マウリ・ハンマンによるクーデターが終結した。その夜、港は大勢の人でごった返していた。
国王の提案で、大規模な祝勝会が開かれていた。
王国内にある迎賓館や王城が軒並み被害を受けて使用できないため、北村の提案により、尾張の飛行甲板にて行われる事となり、ブランデを始めとした王国の重鎮やその家族などが集まり、日本との交流を深めている。
「ムーラ殿、レクマイア殿、大塚殿、伊藤殿、あなた方の、敵有翼騎士団ならびに敵戦車に対する戦闘、痺れました!まさか物語ではなく、実戦であれ程の活躍を出来る人がいるとは………感動の極みであります!」
王国の近衛騎士団団長の『ラーベル』はムーラ、レクマイア、大塚、伊藤に出来るだけの賛辞の言葉を贈る。
「ラーベルさん、買い被り過ぎですよ。我々は自身の身を守るために行動しただけですから」
「ですがそれでも、貴方がたに我が国の国民や国王陛下のお命を救って頂いたのは紛れもない事実!近衛騎士団の団長として感謝を申し上げます!」
ラーベルの対応にムーラ達は困り果てながらも内心、悪い気はしなかった。
軍人や自衛官というのは一般的に誉められる事が少ない職業であるが故、これ程までに感謝されるのには慣れていないのである。
「ムーラ様、レクマイア様!」
そこへ、エネシーがやって来る。
「エネシー、楽しんでいるかい?」
「はい!お二人の活躍、お友達に語っていた所です!あのマウリ・ハンマンを捕らえた時のムーラ様はもう………痺れました!」
「あの時か……………いやぁ、あの時はもう我を忘れていたんだ。今になって考えてみると、随分無茶したなと思ったよ。まぁ故郷に居る妻と子供には、良い土産話が出来たと思ってるけど」
「そうですか。家族の方への……………………………え?」
その時、エネシーの表情が強張った。
「え………と………ムーラ様、今故郷に妻と子供が居ると仰られましたが………」
「あれ?言ってなかったかな?私には妻と娘が居るんだ」
「………………………………」
エネシーは心の中で何かが壊れかけるような感覚に陥ったが、何とか正気を保ち更に問い掛ける。
「えぇと……ムーラ様は奥様以外に気になっている方はいらっしゃらないのですか?」
「私は今の妻一択だね。今さら他の女性を好きになるなんて有り得ないよ。因みに言うと、レクマイア殿も今付き合っている方が居るみたいだけど」
「…………………………」
その瞬間、エネシーの目から光が消え失せる。失恋という、少女にとっては過酷な現実を突き付けられ、彼女はその場に、気を失って倒れてしまった。
「エネシー!エネシー!」
「誰か!医者を呼んできてくれ!」
その日からエネシーは一週間程寝込んでしまい、2人に対して遂に思いを伝える事が出来なかった後悔から、暫くの間は再起不能となったのである。
そして後日、カルアミーク王国と日本との間で正式に国交が開設され、その後は日本国との仲介で各列強や他国との国交も開設された事により、建国以来の大発展を遂げる事となった。
余談ではあるが、死んだと思われていた魔導師オルドはカルアミーク王国軍によって拘束され、日本へ身柄を移送される。その後行われた事情聴取から、例の戦車を発掘した遺跡がかつてのラヴァーナル帝国の遺跡である事が判明。ミリシアルと日本、エモール王国、ムーの4ヶ国による共同研究チームで働く事を条件に、監視付きでの釈放が認められることになった。
以後、4国共同による大規模遺跡調査が行われる事となったのである。
続く