日本国召喚×不沈戦艦紀伊   作:明日をユメミル

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第5話

フェン王国での出来事に、日本政府は何とかパーパルディア皇国についての情報収集を急いでいた。

既にパーパルディア皇国についての情報は断片的に入ってきており、政府は外務省を通じて日本国民に向けてフェンを含めたフィルアデス大陸への渡航禁止処置を通達し、事実上日本人観光客はフィルアデス大陸へは許可なしには渡航は出来なくなった。

 

勿論、今回の措置について反発も大きかったが内閣は日本国民を守るための最大限の処置と説明し、アマノキで発生した襲撃事件の内容と日報の公開に踏み切った事でフィルアデス大陸の情勢不安について理解を得られた事に事態は直ぐに収束した。

しかし政府は外交努力でパーパルディアへの対話を求める努力も行ってはいるものの、元々列強と言う事でプライドの高いパーパルディアとの交渉は難航している。

 

 

それどころか、パーパルディアの外交部からは自らの技術を輸出する変わりに日本に対して自国への従属を迫ってきた。

 

 

「冗談ではない!」

 

 

 

無論政府は、到底受け入れられない命令のような提案に拒否を示したが、あろう事かパーパルディアは日本に対して宣戦を布告、同時にフェン王国を攻め落とすと宣言し、一方的に外交窓口を閉じてしまったのである。

 

 

 

今フェンには外務省の島田外交官を筆頭とする外交団とその家族らがおり、パーパルディアが攻めいれば外交官達の命がないと判断。内閣は臨時閣議を開きロウリアの時と同様にフェンに攻めいってくるパーパルディア軍を武装勢力と認定、同時に外交団の退避に向けて自衛隊による作戦行動を提案。

事情が事情なため国会では賛成多数で集団的自衛権の発動を容認しフェン王国に駐留する尾張以下の護衛艦隊が直ちに決定され、更にパーパルディアからの本土侵攻にも備え陸、海、空自衛隊に対して国土防衛のため内閣は防衛出動を発令、その日のうちに自衛隊の全部隊は24時間の臨戦態勢に突入した。

 

 

 

 

 

 

中央暦1640年 1月28日 早朝

 

 

フェン王国ニシノミヤコ沖、30㎞の海上をパーパルディア皇国軍フェン王国派遣軍所属の竜母艦隊がフェン王国侵攻のための陸戦部隊と皇国軍大艦隊の前衛として展開しており、常時警戒のための竜騎士を飛ばしていた。

 

 

 

「竜騎士長!」

 

「はっ!」

 

 

竜母艦隊副司令の『アルモス』は、横に居た竜騎士長に話しかける。

 

 

「我が偉大なる皇軍は強いっ!」

 

「存じております!」

 

「何故強いと思う?」

 

「総合力です!」

 

「そうだ!だが、我々が他国より圧倒的できる戦列艦もさることながら、その中核となる竜母艦隊が居るから強いのだ!戦列艦よりもアウトレンジで攻撃が出来、制空権を獲得できるからこそだと私は考えている。」

 

「私もそう考えております!」

 

 

回りの竜母に比べて、耐弾性を優先し対魔弾鉄鋼式装甲と呼ばれる特殊装甲が施されている分、戦列艦並の防御力を誇る竜母は存在は圧倒的である。

 

 

 

だが彼らは知らなかった………直ぐそこまで、それを打ち破るための鋭い槍を携えた、亡霊達が近付いてくる事に……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

竜母艦隊の数百㎞先の空を、雷のような轟音を響かせながら寸胴な胴体の後ろに2基のジェットエンジンを持つ『F4EJ改 ファントムⅡ』10機編隊が飛行していた。

彼らは茨城県の百里基地に所属する第301飛行隊は九州の築城基地を経由し、主翼下に93式対艦ミサイル(ASM-2)2発を抱き抱え、同じ百里基地所属の第305飛行隊所属の『F15Jイーグル』6機の護衛を受けながらパーパルディア竜母艦隊へと迫る。

 

 

『アスター1からアタック。敵艦隊の速度針路変わらず』

 

 

彼らは哨戒中のP-3Cからの通報により皇国本土より出撃してきた竜母艦隊の針路から、フェン王国への武力攻撃だと判断した政府による防衛出動命令を受け出動しており、F-2よりも長い航続距離を買われて機体寿命ギリギリの機体で態々長距離を飛行し、恐らく最初で最後になるかもしれない実戦にパイロット達は意気揚々としていた。

 

 

 

『アスター1よりアタック、エスコート。ターゲットが間も無く攻撃圏内に入る。アタックは敵艦隊への攻撃を開始せよ』

 

 

 

編隊より遥か上空を飛行する『E-2Cホークアイ』からの指令によりファントムのアタック隊は高度を下げる。

 

 

 

『全機、高度30まで降下。アタックポジション』

 

 

 

高度を下げたアタック隊は海面高度スレスレの超低空飛行に移る。

近代化改修によりファントム改となった際に装備された機首のAPG-66Jが敵竜母艦隊を捉え編隊指揮官が指示を下す。

 

 

『アタックリーダーより全機へ。敵艦隊ロック、攻撃用意』

 

 

レーダーとE-2Cからのデータリンクを基にミサイルの発射態勢を整え、パイロットはトリガーに指を掛ける。

 

 

『FOX-1、ファイア!!』

 

 

主翼下のステーションからASM-2が切り離される。

10機のファントムから放たれた20発のASM-2はターボジェットエンジンを始動させ海面スレスレの低空飛行に入り竜母艦隊へと突き進んでいく。

 

 

 

 

 

 

それと同時にパーパルディア皇国竜母艦隊の魔導レーダーもASM-2を捕捉した。

 

 

「なんて早さだ!?」

 

 

レーダー手が警戒サイレンのボタンを押しサイレン音が艦隊内に鳴り響いた。

 

 

「何事かっ!!」

 

「副司令、艦隊前方より高速飛翔物体が急速接近!!」

 

「高速飛翔物体だと!?」

 

 

アルモスは前方に目を向ける。しばらくすると海面を低空飛行しながら皇国軍の常識では考えられない程の速度でASM-2が迫ってくるのが見えた。

 

 

 

「速い!」

 

 

アルモスら艦隊将兵の度肝を抜いたASM-2は、彼が乗り込む旗艦『ミール』の鼻先で突如上昇したかと思うと鼻先を真下に向けて突入してくる。

 

 

 

「逃げろ!!」

 

 

 

直後、ミールの甲板に2発のASM-2が命中し、船全体が大きく揺さぶられる程の大爆発が起こりアルモスは衝撃波で船尾側のマストの根本に叩きつけられた。

 

 

 

「高速飛翔物体!更に多数接近!」

 

 

 

その直後、別のASM-2が一斉に迫り各竜母と護衛の100門級戦列艦に命中し、致命的なダメージを与えていく。

 

 

「何が…何が起きたんだ!!これではまるで我々は一方的ではないか!!そんな馬鹿な事があって堪るか!!」

 

 

アルモスがそう叫んだ直後、船首側のマストが根本から折れて動けなくなっていた彼を押し潰した。

ミールは炎上したまま操艦する者が居らず漂流する事となった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「敵空母艦隊、行動停止を確認」

 

「アタック隊はそのままRTB。エスコート隊は敵残存航空戦力を掃討した後RTB」

 

 

E-2Cに乗り込む航空管制官の命令が薄暗くモニターの光しかない機内に木霊し、通信担当員がアタック隊とエスコート隊に指示を送る。

レーダースクリーンにはエスコート隊が敵竜母艦隊の上空直掩騎をミサイル攻撃により殲滅する様子が写し出され、敵の反応が次々と消滅していく。

 

 

「アスター1より、ノブナガへ。敵の空母並びに航空戦力を排除。後続の敵主力は当初の予想通り、そちらに向かっている」

 

『こちらノブナガ、貴隊の活躍に感謝する。』

 

 

E-2Cからの通信は、後方の海域を航行する信長のコードネームがつけられた尾張以下の護衛艦隊へと届けられる。

 

 

 

 

 

戦艦『尾張』 第1艦橋

 

 

 

「艦長。空自が敵の航空戦力を排除したとの報告が入りました」

 

「よか!心置きなく敵と一戦交える事ができる。敵艦隊の規模は?」

 

「戦列艦と砲艦の主力艦183隻、揚陸艦101隻、合計284隻です」

 

「うむ!この尾張の相手にとって不足はなか!」

 

 

神はそう言い、戦う意思を改めて示す。

 

 

 

「各艦に通達。敵が我々の射程距離に入り次第ミサイルによる攻撃を実施。ミサイル攻撃後、本艦は敵艦隊との砲撃戦に移行。敵艦隊をフェンから追い出すため各員の努力に期待する!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

続く




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