日本国召喚×不沈戦艦紀伊   作:明日をユメミル

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閑話休題:5-5

土煙と排煙をあげながら試験場の広大な平野を突き進む61式改の車内ではヴィットマン達が、事前に渡された試験評価表と試験プログラムを確認していた。

 

 

「プログラム1は走行テストか」

 

 

先ず最初のプログラムは、戦車にとっての一番の基本となる様々な地形を走破するための走破テストである。

爆発反応装甲の装備で重量が増した61式改に装備された改良型サスペンションと専用エンジンが実際の戦場で使用できるのかを試すための大事なテストである。

 

 

「少尉、間も無く走行テスト場に入ります」

 

「先ずは泥や田畑の中の移動か」

 

 

走行テストの一番目となるのは、田畑や雨でぬかるんだ土壌を走る泥状走破テストである。これは61式開発当時の日本の整備が行き届いていない様々な地形を走破できる様に、幅の広い履帯と足周りが大いに活きる場面である。

テストエリアに入った61式改の目の前には、ムー国内にある様々な田畑や農場を再現したエリアが広がっている。

 

 

「操縦手、そのまま進め」

 

「了解」

 

 

バルクマンはギアを一段上げてアクセルを踏み込み、61式改を田畑に突っ込ませる。田畑を囲っていた柵を踏み潰し、一段下がった位置にある田畑に車体が入り込む。

田畑の土は大量の水でぬかるんでおり、普通の自動車ならスタックしてしまいそうであるが、61式改の幅の広い履帯と高いエンジントルクの恩恵により、61式改は難なく進んでいく。

履帯が回転する度に、泥が激しく巻き上げられ、飛び散った泥が車体下面にへばりつくが、それでも構わずに田畑の中を回るように進み続ける。

 

 

「泥の中での走行は問題ないな。バルクマン、手応えは?」

 

「問題ありません。操縦性も従来と同様、特に変化はありません」

 

「よし。このラウンドは問題無しだ」

 

 

 

ヴィットマンは試験評価項目の欄に丸をつけていく。

 

 

 

「よし。次だ」

 

 

 

泥の中での走行に問題が無いのを確認し続いてのラウンドに進む。

泥から這い出た61式改は隣にある、全長50メートルのプールへと移動する。

 

 

「次は渡渉走破能力か。ゆっくり入れ」

 

「了解」

 

 

バルクマンはエンジンの回転数を下げて、速度を落とし、ゆっくりとプールへと車体を入れる。

 

 

「大丈夫か?」

 

 

改良によって、渡渉可能な水深は若干増しているとはいえ、オリジナルとそう対して変わりはない。ヴィットマンはキューポラから後ろにあるエンジンルームを見ながら、車内通話越しに指示を送り続ける。

 

 

「よし、そのまま微速前進」

 

 

車体は半分程が水に浸かったが、今の所エンジンに異常は無く、車内に水漏れは起きていない。

水深50センチを越えるプールの中を61式改は水を掻き分けながらゆっくりと進む。

 

 

「そのまま微速を維持、マフラーに水が入ったら終わりだからな」

 

 

ヴィットマンからの指示に従い、バルクマンはアクセルペダルを足で微速の位置で固定させながら操縦に専念する。

そして、プールの端に近づき水深が徐々に浅くなっていく。

 

 

 

「よし、そのままギアを2速に上げて前進」

 

 

 

ギアを2速に入れて、アクセルを少し踏み込み車体を加速させる。

61式改はそのまま、坂になっているプールの出口を登り切った。

 

 

「どうだ?」

 

「やはりマフラーがネックですね。日本の74式のようにスノーケルがあれば、多少は操縦が楽になります」

 

「渡渉能力は問題ないが、操縦には依然慎重が求められるから、スノーケルの追加等の改善の余地ありか…」

 

 

ヴィットマンは項目にそう書き加える。

 

 

「さて、次のラウンドが難関だな」

 

 

続けて行われるラウンドにヴィットマンとバルクマンは少し懸念を抱く。

次に行われるテストは登坂能力である。

いくらエンジンと足周りを強化しているとはいえ、ムーでは最重量級の61式改で登りきれるか不安しかない。しかも登坂テスト用のコンクリート製の坂は角度が急である。

 

 

「あれか」

 

 

登坂テスト用のコンクリート坂に移動してみると、テストとは言え61式改には過酷ともいえる程の角度にヴィットマンとバルクマンは益々不安になる。

 

 

「やるしかないか…バルクマン、準備は?」

 

「こっちは何時でも」

 

「じゃあやるか」

 

 

61式改はそのまま微速でゆっくりと坂を登り始める。最初の緩やかな角度は難なく登っていくが、徐々に角度がつき始め、速度が落ちていく。

 

 

「この!」

 

 

バルクマンは訓練通り、癖の強い61式のギア操作をこなしながら、ギアを上げて、エンジンにトルクをつけさせながらアクセルを踏み込む。

61式改に装備された改良型エンジンも持ち前の馬力とトルクを発揮させながら車体に動力を送り続ける。

 

 

「行けるか」

 

 

ゆっくりではあるが61式改は坂を登り続ける。

そして、コンクリート坂を登り切り、真上に到達すると、そのまま前進し坂をゆっくりと下っていく。

 

 

「やったな………」

 

「えぇ。ギア操作に少し神経を使いますが、恐らく訓練でもカバーは出来るでしょう。問題はありません」

 

「分かった。なら、この辺りは問題ないな」

 

 

 

その後、ヴィットマン達は走行テストの全てを終えると次のテストの準備に入った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

続く




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