上陸に成功し橋頭堡を確保した水陸機動団は、上陸地点となっている西の浜辺を中心に拠点を構築していた。
確保した西の浜辺には、沖に待機している2隻の輸送艦からLCACによるピストン輸送で、偵察・特科・通信・施設部隊が次々と陸揚げされ、島全体の制圧に向けて動き始める。
浜辺に設けられた指揮所では水陸機動団の各部隊の幹部が集まり、今後の作戦と行動計画を練っていた。
「現在我々はこの一帯の確保に成功ししています。この島は地形的に起伏が激しく、平坦な地が少ない様ですが、既に敵が保有している海上戦力は航空自衛隊による攻撃で無力化されています。特戦群と確保した捕虜による証言からも、敵の地上戦力は殆ど残されていないと推察されます」
この時点で、敵の海上戦力は既に無く、地上戦力は殆ど尾張の艦砲射撃と水陸機動団との戦闘で失われているに等しかった。このまま順調に行けば、島の確保は時間の問題かと思われる。
「当作戦の要でもある、この島の中央の山中の洞窟に設けられた敵司令部についてですが、現在偵察に出ている特戦群と偵察隊からの報告では、洞窟の正面を敵の残存戦力が防御を固めている様で、3両程の戦車も確認されています」
その場で全員に戦車の写真が手渡される。
「これって………」
「似てますね……旧陸軍の95式と97式に」
「カルトアルパスでの敵戦艦もそうだが、どうして連中が持ってる兵器はこんなにも旧軍に似てるんだろうな。で、この他に敵方に車両はあるのか?」
「確認されていません。恐らくこの3両が彼等にとっての最後の装甲戦力でしょう」
「コイツらって装甲はウチの軽装甲機動車と同レベルですから、中MATが1発もあれば簡単に撃破できますね」
「ならこの戦車への攻撃は中MATに任せましょう。残りの敵へは水陸機動連隊と戦闘上陸大隊を前に出して、後ろから特科大隊による援護砲撃と言う形で異論はありませんか?」
その言葉に全員が頷く。
「では作戦開始は正午と言う事で、全員解散!」
作戦会議は終了し、指揮所に集まっていた幹部達は解散して各々が指揮する部隊へと戻っていった。
一方で、観戦武官の任を全うしていたマイラス達は乗ってきたAAV7の車内で、戦闘詳報を書いていた。
「凄まじい上陸戦だったな。これでまた、海兵隊創設に大いに参考になりそうだ」
「今回は敵の戦力が殆ど残されていなかったから、少ない損害で上手く行きました。やはり上陸戦には海軍と空軍による徹底的な上空支援と航空攻撃及び艦砲射撃が必須になると言う事が分かりましたよ。海兵隊創設時には海軍と空軍による協力体制の構築とアメリカ海兵隊のように独自の航空戦力も作る必要がありますな」
「それに一番のネックとなるのが、上陸に使用する車両の開発です。このAAV7は日本が作った物ではなく、全てアメリカから購入した様で、それまで日本には軍用の水陸両用車両の開発ノウハウが無かったので、国産の水陸両用車の開発が進んでいるとの情報です。我々も一刻も早く水陸両用車の開発と実用化をしなければなりません」
「やはり兵士を確実に上陸させるには水陸両用車が一番最適か………」
マイラスやヴァンデクリフトは海兵隊創設と水陸両用車の開発に意欲を示している。各々の分野で祖国が必要としている物を作ったり、組織を創設させるにもやはり技術の蓄積と実績が重要となる。
彼等もまた、戦争とは違った意味での戦いに身を投じていく事になる。
続く
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