バルクルス基地駐留部隊とグラ・バルカスとの衝突の一日目はムー側の優勢で幕を閉じた。
バルクルス基地内では戦闘で負傷した負傷兵の手当てと、部隊の再編、弾薬の補充が行われていた。
「そこの負傷者の手当てを優先だ!」
「こっちにも弾薬を回してくれ!大至急だ!」
基地内に負傷者が次々と運び込まれていき、衛生兵と看護兵が手当てを行っていく。
また別のエリアでは戦闘で損傷、または使用不能となった車両が運び込まれていく。
「また手酷くやられましたね……」
マイラスはヴィットマンの1号車で牽引されてきた、大破した61式を見てそう呟いた。
「えぇ………」
ヴィットマンもマイラスの言葉にそう答える。
「乗っていた乗員が全員助かったのが不幸中の幸いでした………」
「………報告書を読みましたが、貴方の61式改は損傷は無かった様ですね」
「はい。爆発反応装甲のお陰です」
大破した61式を牽引してきたヴィットマンの1号車は、爆発反応装甲の一部が吹き飛んでいるが、車体には傷は殆ど見られない。
「爆発反応装甲の有効性が示されましたね。これで61式には改良の余地があると言う事が分かりました」
マイラスは61式にはまだ改良や改善の余地は残されているという事に、今後の改良に生かそうと思った。
「マイラス少佐、この大破した61式はどうなるのですか?」
「マイカルにある三菱の工場に戻されるでしょう。車体と砲塔は穴だらけですし、直すよりもスクラップにした方が早いでしょうね」
スクラップにするかどうかは、マイカルの三菱重工が判断する事になるが、誰の目にも修理は不可能だと分かる程の損傷のため、スクラップになるのは確実であろう。
「マイラス少佐、この車両から使える物をウチの車両に移して構わないでしょうか?」
「構いませんが………何を考えてるんですか?」
「えぇ。私なりの現地改造案がありまして……」
「聞かせてくれますか?可能ならお手伝い出来ますよ」
「お願いします」
夜は更けていき、バルクルス基地は敵の再侵攻に備えて、準備に追われていく。
一方その頃、ムーとレイフォルの国境を跨がっている森林地帯では、グラ・バルカス帝国陸軍バルクルス基地奪還部隊がキャンプを張っていた。此処でもバルクルス基地同様に負傷者の手当て、部隊の再編が急がれていた。
キャンプのあちこちを帝国兵が負傷者の手当てと後送、弾薬の補充、再出撃に備えて奔走している。
そんな中、1人の若い帝国兵が仕事を抜け出して、キャンプのエリア外で煙草を加えながら休憩していた
「あぁ~………やってられねぇ~……」
この帝国兵は、今日のバルクルス基地進撃に参加した1人であり、装備や兵の質でも勝っていると信じて疑わなかった友軍がムーの思わぬ反撃により満身創痍でキャンプに戻り、その事を後方で指揮をしていた連隊長に叱責されてしまい、重苦しい空気に耐えられず抜け出して来たのである。
「第4師団と第3師団が壊滅したのに、上の連中はどうしてバルクルスに拘るのかねぇ?」
地面に寝っ転がり、空気が澄んで綺麗な夜空を眺めながら煙草を吸う。
「仲間も大勢死んだし、こんな所で命張るのもバカらしくなってきたな」
死んだ仲間の顔を思い浮かべながら、彼の心にある感情が浮かび、それをポツンと口にした。
「いっその事脱走してやろうかな?」
そう呟き、煙草を捨てようと立ち上がった瞬間………
「ムグッ!」
突然、何かに口を塞がれ体を後ろに倒された。
何事かと思い、辺りを見回す。
「!?」
彼の目の前には、黒一色の服に平べったい帽子を被った2人の人間に囲まれていた。ふとその2人の手には拳銃とナイフが握られており、彼は直感的に敵である事を理解した。
抵抗しようと体を必死に動かそうと踠くが、戦闘の疲れからか体は殆ど動かせず、直ぐに疲労により動けなくなった。
「敵兵1人を捕獲」
「よし、連れて行くぞ。何か情報を引き出そう」
小声でそんな会話が耳に入る。彼は先ほどの言葉を呟き、そんな事を言う様な自分を後悔した。
だがそんな事をお構いなしに、彼は2人の影に何処かへと連れ去れてしまった!
続く
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