブリンとオーク、赤と青のオーガが居た。
突然現れた車両部隊に呆然としているのか全く動こうとしていなかった。
「目標、左敵集団!対榴!」
16式機動戦闘車とストライカーMGSの砲塔が魔物達に向けられる。
「「撃て!」」
続く
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