日本国召喚×不沈戦艦紀伊   作:明日をユメミル

213 / 258
閑話休題:5-10

一ヶ月間のテスト演習に入った試験中隊の訓練は、熾烈を極めていた。軍が用意した訓練プログラムは、新兵器が戦場で役に立つのかを確認するため、グラ・バルカスとの戦争が発生した場合に想定される様々な地上戦を想定されている。

野戦、ゲリラ戦、遊撃戦、格闘戦等、あらゆる状況を想定した地上戦闘訓練により試験中隊の隊員の疲労は早くもピークが迫っていた。

 

 

「走れ!走れ!走れ!」

 

 

各小隊長の掛け声がアイディーン試験場内にある湿地帯に響き渡り、それに合わせて隊員達が泥や草に足を取られながらも試作ライフルとトカレフを携えて走り続ける。

 

 

「前方に敵兵確認!」

 

 

進路上に設置された敵兵を模した案山子や障害物に向けて、各小隊はライフルを撃ち始める。

 

 

「クソ!作動不良だ!」

 

 

一部の隊員の持つライフルが泥により作動不良を起こし、その場で伏せると弾倉を抜いてからボルトを動かし何とか動く様にしてから立ち上がり、また走り出す。

そして、敵との格闘戦が出来る距離にまで近づくと試作品ライフルの銃口に銃剣を装着し、それを案山子や障害物に突き刺しながら、また進んでいくを繰り返す。

 

 

 

 

 

湿地帯での訓練を終えた翌日、直ぐに森林内の訓練エリアへと移動し、対ゲリラ戦訓練が実施される、

先程の湿地帯のようにぬかるんだ地面に加えて、高温多湿のベトナムと似た様な環境を持つこの森林エリアは、この試験場にある訓練エリアの中では特に過酷な場所として知られている。

 

背の高かかったり低かったりする大小様々な木々が密集し、地面は泥でぬかるみ滑りやすく、移動も殆どが足元の悪い獣道しかなく、地形も非常に複雑を極めている。

おまけに、気温も高く湿度も強いため銃等の火薬を使う武器にとっては天敵ともいえる。

 

 

毎年此処で行われている訓練では少なくない数のムー兵が体調不良によりリタイヤしたり、または訓練中の行軍訓練で道に迷い取り残されしまう兵士も続発している曰く付きのエリアである。

そんな中、試験中隊は試作ライフルの銃口に銃剣を装着し、進路上にある草や木から延びる細かい枝などを切り払いながら突き進んでいく。

 

 

 

「あぁ!まただ!」

 

 

特に彼等を悩ませたのは、草と木から垂れ下がる蔦に全長が長い試作ライフルが度々引っ掛ったり、銃口に草が絡まったりして、その度に銃口を手元に引き寄せて取り除き、しばらく進むとまた草や蔦が絡まったりして取り除くなど、同じ事の繰り返しである。

 

 

 

「あぁぁぁっ!またか!」

 

「取り回しが悪すぎるぞ!」

 

 

 

取り回しが悪いライフルを背中に回してトカレフに持ち替えるが、背中で背負っていてもやはり長い銃口故、枝や木に引っ掛かって、転んでしまい身体中泥だらけになってしまう。

今の彼等は、ベトナム戦争でゲリラと敵兵が潜んでいるかもしれないジャングルで戦うアメリカ兵と同じ気分を味わってるのである。

 

 

その時………

 

 

パンパンパンパンパンパン!

 

 

「敵襲!」

 

 

敵襲を知らせる敵役の部隊が使用するペイント弾の発射音に反応した試験中隊は素早く戦闘態勢を整え、拳銃を手にしていた隊員は素早く態勢が整えられたが、試作ライフルを手にしていた隊員は回りの木や枝にライフルの銃口が引っ掛かり咄嗟に戦闘態勢がとれなかった。

 

 

「うわぁ!」

 

「やられた!」

 

 

ペイント弾を受けた隊員には死亡判定がつくため、その場で動けなくなる。

 

 

「ちぃ!応戦だ!」

 

 

試作ライフルからトカレフに持ち替えた隊員が素早く反撃し、敵役を追い返した。

 

 

「クソ!こう言う所だとライフルが役には立たないな……」

 

 

隊員の一人が、地面で泥塗れになった試作ライフルに目を向ける。

 

 

 

 

 

 

 

 

続く




皆様からのご意見とご感想お待ちしております
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。