使節船団から飛び立った特使達はカルアミーク王国に向けて空高く飛行していた。
「もう見える頃ですね」
飛び立ってから30分、北村とムーラ達は島を目視できる地点にまで近付いていた。
「見えた!前方に島です!」
先頭を飛行していたレクマイアが下方向を指差し、そこに視線を向けると、衛星写真で見た通り、リング状の山脈に囲まれた3つの島が見えてきた。
「高度を下げます」
レクマイアとムーラは相棒に指示を出し高度を下げさせると、島の南から低空で侵入し、断崖絶壁を飛び越えると、山脈上空に入った。
「あそこに着陸します」
ムーラが指差した方角には、木々が生い茂る山の中腹に僅ながら開けた場所があり、そこへ相棒をホバリングさせ、地面にダウンウォッシュを吹き掛けながらゆっくりと着陸させる。
「着陸成功。降りて大丈夫ですよ」
相棒の足が地面についたのを確認して、ムーラとレクマイアの後に続いて、北村達が降りる。
「ふぅ。ようやく地面だ」
「あっという間でしたね」
北村達は地に足がつけた事に胸を撫で下ろす。
「さて、ここから目的地までは徒歩ですね」
「人工衛星を基に作った地図があります」
北村達は移動用に用意していたスポーツシューズに履き替え、松本が地図を取り出す。
「我々は現在、この山脈の南のこの地点に位置しています。ここから人が住んでいると思われる街までは此処から北へ30キロの一直線で到達できます」
「30キロか………行けない距離ではないな。休憩を挟めば夕方にでも辿り着けそうだな」
北村達は目的地までの移動について1時間程、確認と調整を行い、出発準備を整える。
「…………では、この通りに行きましょう」
「じゃあ善は急げ、出発しましょうか」
全員、身支度を終えて出発しようとした時。
キャァァァァァァァァァァァァ!!!!!!
突然、絹を裂くような女性の悲鳴が響き渡った。ムーラ、レクマイア、松本、岸田が声が聞こえてきた方向に目線を向けて素早く身構えた。
「北側の方だな」
「私が見てくる!」
「私も行こう!」
ムーラとレクマイアは愛騎の背中に素早く乗り込むと直ぐに飛び立たせて、北に向かって飛んだ。
「何処だ?」
2人は下を見ながら異常が無いかを探る。すると直ぐに、異常を発見した。
「あれは……少女に魔獣か!?」
下を見ると、一人の少女が地面に座り込み、その目の前にイノシシと、頭に12本の角を生やしたおぞましい見た目の長身で筋肉剥き出しの魔獣が今にも少女に襲い掛からんとしていた。
「レクマイア殿!」
「うむ!」
2人は息を合わせてそこへ向けて愛騎を急降下させる。
「私は魔獣を、レクマイア殿は雑魚を!」
「任された!」
2手に分かれる。
ムーラは魔獣に向けて相棒に攻撃用意を指示する。
「今だ!」
『グォォォォォォォォォォォォォ!!!!』
咆哮と共に彼の相棒は口から高熱の炎を吐き出し、魔獣を火だるまにした。
続く
皆様からのご意見とご感想お待ちしております