バルクルス基地へ向けて飛行する、グラ・バルカス帝国陸軍レイフォル方面軍レイフォリア基地所属の第74爆撃連隊は、夕方で日が落ちつつある空を綺麗な隊列を組んで飛行していた。
「大佐、間も無く爆撃目標です」
「よし、各機は何時も通り爆撃態勢に」
第74爆撃連隊の主力機であるベガはその場で爆撃のための攻撃態勢に入る。
機体の各所に設けられた銃座に座る射撃手は、グティ・マウンを撃墜したムーの新型機を警戒し機銃を入念に点検し、周囲の守りを固める。護衛のアンタレスも周囲の警戒のため、隊列を組み直す。
「良いか?警戒は決して怠るな!どんな些細な事でも絶対に報告しろ」
第74爆撃連隊を指揮する『エノーラ・カー』大佐は、事前にグティ・マウンに関する情報を聞き、異常な程に警戒していた。
「大佐、目標照準に入ります」
「爆弾倉開け!さっさと荷物を落として帰るぞ!」
エノーラは無事に帰りたいという思いから、爆撃を急かす。ベガ全機が高度を下げて爆弾倉を開けて爆撃態勢に入った。
「目標捕捉!」
「投下!」
その合図で爆撃手が爆撃の投下スイッチを押そうとした瞬間、エノーラが乗り込む指揮官機の左右横を飛行していたベガの胴体と主翼を光の塊が貫き、炎上した。
「6号機、7号機被弾!」
「何っ!?」
外を見ると、2機のベガは主翼の片方を失い錐揉み状に落ちていった。
「敵襲!全機、周囲を警戒!」
爆撃隊は一様に周囲を警戒する。だが周囲に敵航空機の姿は無かった、下を見ると、バルクルス基地の北側の草原地帯に光点が見えた。すると多数の光弾が爆撃隊に襲い掛かり、更に4機が被弾した。
被弾した4機は何れも、大きく破損しながら墜落していく。
「対空砲だ!全機高度を上げろ!」
「大佐、爆弾が重くて上昇に時間が掛かります!」
「なら早く爆弾を捨てるんだ!急げ!」
「了解!」
爆撃隊は爆弾を捨てて上昇に入る。捨てられた爆弾は一発たりともムー軍やバルクルス基地に落ちる事なく何もない平原にクレーターを作るだけだった。
「敵機、上昇に入りました!」
「よし!そのまま奴らを追っ払え!」
地上から高射機関砲を射撃していた対空部隊は高度を上げて待避する敵爆撃隊に更に追い討ちを掛ける。
L90とM42は射撃を続け、弾切れになれば即座に弾薬を補充して完了と同時に射撃が続く。
「撃て!撃ち続けろ!銃身が焼け付くまで撃ち続けるんだ!」
対空砲の指揮官はアドレナリンが沸いてるのか、顔を真っ赤にしながら叫ぶように指揮を続ける。
敵爆撃隊の護衛に就いているアンタレスも高度を下げて地上へ機銃掃射を仕掛けるが、対空砲火に邪魔されて近づけない上に、運悪く機銃弾の回避に集中し過ぎて地上に激突する機体も現れる。
爆装していないアンタレスは現場空域から待避し、爆撃隊と共にレイフォル方面へ向けて撤退していった。
「やった!追っ払ったぞ!」
射撃を終えた対空部隊は敵の第1陣を追い払えた事に喚起する。
「油断するな!直ぐに敵の地上部隊が来るぞ!弾の補充を急げ!」
対空部隊は直ぐに使い果たした弾薬の補充に走り回る。
前方で控えていた本隊は、敵地上部隊との戦闘に備える。
「大将、増援部隊が到着しました!」
そんな中、アーレイに増援部隊到着の報が入った。
基地内へ続く線路をアイディーン試験場からやって来た試験中隊を乗せた貨物列車が入る。停車場で停止した貨物列車からし中隊の隊員達が降りてくる。
「あれが噂の新兵器か」
実験中隊の隊員が所持している試作ライフルと迷彩服姿にアーレイはそう呟く。
試験中隊はアーレイの目の前で、整列する。
「閣下、陸軍試験中隊全隊、増援部隊として参りました!」
「ご苦労!では早速だが配置に就いてくれ!」
「了解!」
到着早々、彼等は基地駐留部隊と連携し各々の配置に就き、貨物車両から降ろされた61式改は駐留部隊の戦車隊の指揮下に入り、所定の位置に就いた。
続く
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