レーダーと艦艇の無力化に成功した攻撃隊からの攻撃成功の報告は直ちに第2護衛隊群にも、もたらされた。
「敵は目と腕が使えなくなったな。では作戦の第2段階に移ろう」
「了解」
第2護衛隊群全艦は速度を上げ、島に向けて前進する。作戦では水陸機動団は島の西にある砂浜から上陸する手筈となっている。衛星と特殊作戦群からの情報により上陸地点に敵の防衛部隊の戦力の7割が集結しているため、尾張の射程延伸砲弾による精密砲撃で無力化する事となっている。艦隊は、その場より西に向けて変針する。
「艦長、間も無く誘導射程延伸弾の射程距離に入ります」
「うむ、主砲射撃用意!」
尾張は島にある敵陣地への砲撃のため、フォーク海峡戦で使用されたXM2017を用意する。
「衛星とのリンク完了」
CICのモニターに衛星からの島の画像が投影される。攻撃隊による攻撃により島の南と中央の山に明るい光が見えており、上陸地点となる島の西にも僅かながら光のような光点が見える。恐らく敵が上陸に備えて準備しているものと考えられる。
上陸戦で水陸機動団が負う被害を最小限に食い止めるため、此処は絶対に無力化しなければならない。神はこの敵陣地に対する攻撃命令を下す。
「照準、上陸地点の敵陣地」
「了解」
照準を敵陣地と思われる地点へと合わし、その情報を主砲弾に送り、その後薬室にXM2017が装填される。
「各砲装填確認。目標捕捉、追尾、照準よし!」
「撃ち方始め!」
「撃て!」
暗闇に尾張の51センチ砲9門が火を吹き、9発のXM2017がロケット推進で島に向かって飛翔していく。
その頃、上陸地点となっている島の西では、島の防衛を担う陸軍1個中隊は、攻撃隊によるレーダーサイトと艦艇に対する攻撃の混乱を建て直し、自衛隊が上陸してくるであろうこの西の浜辺の奥にある林に防衛陣地を構築していた。
「中隊長、戦車、野砲、機銃、配置完了!」
「よし。奴等が上陸してきたら、一斉攻撃だ」
「了解!」
占領地の警備を担う帝国陸軍地方隊で24番目の番号を付与されている第24地方隊の指揮官である『アーケリー・ハイトマン』中佐は防衛戦闘の達人であり、彼の戦法は敵をギリギリまで引き付けて油断している隙を突いて一斉に火力を打ち込むのが彼のやり方である。
今回も彼は自身の戦術が正しいと信じて、自衛隊による上陸に備える。
「中隊長、後2時間で夜明けです」
「よし。今のうち、全員に食事を摂らせよう」
ハイトマンは過去の元の世界での従軍経験から敵の攻撃と上陸は夜明け頃だと想定し、夜間の暗闇の中、航空機が林の中に居る自分達を見つける事は無いと、夜の暗いうちに出来る事は済ませておこうと、全員に食事の配給を指示する。
「今日は長い1日になりそうだな」
食事を摂り始めた彼等の背後、何者でも射抜くような視線が向けられている事に誰も気が付かなかった。
「呑気ですね彼等」
「あぁ……まだ自分達が有利だと思ってるな」
敵陣地の監視に就いていた特殊作戦群第2小隊は、未だに焦ったような感じを見せない彼等を見て呆れていた。
「まぁ連中は俺達が馬鹿正直に夜明け頃に上陸してくるだろうと思ってるらしい。教育してやろう」
第2小隊の小隊長は腕時計を見て時間を確認する。
「後30秒か」
その直後、何処からか飛翔音が聞こえてくる。その音は徐々に近づいてきており、誰もが食事の手を止めて辺りを見回す。
その瞬間、防衛陣地に強烈な閃光と共に爆発が起きた。
続く
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