ハンヴィーで北門に到着した百田、アーロン、モア、ガイ、メテオスらは城壁の上に上がる。
そこにはアジズ以下のトルメス駐留部隊と、王宮から派遣されてきた優秀な魔導士のみで編成された王宮魔導特戦隊の魔導士達が迎撃準備をしていた。
そこから北の方角を見ると、朝日に照らされながらゆっくりと歩いてくる巨人のようなシルエットが見えた。
「あれがカイザーゴーレムか……」
「Oh my god………」
土と岩で出来たカイザーゴーレムの巨体は道中でメテオスの言う通り動きはとてもゆっくりであり、足元にある家屋を踏み潰しながら徐々に近づいてきていた。
「アジズ司令、現状は?」
「見ての通りだ。あのカイザーゴーレムを先頭に魔物達が押し寄せてきている」
「了解」
百田は双眼鏡で、カイザーゴーレムを見る。
すると、カイザーゴーレムの右肩に人影が見えた。
「あれが魔王か……」
カイザーゴーレムに乗っていたのは間違いなくノスグーラだった。メテオスの言う通り、カイザーゴーレムを操れる距離が短いため近くに居る。
「如何にもって感じだな……漫画に出てきそうだ」
アーロンもM4に装着しているACOGドットサイトでノスグーラの見た目からそう呟いた。
「アジズ司令、迎撃は?」
「もう準備は整っている。王宮魔導特戦隊がやってくれる筈だ」
アジズは城壁の一番高い位置に待機していた王宮魔導特戦隊の魔導士達に期待の目を向ける。
「隊長、敵は間もなく射程距離に入ります」
「よし。我が隊の名誉に賭けて、何としても奴を仕留めるぞ。総員構え!」
隊長らしき人物が杖先をカイザーゴーレムに向け、部下も杖を向けるの詠唱を始める。
『風の精霊、荒れ狂う大気の王、我らの魔力を糧に眼前の敵を滅する力とせよ!ライトニングタイフーン!!』
早口で詠唱を終えて、出せるだけの魔力を産み出した特戦隊はカイザーゴーレムとノスグーラをまとめて吹き飛ばすかの如く、攻撃を放った。
雷の力を使った攻撃魔法はカイザーゴーレムに向かって真っ直ぐ突き進み、カイザーゴーレムを貫こうとするが、それを見ていたノスグーラは片手を前に突き出す。
「見せてやる。我に宿るこの力こそ魔帝様がこの世界を支配するための能力である事を………ザ・ファイアーウォール!」
ノスグーラの手から真っ白い炎の塊が弾丸のように撃ち出され、向かってきていたライトニングタイフーンを打ち消し、そのまま王宮魔導特戦隊の魔導士達を塔ごと消し去った。
「馬鹿な………あの王宮魔導特戦隊が」
アジズ達は精鋭部隊が一瞬で全滅した事と、ノスグーラの力を見て肩を落とす。
「話しにならんな……行けぇい!人間狩りだ!」
ノスグーラの合図で魔物達が押し寄せてくる。
「不味いな……」
百田は現状が圧倒的に不利であると直感し、無線で隊の編成状況を尋ねる。
「猿渡、城島、隊の編成は!」
『海兵隊の連中とそっちへ向かってますぜ!後3分で到着します!』
「了解!アジズ司令、我々も迎撃に出ます!」
「助かる!百田殿はどう行動する?」
「あのカイザーゴーレムとノスグーラは我々に任せてください!トーパ軍は魔物への対処をお願いします!」
「心得た!」
その直後、遅れて先遣隊が到着すると百田とアーロンは各々の隊の指揮に入る。
「小隊各員、これより我々はあの巨人と魔王を仕留める!今までの敵とは訳が違う!我々の常識は通用しないと思い、冷静に慌てず対処せよ!」
百田は無線で全員にそう呼び掛ける。日米の先遣隊は持てるその戦力を以てノスグーラによる一連の事件に終止符を打つつもりで、全員がそう覚悟を決めた。
それから数分後、魔物の迎撃と日米部隊をノスグーラの注意から引き離すため先鋒のトーパ軍が城門を出る。
「いよいよか………」
小隊指揮車である73式の車内から、出撃していくトーパ軍を見ながら百田は彼らの無事を祈る。
「司令、魔物相手ならは兎も角、あのゴーレムが来たらどうするんですか?そもそもこの戦いに意味なんてあるんでしょうか?」
北門を出たトーパ軍の副司令官はアジズにそう尋ねる。
「泣き言は聞かん。ゴブリンなんかの雑魚相手なら我々でも出来るし、日米の部隊ならあのカイザーゴーレムとノスグーラを仕留めるとやってのける自信がある」
アジズは2回も魔王軍相手に作戦を成功させている日米部隊を心から信頼している。根拠は無いが、彼らの力ならその根拠に自信が持てるのである。
「よし!各員、気を引き締めろ!」
迫ってくる魔物に向けてトルメス駐留部隊は攻撃態勢を取る。
「行くぞぉぉぉ!!!!」
トルメス駐留部隊は迎撃のため魔物に向かって突撃を開始した。
「1尉、トーパ軍戦闘開始!」
「よし、今のうちに行くぞ!全車、前へ!」
16式機動戦闘車を先頭に日米部隊は城門から飛び出した。日米部隊はノスグーラとカイザーゴーレムの側面から仕掛ける。
「犬神、任せたぞ!」
『了解!』
16式機動戦闘車を指揮する犬神は、87式と共にカイザーゴーレムへの攻撃のための指揮を執る。
「正面、敵ゴーレム!」
16式の砲塔が旋回しカイザーゴーレムに砲口が向けられる。10式戦車の開発で生かされた技術が使われている16式の火器管制システムはしっかりとカイザーゴーレムを捉え続ける。
「対りゅう、撃て!」
合図と共に105ミリ砲から対戦車榴弾が放たれた。
「むっ!」
ノスグーラは直前に攻撃に気がつき、咄嗟にカイザーゴーレムから離れた。
その直後、カイザーゴーレムの頭部が粉々に吹き飛んだ。
「ふぅ……少し肝を冷やしたな。しかしこのような攻撃を人間共が出来るはずが…」
ノスグーラは空中で浮遊しながら下を見る。彼の目には16式機動戦闘車が走りながら砲口を向けているのが見えた。
「あ……アレは…………鋼鉄の地竜か!」
ノスグーラは前日の報告からその存在を把握はしていた物の、彼の中に残っている記憶が彼の体を大きく震わせる。
「太陽神の使い達かぁぁ!!」
続く
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