日本国召喚×不沈戦艦紀伊   作:明日をユメミル

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第10話

「命中!やったぞ!」

 

 

16式のキューポラから首から上が崩落するカイザーゴーレムを見ていた犬神は歓喜の声を上げる。

 

 

 

「いや、まだだ」

 

 

 

百田はこちらを見下ろすような表情のノスグーラと頭を吹き飛ばされてもまだ動き続けるカイザーゴーレムを見て、まだ決定的な打撃が与えられていないと直感した。

ノスグーラは空中で日米部隊を見ながら怒りを向ける。

 

 

「1万年前の恨み、ここで晴らす!カイザーゴーレムよ!奴を踏み潰せ!」

 

 

カイザーゴーレムを日米部隊に向けて攻撃を仕掛けた。

 

 

 

「よし!奴さん怒ってこっちに注意を向けた!このまま城門から引き離すぞ!」

 

「了解!」

 

 

日米部隊はカイザーゴーレムとノスグーラを城門から少しでも遠く引き離そうと、北へ向けて逃げるように動く。

 

 

「逃げるか!そうはさせんぞ!」

 

 

彼等の思惑に気付く事なくノスグーラは怒りに任せてカイザーゴーレムで追いかける。

 

 

 

「奴さん、追いかけて来ますぜ!」

 

「よし!どんどん逃げるぞ!」

 

 

 

日米部隊は車両の速度を一定に保ちながら、ノスグーラを挑発するような動きで注意を引き続ける。

 

 

 

「太陽神の使いめ……コケにしよって……」

 

 

 

ノスグーラの怒りを表すかのように、身体からどす黒いオーラが放たれる。

城門から3キロ程離れると、百田は此処で仕掛けようと次の指示を出した。

 

 

 

「仕留めるぞ!犬神、分かってるな?」

 

『了解!』

 

 

 

犬神はカイザーゴーレムの弱点である胸のコアを潰すため、装填手と砲手に指示を送る。

 

 

 

「敵、胸部中央!弾種、徹甲!」

 

 

 

装填手がAPFSDS弾を装填し、砲手がカイザーゴーレムの胸の真ん中に照準を合わせる。

 

 

 

「撃て!」

 

 

 

105ミリ砲からAPFSDS弾が発射され、弾体を覆っていたカバーが外れるとダーツ状のタングステン合金で作られた弾体がカイザーゴーレムのコアに直撃した。

 

 

 

「何っ!?」

 

 

 

APFSDS弾はコアをボール紙のように貫き、反対側へ抜けていった。

コアを破壊されたカイザーゴーレムはあっさりと崩壊、ノスグーラは素早く飛び上がり崩壊していくカイザーゴーレムから離れる。本体を構成していた土と岩が地面に山のように積み上がった。

 

 

 

「目標撃破!やったぞ!」

 

「各員、目標をノスグーラに変更!対空射撃始め!」

 

 

 

アーロンは目標をノスグーラに変更するように指示した。日米部隊の車両に搭載されている機関砲と機関銃による対空射撃がノスグーラに向けて開始された。

 

 

 

 

ブォォォォォォォォォォォォォォォォォォォ!!!!!

 

ドンドンドン!ドンドンドン!ドンドン!

 

ガァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァ!!!

 

 

 

LAV-25のチェーンガン、ハンヴィーのM134ミニガン、GAU-19、ブローニングM2等の大口径機関銃による大雨のような掃射がノスグーラに襲いかかる。

 

 

 

 

 

「ぬうっ!」

 

 

 

ノスグーラはシールドを展開し弾幕を防ごうと受け身を取った。

 

 

 

「嘘だろ!全部防いでやがる!」

 

「攻撃の手を緩めるな!」

 

「猿渡!PSAMを使え!」

 

「了解!」

 

 

猿渡は機銃手と入れ替わり、軽装甲機動車の車内から91式携帯地対空誘導弾を抱えてハッチから姿を表す。

BCUと呼ばれる電池を本体に装着すると肩に掛けて構えると、電源ボタンを押して、画像表示装置を覗き込む。

 

 

「目標捕捉、発射ぁ!」

 

 

ロックオンと同時に引き金を引くと誘導弾が撃ち出され、ノスグーラに向かって真っ直ぐ突き進んでいく。

 

 

 

「サントス軍曹、奴を地面に叩き落とせ!」

 

了解!(yes sir!)

 

 

 

元空軍特技兵の経歴を持つ女性海兵隊員のミシェル・サントス軍曹がJ-LTVの車内からFGM-148ジャベリン対戦車ミサイルを取り出し、ノスグーラをロックオンする。

 

 

 

「発射ぁ!」

 

 

 

トリガーを引くとミサイル本体が収まったチューブからミサイルが勢いよく飛び出した。ロケットブースターが作動し、弾頭の赤外線シーカーがノスグーラの熱源を捉え自律誘導で真っ直ぐ突き進む。

 

 

 

「なんだあれは!」

 

 

 

ノスグーラは向かってくるジャベリンとPSAMを見て自身の記憶を探るが、太陽神の使い達が使っていた兵器に当てはまる物が無く、対処法が思い浮かばず、やむなくシールドの防御力を上げるため更に多くの魔力を送り込む。

 

 

 

「ぬうっ!」

 

 

 

直後、PSAMとジャベリンがノスグーラのシールドを直撃した。

 

 

「何っ!?」

 

 

二つの弾頭を備えるタンデム式のジャベリンミサイルと指向性弾頭を持つPSAM。真っ先に近接信管が作動してシールド手前で爆発したPSAMの破片がシールドに対して一時的にだが大きなダメージを与え、そこにジャベリンが弱まった部分に直撃した。

 

 

 

「グォっ!!」

 

 

 

タンデム信管であるジャベリンの一番目の弾頭が爆発、強度が落ちていたシールドを完全に吹き飛ばし、2つ目の弾頭がノスグーラにメタルジェットを叩き付けた。

 

 

 

「グァぁぁぁぁぁぁ!!!!!!!!」

 

 

 

胸から下を一瞬で吹き飛ばされ、ノスグーラは近くの森の中へ墜落していった。

 

 

 

「やりました!目標撃墜!」

 

「よくやったサントス!」

 

「Foooooo!!!!」

 

「見たか!俺たちの力を!」

 

 

 

海兵隊員達は墜落していった魔王を見て歓喜の声をあげた。

 

 

 

「さて、魔王を探すぞ!確実にトドメを刺さなければ……」

 

 

 

百田達は墜落した魔王を捜索するため、森の前で車両を止めて、そこから森へ入った。

 

 

「突発事態に備えろ。着け剣」

 

 

 

接近戦を想定し銃剣装着の指示が出され、百田とアーロン達は銃口に銃剣を装着してから草木が覆い茂る森の中をノスグーラを捜索する。

 

 

「気を付けろ。ベトナムみたいなゲリラ戦はゴメンだからな」

 

 

皆、魔王が既に回復しゲリラ戦を仕掛けてくるのではないかと内心不安に思い、そうならないよう祈りながらノスグーラを探し続ける。

 

 

 

ガサァッ!

 

 

「ん?」

 

 

ふと、近くの茂から葉が揺れる音がした。

側に居たジムがM16A4に装着していたOKC-3S銃剣で葉を切り退きながら茂の中を覗き込む。

 

 

「うっ…………あ……………あ…………」

 

 

茂みの中に、首と片腕だけのノスグーラが横たわり、恨みが籠った視線をジムに向けてきた。

 

 

 

「うわぁっ!居たぞぉぉぉぉ!居たぞぉぉぉぉ!」

 

 

 

 

ジムは大声でそう叫びながらノスグーラに向けてM16を向けて撃ち込んでいく。

 

 

 

「やめろジム!大事な捕虜だ!」

 

 

 

回りに居た味方が次々と集まり、茂みの中に居るノスグーラに向けてM16を放っていたジムを落ち着かせる。

 

 

 

「敵発見!引き摺りだせ!」

 

 

 

満身創痍のノスグーラに銃剣を浅めに突き刺し、茂みから引き摺り出す。

 

 

 

「やめろ………やめろ…………人間が………」

 

 

 

ノスグーラはかすれ声でそう言い放ち、残った左腕を振り回して抵抗するが、それも空しく森の外まで引き摺られる。

 

 

 

「コイツが魔王って奴か」

 

 

 

百田とアーロンの元へ連れてこられた魔王は、自分を見下すようにしてくる彼等にまたもや怒りを表す。

 

 

 

「人間如きが………私を見下して………許される筈が………」

 

「魔王、今はそんな事は関係ないよ。君には魔帝の秘密を喋ってもらう必要があるからね」

 

 

 

メテオスがノスグーラに冷たくそう言い放つ。

 

 

 

「誰が………魔帝様の事を………喋って………なるものか……………」

 

「困るんだよね。君に喋って貰わないと、魔法帝国との戦いに備えられないから」

 

「貴様らの事など知った事か!魔帝様は……強い………貴様らなど相手にならない程にな………」

 

「君に言われなくても知っているよ。だからこそ、魔法帝国に勝つための活路を見いだすために聞いているんだ」

 

「そうか………なら、良い事を教えてやろう……魔」

 

「『魔帝様は近いうちに、復活するだろう』かね?」

 

 

 

ノスグーラが今、話そうとしている内容を察したメテオスはノスグーラの言葉を先読みする。

 

 

「そして次に君が発する言葉は『貴様、何故それを知っている!?』だ」

 

「貴様、何故それを知っている!?ハッ!」

 

 

 

ノスグーラは自身が放とうと思っていた言葉をメテオスに先読みされて、魔王である自分のプライドと自信に傷がついた。

 

 

「魔法帝国復活が近い事は、我々はエモール王国の予言でもう知っているんだよ。彼等の予言の的中率は98パーセントだからね。今さら君に言われても我々は何とも思わない。さて、君には我々の勝利のための生け贄になってもらうよ」

 

 

 

メテオスはマラストラスを回収する時に使用した魔導冷却機から伸びるノズルの噴射口をノスグーラに向ける。

 

 

 

「やめろ……やめろ……」

 

「やめろと言って君は今まで自分の糧にしてきた人間達の言葉を聞いたかね?寝言を言いたいなら寝かしつけてあげるよ」

 

 

 

 

そう言い放つメテオスは何の躊躇いもなくノスグーラに最大出力にした冷却用ガスを吹き付ける。

ノスグーラは傷口となってる首から急速冷凍で凍りはじめる。

 

 

 

「馬鹿なぁぁぁぁぁっ!!!このノスグーラがぁぁぁ!!!このノスグーラがぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!」

 

 

 

 

耳を塞ぎたくなるような大声で断末魔をあげながらノスグーラは完全に凍りつき、動かなくなってしまった。

メテオス達、魔帝対策省の職員達は仮死状態となってしまったノスグーラの首の傷口に腐敗防止処理とノスグーラが魔力を使って復活しないよう魔力を封じさせるミリシアルの国家機密に指定されている特別魔法を施し透明のガラスで中が見えるようになっている小型冷凍庫に詰め込む。

そして最後に、爆薬が詰まった樽10個分の爆発にも耐えられる小型シェルター並の耐久性を持つ棺のような箱に冷凍庫を詰め込み、ノスグーラが出てこれないよう厳重に鍵を閉めた。

 

 

「よし、これで良い」

 

 

メテオスはそう言うと乗ってきた73式大型トラックの荷台に箱を乗せた。

 

 

「終わった………」

 

 

 

トラックに乗せられたノスグーラが入った箱を見ながら日米部隊の隊員達は緊張から解放されたかのように力が抜けた。

 

 

 

「いや、まだ終わってない。城門で戦ってるトーパ軍を助けに戻るぞ!」

 

「そうだな。よし、各員乗車!戻るぞ!」

 

「「「「「了解!!!」」」」」

 

 

改めて気を引き締めた日米部隊は魔王軍残党の掃討とトーパ軍支援のため、城門へと急いで戻る。

 

 

「やってるな」

 

 

戻ってみると、トーパ軍は魔王軍の残党とまだ戦闘を繰り広げていた。残党はどうやらノスグーラが倒された事を知らないのか、闘志を失っていない様子だった。

 

 

「よし!側面から仕掛ける!攻撃開始!」

 

 

日米部隊は魔王軍残党部隊の側面から攻撃を仕掛ける。機関砲とグレネード、戦車砲からの攻撃にゴブリン等の魔物達は大慌てとなり、逃げ腰となる。

96式装輪装甲車、ストライカーACVから自衛隊員と海兵隊員が降りて来ると、魔王軍に向けて射撃を開始した。

 

 

「敵は逃げるぞ!進めぇ!」

 

 

トーパ軍の日米部隊による攻撃で魔王軍は我先にと、後退していく。

日米部隊は弾切れ覚悟で弾幕攻撃を続け、その間に百田は無線を使いある場所へと連絡していた。

 

 

「こちらピーチマスター、敵は鬼ヶ島に帰る!」

 

『こちらノブナガ、了解』

 

 

百田は当初の作戦通り最終段階としてグラメウス大陸に続く平原に魔王軍を追い込み、そこをベルンゲン港沖で待機している尾張による艦砲射撃で砲弾を叩き込み、魔王軍を一網打尽にするため、合図となる信号弾を打ち上げる。

 

 

「こちらピーチマスター、敵を平原に追い込め!」

 

 

日米部隊とトーパ軍は作戦に従い、魔王軍を平原へと追い詰め目ていく。

激しい攻撃を前に魔王軍は総崩れとなり、大慌てでグラメウス大陸方向へと逃げ出した。

 

 

「よし!追撃中止!俺たちも巻き込まれるぞ!」

 

 

日米トの部隊は砲撃に巻き込まれないよう追撃を中止する。

 

 

「よし、此処で決めるぞ!こちらピーチマスター、何時でも良いぞ!」

 

「ノブナガ了解」

 

 

 

百田からの合図を受けたベルンゲン港沖の尾張はグラメウス大陸方向に主砲を向ける。

 

 

「主砲全門、砲撃用意よし!」

 

「よし!撃てぇい!」

 

「砲撃始め!」

 

 

神の合図で尾張は51センチ砲9門を斉射で放った。

 

 

『弾着……今っ!』

 

 

曲射で放たれた砲弾9発が魔王軍に降り注いだ。大爆発により一度に何十、何百と言う魔物が吹き飛ばされる。

空中を飛翔しているパイオニアによる着弾観測により、尾張は遠距離からほぼ一方的に魔王軍を攻撃し、次々と砲弾を撃ち込んでいく。

 

 

「スゲェ……」

 

「これが噂になっている日本の戦船の力か……こりゃパーパルディアがアッサリ負けたのも納得だ」

 

 

モア、ガイ、アジズとトーパ軍将兵は、魔物を業火で包み込む尾張の砲撃に唖然としていた。

次々と行われる艦砲射撃に魔王軍残党はどうする事も出来ず、やがて平原にはクレーターしか残らず、大量の魔物は姿を消してしまった。

 

 

 

「やったぞ…………遂に………」

 

「魔王軍は全滅だ…………勝ったんだ、俺たちは!」

 

 

 

日米トの3か国の部隊はその場で勝利に沸いた。

歴史的とも言える大勝利は世界的に大々的に報道され今まで魔王の脅威に晒されていた者達は抑圧から解放された事に喜び、日本、アメリカの国際的な地位は益々上がる事となった。

 

一方でミリシアル側も魔王とマラストラスを含めた、魔物のサンプルや日米の戦闘に関する記録等を手に入れる事に成功し、近い将来の魔帝との戦いの準備が進み、混沌としている世界秩序の再構築と今後を見据えて日本とアメリカと外交的にも今まで以上に接近する事となるのは別の話である。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

続く




次回で魔王編は最後です。

今回もジョジョネタを入れてあります。


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