日本国召喚×不沈戦艦紀伊   作:明日をユメミル

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第6話

フェン王国 ニシノミヤコ沖 パーパルディア皇国フェン王国派遣軍艦隊旗艦『パール』

 

 

「竜母艦隊が壊滅!?何かの間違いじゃないのか?」

 

「いえ!偵察に向かった砲艦からの報告では、現場海域には竜母と護衛の戦列艦は存在せず、生存者も確認できなかったとの事です。」

 

「馬鹿な……」

 

 

派遣軍司令の『シウス』は、竜母艦隊の壊滅の報を聞き、迷っていた。

 

 

(竜母艦隊が何の報告もなしに突然壊滅した?何が起きている?)

 

 

 

間を置かずして、艦隊内に警戒警報が鳴り響いた。

 

 

「閣下!前方より高速の飛翔物体が接近!」

 

「何っ!?」

 

 

見張からの報告にシウスは一気に飛び上がるように座っていた椅子から立ちあがり、前方を見る。

 

 

「何だあれは?」

 

 

 

海面スレスレの超低空飛行をする飛翔物体が迫ってくるのが見えてくる。

 

 

「全艦、回避!!早くしろ!!」

 

 

シウスの命令に水兵達は急いで艦を回頭させ、別の艦も合わせるように回避行動を取ろうと動き出す。

だが接近してきたソレは回避行動を取るよりも数段早く各戦列艦に到達点し、戦列艦の船腹に大穴を開けていく。

 

 

「戦列艦ロプーレ、ミシュラ、シレーン、クション、パーズ轟沈!!あぁ、エルフェンも轟沈!」

 

 

 

戦列艦が瞬く間に6隻も轟沈、シウスは慌てふためく。

 

 

 

「何だ!何が起きたのだ!!」

 

「分かりません!」

 

 

 

艦隊を襲ったのは護衛艦から放たれた対艦ミサイルによる飽和攻撃であり、尾張を除く5隻の護衛艦から放たれた20発のミサイルは瞬く間に戦列艦と砲艦20隻を葬り去り、パーパルディア艦隊を混乱に陥れた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

それから数十分後…………

 

 

突然の攻撃からようやく態勢を立て直したパーパルディア艦隊の前に、護衛艦隊が姿を表した。

 

 

 

「来たかっ!」

 

 

 

シウスが目にしたのはこちらに向かってやって来る6隻の護衛艦だった。そのうちの先頭を航行する1隻は他の5隻がケシ粒のように見える程の巨艦だった。

 

 

 

「何だあの巨艦は……見張り、相手との距離は!?」

 

「本艦隊との距離は………推定30㎞です!」

 

「馬鹿な!30㎞だと!?もっと距離が縮まっているようにしか見えんぞ!!」

 

 

 

シウスもポクトアールと同様に、巨艦である尾張の巨体で目の錯覚を起こし距離感覚が狂ってしまっていた。其れ程までに紀伊型が巨大なのである。

 

 

 

「あの敵艦は私の目を狂わせる程の巨艦だとでも言うのか………」

 

 

シウスの目には、迫ってくる敵艦に装備されている砲塔のような物が目に入る。

するとその敵艦は艦首を左に向けて、右舷を自分たちに見せる態勢を取り、搭載されている巨砲を向けてきた。

 

 

(あれはムーの旋回式の主砲塔と似ているが明らかにそれより大きい………いや、大きすぎる!!)

 

 

 

自身に向けられている9門の51センチ砲を前に、嫌な予感と悪寒が彼の背筋を走った。

 

 

 

「いかん!!」

 

 

 

既に自分達は敵艦の射程距離に入っている事に気がついたシウスは、指示を下そうとするが、どのような指示を下すべきか迷う。

 

 

 

「敵艦発砲!!」

 

 

 

指示を下すより先に尾張が砲撃を開始した。

 

 

 

「回避だ!回避しろ!」

 

「司令、ご安心を。敵艦は我々より30㎞も離れています。当たる心配はありませんよ。」

 

「馬鹿か貴様はっ!?あの敵艦の砲が見えないのか!これは命令だ!直ちに回避だ!」

 

 

 

シウスの覇気に押された艦長は、急いで回避を指示する。

 

 

 

その時……………

 

 

 

「うぉぉぉ!!!」

 

 

 

足元から突き上げられるような衝撃で艦が左右に大きく振られ、シウスは壁に叩きつけられる。

 

 

 

「うっ…………何が……」

 

 

 

体から感じる痛みを堪えながら、立ち上がると信じられない光景が広がっていた。

 

 

 

「………………」

 

 

 

なんと、自身が乗り込む艦のマストよりも遥かに高い水柱が上がり、それが収まるとほんの1分前まで健在だった艦が沈没寸前のような状態に陥っていた。

 

 

 

「そんな……馬鹿な!」

 

 

 

爆発の衝撃波は凄まじく、砲撃で砲弾が海面を叩く毎に友軍艦は吹き飛び、宙を舞い破壊され沈んでいく。

 

 

「嘘だ……これは嘘だ!嘘に決まってる!我が皇国軍がたった1隻の敵艦相手に蹂躙されるなど、有り得ん!何かの間違いだ!!」

 

 

非常識な現実を突きつけられたシウスは叫び、怒り、認めようとはしない。

だがそれでも目の前の現実は彼の心に暗い影を落としていく。

 

 

「こうなれば………ヤツと刺し違えてでも、任務を遂行しなければ!」

 

 

もはや選択肢が残されていないと判断したシウスは、残存の艦に敵艦への捨て身の突撃を仕掛けるよう命令を下し、旗艦パールを先頭に生き残りの100門級、50門級、砲艦が『風神の涙』と呼ばれる動力を全開にして突撃を敢行する。

 

 

「進め!進め!進め!恐れるな!!」

 

 

 

パーパルディア艦隊の威信と伝統を背負った艦隊は、ジグザグ航行を行いつつ、ひたすら突進を仕掛けるが、敵艦に近づく度に味方艦は別の敵艦からの砲撃を受けて撃沈されていく。

 

 

「まだだ!後もう少しで敵艦の懐に入れる!」

 

 

数に任せた突撃も尾張の速射砲とファランクスからの集中攻撃に加えて護衛艦からの砲撃で受けてその数を削がれていき、最後にパールのみとなるが尾張の砲撃の死角となる超近距離にまで接近を仕掛け、友軍艦の犠牲と引き換えに尾張の懐に入り込む事に成功する。

 

 

「思った通りだ!こう近づけば貴様のその巨砲は役に立たないようだな!!」

 

 

シウスは既に事切れていた操舵手の遺体を押し退けて舵輪を握ると勢いよく舵輪を回して艦を回頭、パールの右舷を尾張の左舷に接触した。

 

 

 

「うぉぉぉっ!!」

 

 

火花と摩擦による白煙を散らしながら右舷の砲が尾張の左舷側に接触する。

 

 

「砲に火を入れろ!急げ!!」

 

 

衝撃から立ち直った砲手達が60門の砲に火薬と砲弾を詰めて火を入れる。

 

 

「撃てぇぇ!!!!!」

 

 

砲が一斉に火を吹いた。0距離で放たれた60発の砲弾は尾張の右舷の舷側に全て命中する。

 

 

「……………何だと!?」

 

 

60門ある砲の一斉砲撃は厚さ400ミリ以上ある尾張の舷側装甲表面に僅かな焦げ跡を付けただけに過ぎず、まるで蚊に刺された程度にしか感じていないようであった。

 

 

怪異だ(モンスター)!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

戦艦『尾張』 第1艦橋

 

 

「なんとも、勇敢な敵じゃった………」

 

 

神は尾張に肉薄し、砲撃の末に沈黙したままのたパールの姿を見てそう呟く。

 

 

「敵艦への臨検を開始せよ。ただし警戒は怠るな!」

 

「はっ!」

 

 

直ぐ様、臨検隊が編成され右舷に横付けしたまま沈黙しているパールへと乗り込もうと右舷甲板に出た直後、パールから黒煙と炎が上がり始める。

 

 

 

「全員伏せろぉぉ!!!」

 

 

 

弾薬庫に引火したのか、それとも風神の涙が限界を迎えたのかパールは大爆発を起こし、その爆炎と大小様々な破片が吹き上がり尾張の右舷甲板に降り注いだ。

 

 

『左舷甲板に火災発生!』

 

「消火!急げ!」

 

 

機械室からの遠隔操作でスプリンクラーが作動し、焼けただれたパール破片と甲板に燃え移った炎に瑞が吹き掛けられる。

 

 

「うぅ……」

 

「いてぇ………」

 

「衛生!衛生!」

 

「消火器だ!消火器持ってこい!」

 

 

負傷した乗員達へは衛生員達が対応し、艦内へと収容していす。

 

 

 

「敵艦沈没!」

 

 

 

爆発によりパールは船体後部から海中へと沈んでいく。隊員達は勇敢なパールとその乗員達に向けて敬礼を送った。

 

 

 

この戦いは日本側の圧勝、皇国軍はフェン王国派遣軍全滅、海軍は保有する戦力の1/3と陸軍兵力18万人を失うという史上希に見る結果となった。

この戦果が後の戦闘に大きく影響する事になる。

 

 

 

 

 

続く




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