日本国召喚×不沈戦艦紀伊   作:明日をユメミル

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外伝:3

島への派遣に備えて一ヶ月の準備の末、遂に派遣日がやって来た。

 

 

「久し振りん任務じゃな」

 

 

呉港で出港準備を整えていた尾張の艦橋で、神が鹿児島弁で大きく背伸びをしながら呟く。

 

 

「パーパルディア戦以来の任務ですからね。皆張り切ってますよ」

 

 

側に控えていた副長の言葉の通り、尾張はパーパルディア戦以降は母港の呉にて訓練の毎日であったがため、実に数ヶ月ぶりとなる任務に尾張の全乗員は、鬱憤を晴らすかのように張り切っていた。

 

 

 

「艦長、海保の『れいめい』が到着しました」

 

 

 

通信員からの報告に神達は外を見る。

九州の方向から海上保安庁所属を示す白に青色のラインが描かれた一隻の大型巡視船が呉港にやって来た。

 

 

 

「特使船にしては豪華じゃな」

 

「全くです。最新鋭のれいめい型を丸々特使船として使うんですからね」

 

 

 

入港してきたのは、海上保安庁最大の巡視船である『あきつしま』型巡視船の改良・発展型として建造された最新鋭の『れいめい』型巡視船の『れいめい』だった。

 

特使船としてれいめいが任命されたのは、ヘリが搭載できて目に見える武装が少ない事から、相手を威圧せず接触できるとの配慮もあるが、先のフェンでのパーパルディア監査軍襲撃事件の教訓から、ある程度の戦闘能力と軍艦構造特有の防御力を買われたからである。

 

現在は本船は鹿児島に本部を置く第5管区所属となっており、今回の島への派遣任務のため習熟訓練スケジュールを切り上げて鹿児島県沖から呉へとやって来たのである。

 

 

 

 

 

『れいめい』艦橋

 

 

「両舷停止、錨入れ!」

 

 

れいめいのブリッジで指揮を執る、船長の『山崎慶次』二等海上保安監の声が響き、乗員達が入港準備に入った。

 

 

「ようやく着いたか。ロデニウス沖でお客さん拾ってたら遅くなったから向こうは首長くしてるだろうな」

 

 

 

山崎がブリッジから船尾の格納庫を見る。

れいめいの船尾にある広いヘリ甲板では、1騎のワイバーンと竜騎士の姿があった。

 

 

 

「相棒、ようやく着いたぞ」

 

『グルゥゥ~』

 

 

甲板に居たのは、外務省からの要請で今回の使節団に参加していたムーラのその相棒のワイバーンだった。彼はロウリアから飛び立ち鹿児島県沖でれいめいとの合流していたのである。

 

 

「ムーラさん!入港完了しました!」

 

「分かりました。ここまでありがとうございました!」

 

 

ムーラは担当の海上保安官に礼を述べると、相棒の背中に素早く乗り込み、両足で胴体に蹴りを入れて相棒に飛ぶよう指示を飛ばす。

 

 

グォォォォ!!!

 

 

 

耳をつんざくような咆哮と共に、相棒は翼を羽ばたかせながら、れいめいの飛行甲板から飛び立った。

 

 

 

「あれが、海軍を壊滅させたって言う日本のモンスターの片割れか」

 

 

 

ムーラは相棒の背中から尾張を見つめる。

今回ムーラは、島への特使の運搬兼護衛の任務を受け持っているため、今回は他に護衛として付いてくる陸上自衛隊一個小隊と共に尾張に乗り込む事となる。

 

 

「成る程………あの話は本当だったみたいだな」

 

 

尾張に近付くにつれて、その大きさと威容にムーラは圧倒される。

 

 

 

「あそこに降り立てば良いのか」

 

 

ムーラは尾張の艦尾にあるヘリ甲板に回り込む。

甲板には既に着艦誘導員が待機しており、ムーラに向けて手信号で着艦指示と誘導を行う。

 

 

「相棒、慌てるな。さっきの船に着艦した時のようにすれば良いんだ」

 

 

相棒にそう話し掛けながら指示に従い、ホバリングさせながら甲板中央へ向けてゆっくりと降り立ち、遂に甲板に足が着いた。見事ど真ん中に着艦に成功した。

 

 

 

「よし、よくやったぞ相棒!」

 

 

 

そう話し掛けながら相棒の頬を撫でながら背中から降りる。

 

 

「ムーラさんですね!」

 

 

ふと後ろから声を掛けられる。振り返ると、ムーラと共に特使の護衛に付く陸上自衛隊から選抜された特使護衛小隊の小隊長の橋本2尉と同じく護衛に就く第4対戦車ヘリコプター隊から派遣され、ロウリア戦でムーラを撃墜したアパッチに乗っていた大塚と伊藤の姿があった。

 

 

 

「自分は特使護衛小隊を指揮する第1空挺団の橋本です!」

 

「俺達は……今さら言わなくても分かるかな?」

 

「はい。あの時以来ですね大塚さん、伊藤さん。お元気そうで何よりです」

 

 

ムーラは戦後に大塚と伊藤の二人とも交流を深めており、同じく空を飛ぶ者同士、気が合う友人となっていた。手短に話を終えると、後ろに居たもう一人の人物と目が合った。

 

 

「あの………そちらがもう一人の竜騎士の方ですか」

 

「はい!元パーパルディア皇国監査軍所属のレクマイアです!」

 

 

もう一人の竜騎士は、かつてフェンに襲撃してきたパーパルディア皇国監査軍竜騎士隊の唯一の生き残りである特A級竜騎士『レクマイア』だった。

彼もムーラと同様、軍人をやめて日本に移住し日本企業でサラリーマンとして生活していた時に、外務省から竜騎士としての腕を買われ今回の使節団に参加する事になったのである。

 

 

 

「貴方がムーラ殿ですか!お噂はかねがね伺っております!」

 

 

レクマイアは子供のような純粋笑みでムーラに話し掛ける。ムーラはレクマイアをよく見るパーパルディア人ではないかと一瞬だけ思ったが、彼の表情と目からは自分を純粋に一人の人間として見てくれているのだと直感し、彼と同じくリラックスした笑顔でレクマイアと握手を交わす。

 

 

「貴方とは気が合いそうです。道中は色々とお話をお願いしますね」

 

「こちらこそ!」

 

 

二人も同じく空を飛ぶ者同士で波長が合ったのか、ほんの少ししか会話をしていないのにも関わらず、気が合う者同士となっていた。

 

 

「さて、後は艦内でと行きましょう。もうそろそろ出港の様なので」

 

 

橋本がそう言うと同時に、外務省から派遣されてきた特使を乗せた海保のヘリコプター『EC225 はやたか』がれいめいに着艦し、特使を乗せた。

 

 

 

 

 

そして1時間後、尾張とれいめいの2隻の使節船団は呉港から出港し、例の島へ向かっていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

続く




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