16式とストライカーMGSから放たれた105ミリ粘着榴弾2発はブルーオーガとレッドオーガに着弾、木っ端微塵に吹き飛ばした。
『目標撃破!』
この作戦で一番厄介とされたブルーオーガとレッドオーガの2体を一瞬で始末した日米の合同部隊。
親玉クラスのレッドオーガとブルーオーガをあっさり撃破された配下の魔物達は武器を手に各々の判断で襲いかかってくる。
『俺達の出番だぜ!』
16式とストライカーMGSに代わり、87式偵察警戒車と軽装甲機動車、J-LTVが前面に出てくる。
『撃て!』
『Fire!』
87式偵察警戒車の砲塔が旋回し魔物達にエリコンKB 25ミリ機関砲、軽装甲機動車とJ-LTVのブローニングM2、GAU-19重機関銃が向けられると、耳をつんざくような発射音と共に曳光弾と徹甲弾が交互に発射された。
大雨のような弾幕に晒された魔物達は体や手足を大きく引き裂かれ、大量の体液や肉片を撒き散らしながら無力化されていく。
『撃ちまくれ!!』
地上部隊は魔物達が屯していた広場をヘリポートとして確保するため、容赦ない攻撃を加えていく。
後方の96式装輪装甲車とストライカーICVからも陸自の小銃分隊と海兵隊のライフル分隊が降りてくると、魔物達へ向けて小銃と軽機関銃による弾幕射撃を浴びせる。
「軍曹、HEで奴等をバーベキューにしてやれ!」
「了解!」
海兵隊員がM203とMGL-140グレネードランチャーを使い、グレネード弾を曲射で撃ち込んでいき、爆発によって生じたグレネード弾の破片が魔物達に致命傷を与える。
「良いぞ!奴らを此処から追い出せ!」
逃げに転じ始めていた魔物達を現場から追い出すため、車両を盾に射撃を続けながら前進を開始し、トーパ軍の騎士達は撃ち漏らした魔物を切り伏せていく。
魔物達は近代火器を使った攻撃を前に広場から北方向の市街地へと散り散りとなり退却していった。
「よし!周囲警戒!」
地上部隊は広場を確保し、ヘリが着陸する場所を設定すると次なる魔物達が入ってこない様に警戒する。
同じ頃、領主館の勝手口と北門に待機していた猿渡とラモン達は攻撃が開始されたと同時に扉を開けて館内へと突入した。市街地戦訓練を受けている日米の隊員達は狭い建物内を素早く移動していき、部屋を一つ一つ確保していく。
しかし幸いにも建物内に居た魔物は非常に少なく、偶然彼らと遭遇した魔物は出会い頭に頭や身体を撃ち抜かれロクに抵抗できず制圧されていく。
「あの部屋が最後だ!」
最後に残された館の3階にあるパーティーホールの入り口前に到達し、歩哨のゴブリン2体を射殺する。
ドアの前に立ちドアノブを回そうとするが、固くて回らなかった。
「クソ!鍵が掛かってる!」
「ならコイツの出番だぜ!」
ジムは手にしていたM4を背中に回し、12ゲージスラッグ弾弾が装填されているM1014ショットガンのハンドグリップを引いて初弾をボルト内に送り込む。
「中の連中に下がるように言ってくれ!」
「分かった!」
モアとガイがドアを叩きながら中に閉じ込められている要救助者達に声を掛ける。
「我々はトーパ王国軍だ!助けにきた!聞こえるか?」
『トーパ軍だって!?』
『助けに来てくれたんだ!聞こえるぞ!此処から出してくれ!』
『病人や赤ん坊が居るんだ!』
「分かった!今から扉を破壊するから、ドアから出来るだけ離れてくれ!」
そう言うと扉の向こう側で大勢の人の足音が聞こえる。
『下がったぞ!!』
「分かった!やってくれ!」
「OK!じゃあ行くぜ!」
ジムはベネリの銃口をドアの蝶番に向け引き金を引き、迫力のある銃声が2回響いた。
スラッグ弾が蝶番を破壊し、ドアが傾く。
「GO!」
扉を蹴破り、中へ突入すると広いパーティーホール内に魔王軍に捕らえられた北エリアの住民達がすし詰め状態で監禁されていた。
「クリア!」
「助けに来たぞ!」
「大丈夫か!?」
皆まともな食事を摂っていないのかかなり痩せており、肌の色も悪かった。中には明らかに危険な状態の者もおり、到着が少しでも遅れていたら手遅れになっていただろう。
「ドク、彼等を診てやってくれ」
「了解」
海兵隊の衛生兵が1人ずつ健康状態を確認しトリアージを行う。
「大丈夫ですか?」
「あ……あぁ………助かったよ……」
「アナタ達は…………どちら様で………」
見慣れたモア達トーパ王国軍と共に部屋に入ってきた日米の隊員達に住民達は困惑するが、各々の迷彩服の腕に縫い付けられた国旗のパッチを見て正体を知った。
「その太陽と星の国旗………まさか!」
「日本とアメリカだぜ!あのパーパルディアとグラ・バルカスをコテンパンにしたあの国の人達か!?」
「助かった!これで私たちは救われたぞ!」
日本とアメリカの情報は既にトーパ王国内でも知らぬ者が居ない程に浸透しており、彼らの姿を見ただけで元気が無かったり表情が暗かった要救助者達の顔に力強さと笑顔が戻った。
その中で一際笑顔を醸し出し、座り込んでいた一人の女性がよろめきながら近付いてきた。
「君は!?」
「エレイじゃないか!無事だったんだな!」
モアとガイの2人はその女性の顔を見て声をあげた。
「うん……久し振り…」
「何年振りかな………と言うか、大丈夫か?足がふらついてる」
「無理するな。座って」
「ありがとう…」
エレイは2人に支えられてながらその場に座り込む。
「そちらのお嬢さんは2人の知り合いかい?」
猿渡が話し掛けてきた。
「そうだ。幼なじみさ」
「子供の頃からのな……学校も一緒だった」
「そうだったのか。まぁでも、大事な友人が無事で良かったな!」
「それがましてやこんな美人さんとはな。羨ましいぜ」
そんな会話をしながも隊員達は要救助者達の人数確認を行い、猿渡とラモンに報告する。
「人数確認終了、全員合わせて350名です。そのうち歩けるのは38名、後は栄養失調と怪我と病気で動けません」
「350名か……ウチのヘリを総動員して動けないのを最優先にヘリに載せて、歩けるのは地下道で脱出させよう。直ちに救援ヘリを呼べ」
「了解!!」
猿渡は百田にその件を報告し、百田はトルメスに待機させていたヘリ部隊にありったけの大型ヘリを寄越すように連絡を入れる。
「ヘリの到着は20分後の予定です!」
「了解。衛生兵は要救助者の手当てと応急処置を急げ!後の者は民間人を広場に誘導させろ!重ねて言うが周囲の警戒は怠るな!」
ヘリは20分もあれば到着できるため、その間彼らは要救助者の応急処置と脱出準備、周囲の安全確保に勤める事となった。
20分して、待機していたヘリが到着した。
広場の面積から一度に着陸できるのは2機までのため、先ずは動けない者を優先してヘリに載せる事となった。
「これより此処を脱出します!先ずは動けない病人の方々を優先して乗って頂きますが全員帰れるだけの足は用意してますので、どうか慌てないでください!」
「Hurry up!」
最初に着陸した陸自のCH-47Jと海兵隊のCH-53Eスーパースタリオンの貨物室に応急手当てを受けた傷病人が次々と乗り込んでいく。そして2機は直ぐに満杯となり収容第1便が離陸していく。
離陸すると直ぐに上空で待機していた第2便のヘリが着陸し次の傷病人達を載せていく。
「第2便の収容状況は順調です」
「敵に動きは?」
「今の所はありません」
ヘリによる要救助者達の回収と収容が順調に進む中、上空では無人機が周囲を警戒しているが魔物達に動きは見られなかった。
「好都合だ。今のうちに作戦を終わらせないとな」
負傷者のヘリへの収容が行われる中、まだ歩けるだけの体力が残っている者は猿渡達の誘導で勝手口のマンホールから地下に入っていき、地下道を使って避難していく。
そして負傷者で一杯となった第2便は直ぐに離陸し、続けて第3便のヘリが着陸する。
「3尉、要救助者の収容と退避は順調!既に猿渡達の地下道組は現場より離れ、残りの要救助者はこの便で全て収容、退避完了です!」
「よし!事故だけはないように!」
「了解!」
要救助者350名のうち8割は退避を完了しており、残り50名の要救助者達は第3便のヘリに乗り込んでいく。
「第3便、離陸しました!」
最後の要救助者達を載せた第3便が広場より離陸していき、南方向に向かって飛び去っていく。
「よし!長居は無用だ!撤収!」
最後に残った百田達、地上部隊も車両に乗り込むと広場から離れていき、トルメスへの帰路に就いた。北エリアの住民救助作戦は大成功に終わり、トルメスに居たトーパ軍と国民達は歓喜に湧き、日米の部隊の能力に注目が集まった。
続く
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