最初の衝突から一夜開け、東の空から太陽が登り始める頃、敵の監視を行っていた特殊空挺連隊からの報告により、敵が早朝を狙って攻撃してくるとの情報がもたらされた。
バルクルス基地では再び戦闘配備命令により、再編成された基地駐留部隊が配置に就いていた。
「今度は早朝からの襲撃か……まだ眠いってのに」
「敵さんはそれ程焦ってるんだろうって事だぜ」
歩兵陣地に居たムー兵がライフルを手に、塹壕に積み上げられた土嚢の隙間の銃眼越しに平原を見張りながら、眠い目を擦る。
「今日の戦闘は空軍も来てくれるんだよな?」
「その筈だ。制空権は今の所、リュウセイ基地の航空自衛隊と空軍が握ってるからな」
その時、部隊間通信用無線機のコール音が鳴り響く。指揮官がマイクを手に取る。
「了解。各員、敵が間も無く此処へ迫ってくる!戦闘配備、実弾装填!」
指揮官からの命令伝達により、各部隊は銃砲火器に弾薬を装填する。
「さて、例の罠に向こうは気が付きますかね?」
「敵に余裕が無ければな………」
その頃、バルクルス基地へ向けて進撃するグラ・バルカス帝国陸軍は持ち前の機動力をフル活用し、バルクルス基地への進撃路上の中間地点にある左右を山に挟まれた渓谷の一本道を進んでいた。
昨日の戦闘結果により、今度はハウンドとシェイファーの装甲戦力を先頭に、後方から歩兵を乗せたハーフトラックが続くという歩兵を守る防御力と火力重視の編成となっている。
彼等は、脇目も振らず、一目散にバルクルス基地がある方向へ突き進んでいく。
だがそんな彼等に、ムーによる罠が牙を剥き始める。
「敵部隊を視認」
昨夜からグラ・バルカス軍を監視していた特殊空挺連隊の1隊が、谷の上から彼等を見ていた。
「爆薬の準備は?」
「完了しています。後は爆破予定地点に彼等が入れば何時でも」
「よし。点火用意だ」
特殊空挺連隊は山の上から、彼等に見つからないよう谷の真上で身を隠しながら、手にしている爆薬用の発火具を手にする。
発火具から繋がれたコードは、グラ・バルカス軍が通る一本道の左右を挟むようにある崖の脆い部分に巧妙に仕掛けられている。
「間も無く爆破予定地点」
「慌てるな……」
発火具を握る隊員を隊長が小声で制止する。
隊員達は道路上に設置した目印を見ながら、合図が来るのを待つ。
「点火用意……………点火!」
合図が掛かると同時に発火具のスイッチが押され、仕掛けられていた爆薬が爆発し、左右の谷の中腹から大小様々な岩や石が土煙をあげながら崩落し、彼等の頭上に振り掛かった。
続く
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