日本国召喚×不沈戦艦紀伊   作:明日をユメミル

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閑話休題:4-3

内閣による国防戦略に関する会議に於いて、自衛隊は今後、グラ・バルカス帝国との戦争は避けられないとし、今後はグラ・バルカス帝国が保有すると予想される戦力に対処できる様に自衛隊の全戦力と装備の整備が進められる事が決まった。

 

ロウリア戦後、日本が宇宙に打ち上げた人工衛星がこれまでに収集したグラ・バルカス帝国の軍隊、取り分けその中でも規模が大きい海軍力に関する調査内容から、グラ・バルカス帝国は旧日本海軍と見た目と性能が酷似する兵器を多数保有しており、その戦力は旧軍を遥かに凌いでいると分析され、それらの戦力と総力戦に突入した場合に備えて、紀伊型戦艦の本格的な整備、護衛艦と潜水艦の増強、護衛艦隊を現在の第5まである護衛隊群に加えて、紀伊型戦艦を旗艦とし水上打撃力を重視した第6・第7護衛隊群を再編する事が望ましいと結論付けられた。

 

 

しかし、これらの整備は予算や時間の問題から直ぐには出来ない。

 

 

政府は当面の間は外務省による交渉によりグラ・バルカスとの外交交渉を続け、先述の自衛隊戦力の整備が整うまでの時間を出来る限り稼ぐことと、現在問題となっている領海内や排他的経済水域内、そして第3文明圏内への出没が確認されているグラ・バルカス帝国の潜水艦による通商破壊の阻止のための自衛隊による敵潜水艦の排除、または敵の潜水艦の拠点を特定する事が優先とされた。

 

 

 

 

それを受けた日本の動きは早かった。

 

 

 

「出港用意!」

 

 

 

広島県呉市にある海上自衛隊の潜水艦基地から、政府の命令を受けた第1、第3、第5潜水隊群に所属する出港可能な、おやしお型潜水艦、そうりゅう型潜水艦が次々と出港していく。

岸壁から離れた潜水艦は沖へ出るため、水上航行を行う。

 

 

「ん?」

 

 

そうりゅう型潜水艦『せきりゅう』のセイル上に立っていた艦長の山岡一等海佐は上空に目を向けた。

 

 

 

「岩国の連中も出張って来たな」

 

 

 

彼らの上空を岩国基地所属のP3C哨戒機が数機程、旧太平洋方面に向けて飛び去っていく。

 

 

「艦長、潜水予定地点に到達しました」

 

「了解。潜航用意!」

 

 

山岡はセイルから艦内に入る。その直後せきりゅうの船体はゆっくりと沈んでいき、やがて海中へと消えていった。

太平洋方面に位置する海上自衛隊の基地からは、潜水艦、護衛艦、哨戒機が次々と飛び立っていき、それぞれが担当する海域へと向かった。

 

 

 

 

 

 

 

その頃、ロデニウス大陸から遥か西の大東洋の中心に位置にする小さな無人島………正確には元無人島であった小さな小島の北に、人工的に作られた小さな港がある。

コンクリートで作られた岸壁には大型から中型の複数の潜水艦が停泊している。潜水艦のマストには日の丸に十字の紋章が描かれたグラ・バルカス帝国の国旗が掲げられている。

 

 

そう、この島は現在は日本を含めた第3文明圏に対する通商破壊を主任務とするグラ・バルカス帝国海軍第2・第3潜水隊の秘密基地が作られている。

此処は帝国本土から第3文明圏を繋ぐ規模は小さいながらも非常に重要な基地となっている。

その島にある山の中腹、地下十数メートルに作られた地下施設に、複数の人間が屯していた。

 

 

「ミラとアルファルドの連絡が途絶えて今日で一週間か」

 

 

基地司令の『シーラ・カンズ』少将は呟く。

 

 

「今の所、2艦からは連絡は?」

 

「ありません。一応事前に設定された救助信号も緊急事態暗号もキャッチできていません」

 

「原因は何だと思う?」

 

「通信機の故障と思います」

 

「そう考える根拠は?」

 

「今の所、あの2艦の任務は2週間の予定で、連絡が途絶えてたのは1週間前です。つまり後1週間の任務が残っているので、通信機が故障しながらも行動を続けていると考えました」

 

「根拠にしてはえらく薄いな。ミラとアルファルドのどちらか1艦の通信機が故障したなら、故障していないもう1艦からの連絡がある筈だ。2艦が同時に通信機が故障するなど有り得ない」

 

 

 

シーラは腕を組んで考える。

 

 

「まさか………撃沈された?」

 

「司令、第3文明圏には潜水艦を撃沈可能な戦力を保有している国はありません。それは有り得ないのでは?」

 

「参謀、君は忘れたのか?ミラとアルファルドからの連絡が途絶した日に本国から届いた極秘通信を」

 

 

シーラの言葉に参謀は思い出した。

 

 

「まさか………カルトアルパスでグレード・アトラスターを沈めたという……」

 

「そうだ。あの日本国により沈められた可能性が高い。グレード・アトラスターを上回る戦艦を保有しているとなれば、潜水艦に対する兵器や戦術も当然保有している筈だ」

 

「となれば、ミラもアルファルドも」

 

「日本に沈められた可能性が高い。となれば、日本も第3文明圏も我々の存在について感付きつつある。となればこの基地が特定されるのも時間の問題かな?」

 

「司令、この基地は上空や海上から容易に発見されないように徹底的に擬装されています。しかも敵に発見されないように艦の出入りは夜間に限定していますので、そう簡単に見つかるとは思えません」

 

 

 

シーラの隣に板、副司令の『ミツクリナ・オウストン』大佐の言葉にシーラは「そうだな」と答える。

 

 

「よし、これからは目標を日本国を中心とした軍民船舶に変更する。各員は細心の注意を払いつつ、行動せよ。それとミラとアルファルドの捜索も続けて行うように」

 

「「「「「了解」」」」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

続く




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