魔王軍との戦いから、戦闘後の後処理を含めて一週間が経過した。
魔王軍に破壊されたトルメス北エリアは日本とアメリカから追加で派遣されてきた施設科部隊と工兵部隊、日本国内から支援にやってきた民間の建設企業、トーパ軍トルメス駐留部隊により復興作業が行われていた。
「そっちの資材は今日中に片付けろ!明後日の住民帰還には何としても間に合わせるぞ!」
「おい!こっちに人を回してくれ!」
「此処は後回しだ。向こうを最優先に動け!」
日米が持ち込んだ工事車両や機材が忙しく動き回り、倒壊した家屋の取り壊しと建て直し、修理、後片付けに追われ、明後日の住民帰還に間に合わせるように作業が進められていく。
「元に戻りつつあるな………」
モアはその様子を感慨深く見ていた。
「おいモア!」
そこへガイがやって来た。
「何してんだ?」
「あぁ……一週間前の事がつい数年前のように思えてな」
「そうだな……まさか本当に魔王に勝っちまうなんてな。今でも信じられねぇな」
2人はあの戦いの後、後処理に走り回っていたが、特に混乱もトラブルもなくスムーズに処理を終えて、今日は休みを取っていた。
「そう言えば今日が最後だっけな?」
「あぁ……百田さんとアーロンさん達が国へ帰るのは明日だ」
そう、今日はベルンゲンに居る駆除任務部隊の本隊から1個小隊を残して百田とアーロン達、駆除任務部隊は各々の本国へ帰還する前日で、戦勝祝いが行われる日なのである。
「寂しくなるな」
「あぁ………だが彼等には国を守る任務があるからな。本来は此処に居るべきではないんだ」
「魔王の襲来が無ければな…………」
ふとガイが日本製の腕時計を見て時間を確認する。
「そろそろ時間だぜ」
「あぁ……行くか」
モアとガイは戦勝祝いが行われる駐留部隊の司令部へと戻る。
「お、来たぞ!」
会場に入ると、既にパーティーを始めていた。
「遅いぞ!もう始めてるぜ!」
「俺たちの国の美味い料理も沢山用意したから食え食え!」
「あぁ……ありがとう!」
「じゃあ遠慮なく!」
モアとガイは用意されていた料理を選んで食べはじめる。
「美味い!百田さん、このスープは何なんですか?」
「豚汁と言うんだ。味噌っていう調味料を使った汁に豚肉と野菜をたくさん使って作られる料理で、おかずにもなるぞ」
「この茶色い奴、めっちゃ甘ぇ!アメリカの人ってこんな甘いのを毎日食ってるのかよ!このホットドックてのも美味い!コーラってのも舌が痺れるが冷たくて美味い!」
「どんどん食ってくれ!まだまだあるぞ!」
モアは質素に見えるが実は健康的な日本食を、ガイはアメリカ独特の食文化を楽しむ。
その後もパーティーは盛り上がり、三か国の人が互いに交流を深めていった。
その頃、メテオスは………
「と言う訳でございまして、無事にノスグーラとマラストラスのサンプルは無事に手に入りました」
『よくやってくれたメテオス君』
メテオスは戦艦コパーの自室で魔信機を使い、本国に居る上司である『ヒルカネ・パルペ』に報告を行っていた。
『今回の上の判断は的確だった。お陰で多くの物が手に入った』
「えぇ。それに日米の戦闘データも手に入りました。これで魔帝へ対する力と大国である我がミリシアルが一層大きく前進できますな」
ミリシアルはグラ・バルカスとの戦いが始まってから、此処しばらくは良い所を見せられておらず、大国としての権威に陰りが見え始めていた。ミリシアル上層部も求心力低下による権威失墜を望んでおらず、大国としての権威を取り戻すために躍起になっていた。
今回のメテオスらの派遣もミリシアル上層部による、将来的な秩序安定の役割を果たすミリシアルの力を取り戻すと同時に、魔帝に対する対抗力を何としてでも得るための情報収集活動の一環であり、メテオスが魔王戦で得たノスグーラとマラストラスのサンプル、日米双方の戦術研究報告を自国のために利用する算段である。
「では部長、詳しい報告は帰還した後に提出いたします」
『分かった。くれぐれも君達の目論見が日本とアメリカに見抜かれないように、行動には細心の注意を払ってくれ』
「分かりました」
通信を終えて魔信機を切ると、メテオスは本国に提出する報告書の作成に入った。
短いですが、魔王編は終了です。
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