日本国召喚×不沈戦艦紀伊   作:明日をユメミル

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今回からカルミアーク王国編を書いていきます


カルミアーク王国編
外伝:1


パーパルディアとの戦争も一段落し、翌年の先進11ヵ国会議に向けての準備に奔走する日本。

新世界との外交交渉を担う日本国外務省では、日増しに増える新世界諸国との接触や会談に備えて、大忙しだった。

 

 

そんな中、JAXAから総理官邸経由で外務省にある報告が舞い込んだ。

 

 

それは、新世界の惑星探査用人工衛星が日本本土から北東3000キロも離れた位置に島を発見したのだ。

その島を解析した結果、面積は日本の本州の半分程の大きさで、リング状の山脈に囲まれており、その内海に存在するのである。

しかもその島の中には、人工的に作られた多数の建物や城のような建造物を人工衛星の高解像度カメラが撮影している。

 

政府はこの島に存在すると思われる国家又は統治機構との接触を図ると決定し、その特使派遣を外務省に通達してきたのであった。

 

 

「しかしまた、こんな距離にある島にどうやって降りろって言うんだ?」

 

 

 

外務大臣は衛星写真を見ながらボヤく。

衛星写真に写し出されている島は先述の通り、リング状の山脈に囲まれた内海に存在するため船では乗り付けられない。かと言って航空機で向かおうにも離着陸できる空港や開けた土地が無い。

ならヘリではとの話にもなるが、本土から3000キロ以上となると往復で6000キロは越えるため明らかに航続距離不足であり、国内にはそんな長距離を飛べるヘリは存在しない。

 

 

「他に何か案は無いだろうか………」

 

「大臣、やはり此処は自衛隊に協力を仰ぎましょう。きっと彼等なら良い案を提示してきてくれそうです」

 

「だな。我々の任務は飽くまで外交交渉だからな」

 

 

新世界に転移してから周辺諸国との接触には必ず何かしら不測の事態に陥っており、その度自衛隊が対処しているため、外務省内には自衛隊を護衛や移動手段を提供するための便利屋扱いする傾向がある。今回の外務大臣の判断もそうした上での事である。

 

 

 

 

 

霞が関にある外務省本省から例の件は外務大臣による正式要請として、市ヶ谷にある『防衛省』に送られた。

 

 

「大臣、外務省からまた…」

 

「分かってる。この前のニュースで例の島が見つかったって聞いてから覚悟はしていたさ」

 

 

 

防衛大臣は秘書官から手渡された外務省からの正式要請についての書類に目を通す。

 

 

「例の島へ向かうための護衛や移動手段の提供か………簡単に言ってくれるな」

 

 

防衛大臣は書類に細々と書かれている外務省からの正式要請文を読んで溜め息を吐く。

 

 

「直ぐに各統幕長を召集してくれ」

 

「はい」

 

 

防衛大臣はもう何回目かも分からない統幕長召集会議に頭を痛めながら、執務室を後にした。

 

 

 

 

2時間後、防衛省内にある会議室に防衛大臣を初めとした、陸海空自衛隊の統幕長と幹部が集合し、外務省からの正式要請についての会議が始まる。

 

 

「また難儀ですな………」

 

「えぇ。まさかこんな特殊な地形をしている島へとは」

 

 

各幕僚長も衛星写真を見て頭を抱える。

 

 

「各幕僚長には、それぞれの考えを聞かせて欲しい」

 

 

防衛大臣の言に各幕僚長は少し間を置いてから、最初に海上幕僚長が案を出してきた。

 

 

「移動手段に関しては、本土からの距離が距離ですから、ヘリを艦船に乗せて目的地近くまで移動させ、そこからヘリを飛ばして上陸するのが最適では無いでしょうか?」

 

「だがこの島を囲んでいるリング状の山脈地帯にヘリが着陸できそうな開けた土地はありません。そちらが輸送艦1隻を用意していただけなるなら、水陸機動団1個小隊とAAV7を2両、万が一に備えて第1対戦車ヘリコプター隊からコブラとアパッチを1機ずつ、チヌークを1機出せます」

 

「輸送艦に関しては、おおすみ型はロデニウス大陸方面やフィルアデス方面の陸上自衛隊の撤収と追加派遣部隊の輸送で手一杯ですし、その後はメンテナンスの予定もありますので、そちらに回す余裕はありません」

 

「なら、ヘリが搭載できて、ある程度の人員が乗せられる艦はありますか?」

 

「……………いずも型といせ型がありますが、何れもメンテナンスの予定が入ってますし、既にドックに入っていたりしているので、政府や外務省が言っているように直ぐに用意は出来ません。他の護衛艦も最近報告されている海賊への対処やシーレーン防衛に手一杯です」

 

「………………………移動手段さえ何とかなればな」

 

 

 

全員、頭を抱えてしまう。

 

 

 

「………………大臣、1つ案があります」

 

 

 

そこへ海上幕僚長が案を出してきた。

 

 

 

「『尾張』を出しましょう。尾張ならいずも型やいせ型程ではありませんがヘリ格納庫とヘリポートを備えていますし、護衛の隊員を乗せるにも充分なスペースがあります」

 

「尾張か…………フェンでの件もあるからな。だがそれでは砲艦外交にならないだろうか?」

 

「無論、それも考慮に入れています。海上保安庁の巡視船も使いましょう。巡視船なら尾張のように目立った武装はありませんし、船体の塗装も派手なので、特使を乗せる船としては最適でしょう」

 

「成る程。巡視船を特使船として、尾張には特使の護衛を任せると言う訳だな。じゃあ海上での移動手段は良しとして、目的地へはどうやって上陸を?」

 

「それは私から」

 

 

そこへ航空幕僚長が立ち上がる。

 

 

「この世界にはワイバーンと竜騎士と言う移動手段があります。確かその中に、2人乗りで垂直離着陸できる種類が居たとの報告がありました」

 

「成る程。それならヘリを使う手間が減るし、特使が態々ラペリングする必要は無さそうだ。直ぐに手配してくれ!」

 

「はい!」

 

 

航空幕僚長はそう返事すると会議室を退室した。

 

 

 

「これなら何とかなりそうだ。直ぐに国交省に応援要請だ!海上と陸上幕僚長は手配を急いでくれ!」

 

 

 

 

防衛省と外務省は、例の島に向けての手配に動く事となった。

 

 

 

 

 

続く




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