「総員、下車!」
ハッチが開かれその合図と共に、AAV7に乗り込んでいた水陸機動連隊の隊員達は素早く降りると、左右に展開しその場で伏せる。
訓練で徹底的に鍛えぬかれた無駄の無い動きに、後ろに居たマイラス達は感心する。
「素早い動きだ。改めて彼等の練度の高さを感じるな」
手にしていたビデオカメラで水陸機動団の動きを詳細に記録していき、ラッサンもカメラで写真を撮り続ける。
「しかし、敵から攻撃が来ないな」
「あぁ……敵が上陸してきたと言うのに、全く動きを見せないとはな」
ラッサンの言う通り、水陸機動連隊が上陸してきたと言うのに、敵は一向に攻撃してくる素振りを見せない。それどころか気配すら感じなかった。
「中隊長、前進しますか?」
「そうだな………特戦からの報告では、敵の防衛部隊は尾張の砲撃で壊滅状態らしい。まだ日が登っていない今のうちに前進しよう」
「了解!中隊前進!」
水陸機動連隊はその場から姿勢を低くしながら立ち上がり、足元の悪い砂浜を一気に駆け出し、AAV7もそれに続く。
その時、目の前の林から一瞬だが光が見えた……
「伏せろ!」
中隊長の声に全員がその場に伏せる。
その直後、多数の銃声が鳴り響き彼等の目と鼻の先の砂が舞い上がる。
「やはり待ち伏せか……応射!」
水陸機動連隊の隊員達は反撃に出て、89式小銃とMINIMI軽機関銃を前方に撃ち込んでいく。
一方の敵側は、尾張の艦砲射撃が終わったのを見計らい地下壕から出てくると、無事だった銃火器を用意して水陸機動団を待ち構えており、残り少ない弾薬で彼等の前進を阻もうとする。
「前方2時方向に機関銃、グスタフで始末しろ!」
「了解!」
中隊長の指示で、後方に控えていた84㎜無反動砲(B)の射撃手と弾薬手が前に出て、伏せた状態で手にしていたカールグスタフM3こと84㎜無反動砲(B)に榴弾を装填し、敵の機関銃陣地にスコープを向けて照準を合わせる。
「後方の安全確認!発射!」
引き金を引くと、ラッパ状の砲尾から強烈な爆風と爆炎が吹き出し、ほぼ無反動で榴弾が打ち出された。そして、敵の機関銃陣地に爆発が起き、土煙と人のような影が吹き飛ぶのが見えた。
「よし!車両を盾に前進!」
AAV7が前に出て前進を開始し、その後ろを水陸機動連隊が続く。
その間にもライフルや残りの機関銃による攻撃が加えられるが、防弾装甲を持っているAAV7にはほぼ通用しないため、水陸機動連隊は徐々に距離を詰めていく。
「ん?」
その時、前方に居た3号車の車長が林の奥からこちらを狙う対戦車砲が見えた。
「左20度、対戦車砲撃!」
車長は銃塔をその方向に向けると、Mk19自動擲弾銃を撃ち込むが、一瞬早く対戦車砲が放たれる。
放たれた47㎜砲弾はAAV7の車体左側面に命中した。
「3号車被弾!」
「何っ!?3号車、無事か?」
中隊長が直ちに乗員の安否を確認する。
『こちら3号車、敵対戦車砲の攻撃を受けたが、損傷軽微、乗員全員負傷者無し。戦闘に支障なし!』
運良く敵弾はAAV7に施されていたEAAK改修による増加装甲に弾かれて、車体に僅かな傷を付ける程度に留まっていた。
「敵対戦車砲は?」
『撃破しました。ですがまだ対戦車砲が残っている可能性あり!注意されたし!』
「了解!」
被弾した3号車は再び前進を開始する。
その間に、敵陣地との距離は詰まっていき、遂に一部の車両が敵陣地に突入した。
「4号車と6号車が敵陣に突入!」
4号車と6号車が敵陣に築かれて居た防御用の土嚢を突き破り、敵陣地内に突入した。
後ろに控えていた水陸機動連隊の隊員も陣地内に突入し、帝国兵を上回る火力を以て撃破していく。
そして、他の車両と隊員も陣地内に突入していき、敵兵を圧倒していく。
「やめてくれ!降伏する!」
「この通りだ!助けてくれ!」
戦意を失った帝国兵は手にしていたライフルと拳銃を地面に捨てて、両手を上げる。
「降伏した敵兵は撃つな!拘束しろ!」
降伏した敵兵に対しては武器を接収した後、両手足を結束バンドで縛り上げて、動けなくさせる。
そして、上陸から僅か1時間程で西の海岸一帯と敵防衛陣地の確保に成功し、水陸機動団は島を本格的に占領するための橋頭堡を確保に成功した。
続く
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