日本国召喚×不沈戦艦紀伊   作:明日をユメミル

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閑話休題:4-9

自衛隊によるグラ・バルカス帝国潜水艦基地攻略作戦『オペレーション:ワタツミ』の開始に向けて、日本各地の自衛隊の基地や駐屯地では3度目となる防衛出動準備が着々と進められていく。長崎県佐世保市にある海上自衛隊の佐世保基地所属の第2護衛隊群と、『おおすみ型輸送艦』3隻が出港準備を行っていた。

 

 

 

「お、彼らが来たぞ」

 

 

 

尾張の艦橋から陸上を見ていた神は、基地のゲートから何十台と列を成して入ってくる車列を見て呟く。

その彼らが乗ってきた車列には多数の大型トラックと軽装甲機動車、高機動車と、自衛隊内では彼らしか装備していない特殊車両が混ざっている。

 

 

 

「艦長、水陸機動団到着しました!」

 

 

基地にやって来たのは今回のオペレーションワタツミの要となる、陸上自衛隊唯一の水陸両用部隊『水陸機動団』の精鋭だった。陸自では彼等しか装備していない水陸両用車『AAV7』が車列に混ざって基地のゲートを越えて、輸送トラックから降ろされていく。

 

 

 

「各隊は整列後、乗艦開始!」

 

 

今回のオペレーションワタツミには、水陸機動団第1水陸機動連隊から2個中隊、戦闘上陸大隊から2個中隊、特科・偵察・施設・通信の各小隊が投入される予定となっており、それぞれ3隻の輸送艦に乗り込み始める。

 

 

「手入れは念入りやれ!今回は訓練じゃない。いざって時に頼れるのはその手にしている小銃だけだからな」

 

 

隊員達は手にしている小銃と拳銃を念入りに点検し、分解し異常がないのを確認してからまた組み立て動作を点検する。

 

 

「全隊傾注!」

 

 

指揮官がやって来ると、隊員達は手を止めて中隊長に視線を向ける。

 

 

「皆、今回は我々水陸機動団創設後、初の実戦となる!我々は実戦を想定した訓練をしてきたが、その成果を見せる時が来た!敵の戦力はそう多くは無い、諸君らも分かっていると思うが油断は禁物だ!目的地に居るのはすべて敵戦闘員だ!敵だと判断したら迷わず撃て!」

 

「「「「「はい!!」」」」」

 

「声が小さい!」

 

「「「「「はい!!!!」」」」」

 

「それで良い!各自の奮闘を期待する!」

 

 

指揮官に全員が敬礼しその場を去ると、隊員達は再び作業に取り掛かる。

 

 

「凄い士気だな」

 

 

そんな彼らを見守っていた視線がある。

この場には相応しいとは言えない、華麗な軍服を着用ししている3人の姿がある。

ムー本国からの命令で観戦武官の任務を受けた、お馴染みのマイラスとラッサンの2人に、口髭を生やした1人の将官の姿がある。

 

 

「ヴァンデクリフト少将、彼らをどう見ますか?」

 

 

ラッサンに話し掛けられたムーの将官『アーサー・ヴァンデクリフト』少将は、感心したような表情で応える。

 

 

「彼らの士気は中々のモノだ。数日前から彼等の訓練を見学させて貰ったが、とても創設から2~3年程度の部隊とは思えん練度だ。ラッサン、君はどう思う?」

 

「はい。彼等はこの世界に転移してくる以前の、西部方面普通科連隊の頃から16年と言う年月を掛けて準備してきたと聞きます。それ程の年月を掛けて準備してきたのなら彼等の士気と練度の高さに説明がつきましょう」

 

「うむ。私が長年暖めてきた海兵隊構想を、彼等が体現していると言っても過言ではない」

 

 

彼の言う通り、ムーでも海兵隊に準ずる水陸両用部隊の創設は十数年前から計画されていた。

しかし、ムーもその水陸両用部隊の基本となる戦術と戦略については手探りの段階だった。

そこでムーは水陸機動団、新生合衆国海兵隊に目を付け、その運用と戦術、装備を参考に出来ないかとマイラスとラッサン、海兵隊構想の第一人者であるヴァンデクリフトを派遣したのである。

 

 

「これはまたとないチャンスだ。彼等の力をこの目に焼き付け、将来のムー海兵隊の礎を作ろう」

 

「えぇ………ところでマイラスは」

 

「あの水陸両用車に張り付いてるぞ」

 

 

ヴァンデクリフトが指差した方を見ると、鉛筆とノートを手に水陸機動団戦闘上陸大隊のAAV7について整備員や乗員を質問攻めにしている。

 

 

「成る程、車体には軽量化のためにアルミ合金を使っているのですね」

 

「えぇ、その反面熱に弱いですし、素の防御力はライフル弾を防ぐ程度しかありませんが、それをカバーするための増加装甲キットもありますよ」

 

 

隊員説明にマイラスはイキイキとしている。

 

 

「40年選手になりますが、開発国のアメリカを含めて多くの国で現役で使用されているんですよ」

 

「成る程……それ程長い期間使用されていると言う事は設計が優秀な証拠だ。我が国でもこのような車両を開発するには、水陸両用車の事をもっと知る必要があるな」

 

 

 

マイラスはノートにAAV7に関する情報を細かく記録していく。こう言う事に関しては細かい事を知ろうとするのが彼の性格である。それが技術者としての彼を表しているのであろう。

 

 

 

「マイラスの方も自分の仕事に必死だな」

 

「当然だ。彼は愛国心がある誇るべきムー国民だ。彼等のような人間の努力に我々も応える必要がある。ラッサン、君も頼むぞ」

 

「はい。彼等の戦いを目に焼き付けます」

 

 

 

水陸機動団は3隻の輸送艦に乗り込みが完了し、第2護衛隊群に護衛されながら佐世保から出港した。

 

 

 

 

 

 

続く




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