日本国召喚×不沈戦艦紀伊   作:明日をユメミル

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閑話休題:4-17

敵司令部前に到達した水陸機動団は、作戦の最終段階に入った。

 

 

「さて、司令部制圧前にやるべき事をやるか」

 

 

今回の作戦では、敵司令部への攻撃前に降伏勧告を行い、敵の投降を促す事になっている。

もし敵がそれに従えば作戦は終了し、敵が従わなければ実力行使に踏み切る。

 

水陸機動団は、予め用意していた大型の拡声器を準備し、それを敵司令部へと向ける。

 

 

 

「準備よし」

 

「了解」

 

 

降伏を促すのは、この作戦で水陸機動団を率いている『松本秀則』1佐の役割である。マイクを手に取り、電源ボタンを押しながら敵に向けて話し掛ける。

 

 

『こちら日本国陸上自衛隊である!グラ・バルカス帝国軍の司令官並びに指揮権を持つ者に告げる!今から30分の猶予を与える、それまでに白旗を持って降伏せよ。貴官達の身柄はジュネーブ条約の捕虜取り扱いに関する記述に基づき、丁重に決して悪い様にしないと日本国政府を代表して伝える。この言葉に嘘偽りは無い。これ以上無駄な犠牲を出す必要は無いと考える』

 

 

松本は政府と防衛省から通達されていた相手に対する降伏文と捕虜の取り扱いについて述べる。

 

 

『改めて伝える!グラ・バルカス帝国軍の司令官並びに指揮権を持つ者に告げる!今から30分の猶予を与える、それまでに白旗を持って降伏せよ。貴官達の身柄はジュネーブ条約の捕虜取り扱いに関する記述に基づき、必ず丁重に決して悪い様にしない事を日本国政府を代表して伝える』

 

 

2回程同じ文を繰り返し読んでからマイクの電源を切った。

 

 

「彼等は受け入れるかな?」

 

「分かりません。旧軍の軍人みたいな精神を持っているなら、降伏は選ばず自決する道を選ぶでしょうが、彼等に関しては何とも……」

 

「もしかしたら爆弾抱えて特攻と言う手段も取ってくるかもしれん。待機中の各隊は突発事態に備えるように」

 

 

松本の指示で水陸機動連隊の隊員は小銃と機関銃、AAV7と軽装甲機動は機銃や自動擲弾発射機を司令部入り口に向ける。

 

 

 

 

 

その頃、敵司令部内では………

 

 

「司令、外に居る各隊からの通信途絶。港内の友軍艦艇も全艦応答ありません」

 

「本国への遠距離通信装置の復旧の目処は?」

 

「ありません。敵の爆撃で全て吹き飛ばされてしまったので、修理と復旧は恐らく不可能でしょう」

 

「防衛手段も通信手段も脱出手段もない………完全に詰んだな」

 

 

シーラは今日何度目かとなる溜め息を吐いた。

 

 

「ハイトマン中佐は?」

 

「消息不明です。恐らくは敵に…」

 

「そうか…………陸軍が全滅し、残ったのは艦を失った我々だけか」

 

 

今、司令部に居るのはシーラとミツクリナ、夜明け前の爆撃の際に上陸中で難を逃れた各潜水艦の艦長と乗員の一部、ハイトマン中佐の指揮下に居た僅かな生き残りの陸軍兵士と衛生兵が数名のみであり、全て合わせても50人にも満たない人員しか居ない。

 

 

「ミツクリナ、此処に武器は残ってるか?」

 

「最低限の物しか残っていません。弾薬に至っては全員には行き渡らないでしょう」

 

「最後の抵抗も意味を成さないな………どうする?」

 

 

シーラは自衛隊から与えられた時間内に全てを決めなければならない。腕時計を覗き込みながら、全員の顔を見る。

 

 

 

「5分だけ時間をくれ」

 

 

 

そう言ってシーラは目を閉じる。

 

 

 

5分のも間、静粛が司令室を支配する。

 

 

 

そしてシーラは決断を下した。

 

 

 

「……………これ以上犠牲を強いるのはナンセンスだ。此処は敵の降伏勧告を受け入れよう」

 

 

 

この言葉で張り詰めていた司令室の空気は一気に緩んでいく。そして、全員が力無く項垂れた。

 

 

「白旗の用意だ。行こう」

 

 

 

それから10分後、シーラ達グラ・バルカス帝国海軍第2・第3潜水隊と陸軍将兵は水陸機動団に投降、再び血が流れる事なく戦闘は終結した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

続く

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