バルクルス方面に向かう列車の中で試験中隊は、現状確認を行っていた。
「諸君、現状を伝える。レイフォル国境の敵軍は現在、我が軍が駐留しているバルクルス基地方面に向けて進撃しているとの事だ。敵は1個大隊規模との事だが多数の戦車と歩兵を抱えているとの情報だ。その後方にも多数の敵地上部隊が控えてるとの情報もある」
「向かってくるのは先遣隊だと言う事ですか?」
「状況から見て非常にその可能性が高い。我々の任務はバルクルス基地駐留部隊の増援だ。1ヶ月の間に身に付けた新兵器の実力を生かせるように各自は努力してほしい」
中隊長の言葉に全員無言で肯定を示した。隊員達は試作ライフルとトカレフの整備を入念に行う。
その頃、バルクルス基地では、ムー陸軍の駐留部隊が戦闘態勢を整えていた。
「大将、アルーから撤収してきた友軍部隊、到着しました」
「うむ、部隊の編成状況は?」
「ほぼ編成は完了しています。各部隊は所定の位置についています」
「分かった。増援部隊の到着は?」
「予定では30分後に当基地に到着予定です」
「何とか間に合いそうだな。空軍の航空支援は?」
「既に近くの空軍基地に連絡済みです」
「よし、敵を此処から先へは決して向かわせてはならん」
オリエント以下のバルクルス基地駐留部隊の戦意は高く、各部隊は敵が向かってくる方向に向けて展開し、日本から輸入した新装備の性能を生かせるように気合いを入れる。
「大将!」
「どうした?」
「偵察隊より報告です。アルーに到達した敵部隊は、国境を通過しました!」
「早いな。いよいよだな」
偵察隊からの報告にオリエントは覚悟を決めた。
「よし!各部隊に戦闘態勢を取らせろ!恐らく敵の航空部隊の爆撃が始まる筈だ。各対空部隊は待機だ!」
オリエントの命令が通達され、自走高射砲を装備した対空部隊が実弾を装填し、何時でも射撃できるように準備を始める。
地上の戦車壕と窪地で偽装網を被せられていたM42ダスターと、同じく日本から輸入したL90-35㎜高射機関砲がレーダーを始動させ捜索追尾に入った。
「来た!北方向より、敵機来襲!」
レーダー車からの報告に各機関砲は北に砲身を向ける。
「装填よし、安全装置解除、射撃準備よし!」
安全装置が解除され、弾薬が送り込まれると、対空砲部隊の兵士達は引き金を片手に、何時でも射撃出来るように備える。
「来た!敵機確認!」
夕方の空に多数の飛行物体が目視で見える様になってきた。数はおよそ30程で殆どが双発のベガ型爆撃機でその回りをアンタレス型戦闘機が守っている。
「目標、敵爆撃機」
レーダーは爆撃機を中心に照準を絞る。
「まだだ。もう少し引き付けろ」
対空砲部隊の指揮官は一撃必中を決めるためギリギリまで敵を引き付ける様に指示を出し、L90と連動するレーダーは目標を追尾する。
「目標、捕捉」
「各部、射撃用意!」
敵が射程距離に入ると同時に射撃手が引き金のペダルに足を掛ける。
そして、敵爆撃機が有効射程距離に入ったと同時に指示が降りた。
「撃てぇ!」
合図と同時に20門近いL90が火を吹き、長い砲身の先端から曳光弾と徹甲弾、榴弾が空に向かって打ち出された。
続く
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