沖縄本島沖での敵潜水艦との戦闘を終えて無事横須賀に帰還した紀伊以下の護衛艦隊。
今回のカルトアルパスでのグラ・バルカス帝国との戦闘と、沖縄沖での潜水艦による襲撃の報告のため各艦の艦長達は防衛省へ報告に来ていた。
「以上が今回の戦闘報告になります」
「ご苦労。やはり政府の予想は本当だったな」
「はい。覚悟はしていましたが………」
松田は防衛大臣に戦闘の旨を報告する。防衛大臣は政府からの指示で、外務省から派遣される特使の護衛にしては過剰とも言える戦力の派遣が項を奏した事に安堵すると共に、新たな問題に頭を抱えた。
「しかし、近海に正体不明の潜水艦が潜んでいるとなると、これから我々は大変だぞ」
「そうですね。潜水艦による通商破壊は何としても阻止しなければなりませんからな」
各艦の艦長から上げられた、グラ・バルカス帝国の潜水艦2隻による襲撃は、資源を外国からの輸入に頼っている日本にとって、輸送船が航行するシーレーンの安全確保は非常に重要な課題である。此処を敵の潜水艦の跳梁を許す事は日本や同盟国にとっては国家存亡にも匹敵する最大の危機となる。
現状で第3文明圏で潜水艦に対処できるのは日本だけであり、現在は密輸船や瀬取船、海賊船の出没程度に止まっているが、今後潜水艦が出現するとなると、海上自衛隊の護衛艦や対潜哨戒機にはオーバーワークを強いなければならない事になるが、国を守るのを主任務とする自衛隊にとっては敵による自国の領土や領海内における破壊工作は絶対に阻止しなければならない。
当然、それに必要な予算の確保や議会の了承、国民への説明から始まり、任務に当たる各自衛隊の部隊の編成から再編、人員の確保、装備の調達による各企業との調整、やらなければならない事は山ほどある。
「頭の痛い案件だ。パーパルディアの戦後処理に一段落がついたと思ったらグラ・バルカスとの戦争………この世界で平和を勝ち取るのも維持するのも困難だな」
防衛大臣はデスクの椅子にもたれる。
「よろしい。下がってくれ」
「はい。失礼します」
防衛大臣は松田を退室させる。それと同時に電話が鳴り、受話器を取る。
「私です……はい………はい…分かりました、その件についてはたった今報告を受けた所ですので至急そちらへ向かいます」
受話器を切ると、防衛大臣は秘書官に暫く留守にする事と車を用意するようにと告げて執務室から出る。
防衛省庁舎前に止まっていた専用車に乗り込み、運転手に行き先を告げる。
「首相官邸へ」
「はい」
専用車は防衛省庁舎前のゲートを出ると、そのまま永田町の首相官邸へ向かった。
続く
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