日本国召喚×不沈戦艦紀伊   作:明日をユメミル

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第4話

中央暦1639年 フェン王国首都アマノキ

 

 

「艦長!フェン水軍13隻、出港しました!」

 

「うむ。」

 

 

部下からの報告を受けた神は双眼鏡で、13隻のフェン水軍がアマノキから出港していくのを見る。

今から二時間前に尾張の哨戒ヘリから、西から接近してくる艦隊を確認したと言う報告が入り、その情報をフェンに伝えた結果、接近してくるのはパーパルディア皇国の艦隊の可能性大とされフェンは直ぐに水軍に出撃命令を下し、パーパルディア皇国艦隊を迎え撃つ態勢を整え出撃していく。

 

 

 

「よし!出港用意!」

 

 

 

フェン水軍に遅れるように、神は出港準備の命令を下し、いなさを除く尾張以下の護衛艦は出港準備を整えて、先に出撃したフェン水軍の後を追うようにアマノキを経つ。

 

 

「艦長、彼らは大丈夫でしょうか?」

 

「パーパルディアはこの周辺の国を屈服させる程の実力を持っちょっ筈や。恐らく相当な数の戦力を投入しくっじゃろう」

 

「もし彼らが壊滅したら、我々がパーパルディアの相手をする事になるでしょうが、我々は勝てますかね?」

 

「勝たんなならん!もし我々が負くれば、一般市民と使節団が危機に晒される!それだけは何としても阻止しなければならん!」

 

 

 

神は尾張の全能力を以てしても、アマノキに居る使節団と一般市民にパーパルディア艦隊を近付けないよう尾張の力で、相手をしてやろうと意気込む。

 

 

 

「CIC、フェンとパーパルディア艦隊の様子はどうだ?」

 

『ヘリからの報告では、両軍は戦闘に入っている模様です。』

 

「どっちが勝っちょ?」

 

『向こう側です。押されている模様です』

 

「こりゃいよいよ、我々ん出番が来っかもしれん。」

 

 

 

 

 

 

 

 

その頃、フェン水軍 旗艦『剣神』以下のフェン水軍艦隊は…………

 

 

「何と言う事だ………一方的ではないか!」

 

 

パーパルディア艦隊と接敵したフェン水軍は、船の数と性能で勝るパーパルディア艦隊の前に劣勢に立たされていた。

 

指揮官『クシラ』が乗り込む剣神の回りを航行していた軍船は、パーパルディア艦隊の戦列艦の砲撃の前に全くの無力で、時間が経過する度に味方の数は減っていく。

厳しい訓練を重ねてきたフェン水軍の軍船の甲板では、負傷した水兵がのた打ち回り、砲撃が命中し積んであった油に引火した船からは炎が上がっている。

 

 

「これが列強の力なのか……………」

 

 

 

相手との艦とは、速力、砲力、火力、練度は大きく劣っている。

 

 

これでは勝てない……

 

 

そう直感したクシラの脳裏には、まだ希望はあった。

 

 

 

「日本は………日本のあの軍船はまだ来てくれないのか!」

 

 

クシラも尾張の力をこの目で目撃しており、あの艦が来てくれればフェンは守られると言う希望だけが残っている。

 

 

「船長!後方の水平線を!」

 

 

部下からの報告にクシラは後ろを振り返る。

水平上に、一際存在感のある特徴的なシルエットを持つ巨艦が姿を表す。

 

 

「おぉぉぉぉ!!!来てくれた!!日本が来てくれたぞぉぉ!!」

 

 

 

僅かな希望が叶ったクシラの気分は高揚し、思わず叫んでしまう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「何とか間に合ったようじゃな。」

 

 

 

艦橋から現場の様子を見ていた神はそう言った。

 

 

 

「艦長、フェン水軍は3隻を残すのみ!パーパルディア艦隊は依然として接近中!!」

 

「よし!上空のヘリに通達!!予定通りアンノウン艦隊に向けて警告を送れ!もし戦闘になったら、直ぐに退避し着弾観測に努めよ!」

 

 

直ぐに、尾張所属のシーホークが前に出ると、フェン水軍の真上を通り抜けて、パーパルディア艦隊の5㎞手前でホバリングし音声で警告を送り始める。

 

 

 

『正体不明艦隊に警告する!直ちに現海域から退去せよ!!警告を無視すれば我々は貴艦隊に向けて攻撃を実行する!!我々は日本国海上自衛隊!』

 

 

 

音声による一通り警告を送るがパーパルディア艦隊は速度と針路を変える事なく、まっすぐ直進してくる。

 

 

 

「やはり、向かってくるか……よか!!そちらがその気ならこの尾張が相手じゃ!機関最大戦速!取り舵一杯!」

 

 

 

神の号令で尾張のボイラーエンジンが、全長328メートルを誇る巨大な船体をゆっくりと押し出すように加速させ、艦首が左を向き艦の右側面を敵に向ける。

 

 

 

「砲術長!先ずは警告射撃じゃ!!」

 

『了解!』

 

 

 

ゆっくりと主砲塔が旋回し、砲身が上に向けられる。

 

 

 

『照準合わせよし!砲撃準備よし!』

 

「撃ち方始めぇ!」

 

 

 

3基の主砲から放たれた9発の砲弾は、弧を描くように飛翔し、パーパルディア艦隊の鼻先へ着弾し巨大な水柱を上げる。

 

 

 

「何だ!?」

 

 

 

ポクトアールは艦隊の鼻先で起きた爆発と水柱による衝撃で揺れた艦橋で尻餅をつく。

 

 

 

「砲撃です!敵艦からの砲撃です!!」

 

「砲撃だと!?馬鹿な!この距離で撃って届く大砲があるのか!?」

 

 

先程現れた『日本国』と名乗る者が現れてから状況が一変してしまった。

不思議な羽音を響かせる謎の飛行物体が警告を送ってきたが、それを無視して艦隊を前進させた途端にこの砲撃。しかも、爆発の衝撃と水柱の大きさから我々が保有するどの火砲よりも遥かに強力なのが分かる。

 

 

「見張り!敵艦との距離は分かるか!」

 

「えぇと…………嘘だろ!?20㎞近く離れています!」

 

「馬鹿な!見た所10キロくらいの距離に居る筈だ!」

 

「角度と太陽の位置を確認しました!確かに敵艦との距離は20㎞です!」

 

「まさか……敵は我々の想像を遥かに越える程の巨艦だとでも言うのか……」

 

 

 

ポクトアールは尾張の大きさのせいで目の錯覚を起こし、もう少し近距離に居るものと勘違いしていたのである。

 

 

 

その時、再び敵艦から光が見えた。

 

 

「まずい!」

 

 

ポクトアールの感が、警鐘を鳴らす。

 

 

 

「全艦回避行動!!」

 

 

 

その直後、艦隊のど真ん中で爆発が起き、巨大な水柱が9本上がると、側にいた艦が衝撃で海面から一瞬だけ浮き上がり、着水と同時に衝撃でバラバラとなる。

 

 

「戦列艦パオス、ガリアス、マミズ、クマシロ轟沈!!」

 

「何っ!?」

 

 

旧式と最新の戦列艦がたったの一撃で4隻轟沈………

 

 

「……………」

 

 

目の前には撃沈された各艦の残骸が漂流し、僅ながら乗員の姿もある。

敵艦は横腹を向けながら砲撃を仕掛け、我が方は混乱に陥りまともに動けていない。

 

 

「まさか…竜騎士隊はあの艦に全滅させられたのか…そうとしか考えられん!」

 

 

敵艦の大きさと砲の射程距離から推定すれば、残っている100門級では射程距離に入る前に沈められてしまう。

ポクトアールは尾張の情報を持ち帰るため直ぐ様、決断を下した。

 

 

 

「反転!直ちにこの海域から脱出だ!」

 

 

 

そう命令すると、水兵らは急いで艦を回頭させようとする。

 

 

 

その直後………

 

 

 

 

「ウワァァァ!!!」

 

 

 

突然ポクトアールの乗る艦が大きく揺れたかと思った直後、彼は押し寄せる海水に呑み込まれ、自分に何が起きたのかを正確に把握する事なく海中に吸い込まれた。

ポクトアールを失った東方艦隊は戦意を喪失し、向かってきた尾張と護衛艦に向けて大人しく降伏した。

 

 

 

 

 

 

続く




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