現地人であるエネシーとの接触に成功した北村達、使節団一行は、彼女の案内でカルミアーク王国へと歩いていた。
「では、騎士様達とそちらの遣いの方達は、外の世界からやって来たと言う事なのでしょうか?」
「はい。私は此処から3000キロ離れた日本国より遣わされたのです」
道中、北村からの説明を受けるエネシー。
時々、ムーラとレクマイアに一瞬だけ視線を向けるが、貴族としての教育を受けてきたエネシーは、北村の話を聞き続ける。
「しかし、外の世界からとは…………これはこの国にとっては建国以来の出来事になりますから……」
「そちらの国では外の世界との交流は無いのですか?」
「はい。私の祖国であるカルミアーク王国、ポウシュ国、スーワイ共和国は周囲を山脈で囲まれていて、外海に繋がる広い洞窟がありますが、今までの歴史上、外海に出た者が生きて帰れた記録はありません」
エネシーの言葉に北村達は、この島にある3つの国がこの世界に存在する国家と交流も接触もない事が分かった。
(成る程、他国に問い合わせてもこの島の事を把握してなかったと言う説明がつく)
北村は事前に、外務省がこの島について他国に問い合わせても、全て知らぬ存ぜぬとの回答が返ってきたとの事前説明の内容についての理由が分かり納得する。
「見えました!あれがカルミアーク王国です!」
森から出て崖の上に出ると、3つの島が連なり、そのうちの1つをエネシーが指差した。
「では参りましょう」
一方その頃、カルミアーク王国の東側にある霊峰『ルード』の山中にある、とある遺跡。
その遺跡の周囲を囲むように集落があり、その集落を出入りする全ての人間は黒いローブに身を包み、誰一人と言葉を発さない異様な雰囲気が漂っている。
その人々の中に目を見張る程の装飾が施された服と甲冑を着る男に、大きな杖を片手に持つ魔導師の男が何かを報告していた。
「マウリ様、魔炎駆動式戦車の解析と実験の結果が出ました」
魔導師らしき男は、カルミアーク王国3大諸侯の一人『マウリ・ハンマン』に報告書を渡す。マウリは報告書に目を通すと、その内容に感心する。
「ほぅ………これは中々のモノだ。直ぐに戦力化も可能なら、いよいよ計画を実行に移せるな。して、遺跡の解析はどれだけ進んでいる?」
「遺跡に関しては内容があまりにも高度な上、荒唐無稽なモノが多く、あまり進んではいませんが、それも時間の問題でしょう。何せこの戦車も、遺跡をほんの少し解析しただけで産み出されたものなのですから」
「では解析が進めば、より強力な兵器も産み出せると?」
「はい。間違いないでしょう」
魔導師の言葉にマウリは笑みを浮かべる。
「それに、例の計画のための兵力は後3日もあれば準備が完了致します」
「では準備出来次第、計画を実行に移す」
「はっ!」
誰も知らないうちに、カルミアーク王国へ危機が迫りつつあった。
続く
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