日本国召喚×不沈戦艦紀伊   作:明日をユメミル

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閑話休題:6-1

ムーには、国土を守るための陸軍、海軍、空軍の3つの軍事組織が存在する。彼らはムーやムー国民を守るためにあらゆる軍事力を行使するが、国内における治安維持に関しては日本やアメリカと同様に警察組織が存在する。

ムーの警察組織は首都オタハイトにある国土治安保障委員会をトップとし、ムー国内の警察組織を取りまとめる『警察庁』の指揮下にオタハイトの警察業務を担当する『警視庁』、各地方自治体にも警察署や派出所、交番等、組織としての構成は日本警察と酷似している。

 

彼らの任務は国内で発生する犯罪の取り締まり、治安維持、パトロール等の治安維持を目的とした業務を担い、ムーが近代国家として成長する以前から国内の治安安定に大きく貢献している。

 

 

しかし、近代国家として成長する一方で国内に於ける犯罪も多様化しつつあり、特にここ数年は武器や違法薬物の密輸や密売、それに関連する犯罪等が頻発し、彼等にはより一層の能力が求められるようになった。

それに呼応するように、ムー政府が打ち出した5ヵ年計画により軍民に於ける様々な分野での技術力向上が図られ、それに合わせて犯罪も進化すると予想した国土治安保障委員会も全ての警察組織の近代化と組織改編を決定し、現在国内の警察は近代化に向けての準備が進められていた。

 

 

その一例を見ていこうと思う。

 

 

 

「これが新しい制服ですか」

 

 

オタハイトの町中にある交番では、勤務する警官たちに新しい制服が支給されていた。

 

 

「えぇ。従来の制服よりも軽く通気性に優れた、体の動きにフィットする新素材で作られています」

 

 

警察庁からやって来た担当官は、箱から銀色のボタンと肩に階級章が縫い付けられた紺一色のスーツと白のYシャツ、黒の革製ベルト、金色のムー警察の紋章が縫い付けられた制帽を手にしながら警官達に説明する。

 

 

「デザインも日本の警察官が着用している制服を参考に、より治安組織としてのイメージを向上させました。では各々、試着してみてください」

 

 

警官達は言われるがまま、その新制服を着用する。

 

 

「おぉ~…………」

 

 

着替え終えた警官達は今まで着用していた制服と比べ、その軽さと動きやすさに驚く。

知らない人から見れば、その見た目は日本の警察官そのものである。

 

 

「来月よりこの制服での勤務となり、旧制服は使用不可能となりますのでご注意ください」

 

「「「「「了解!」」」」」

 

 

 

 

 

 

一方で別の場所では………

 

 

 

 

「弾込め!」

 

 

 

オタハイトから南にある陸軍基地では、射撃訓練が行われていた。普段は基地に居る軍人達が射撃訓練を行うのだが、この日射撃訓練場に居たのは軍人ではなく、ムーの警察官を象徴する制服を着用した警察官達だった。

彼等はこの近くの警察署や交番に勤務する警察官であり、普段は軍基地には居ないが今回は特例である訓練が行われていた。

 

 

「あれ?」

 

「可笑しいな……………リボルバーとは勝手が違うからな」

 

 

彼等の手には、ムーの警察で使われているリボルバーではなく黒一色の近代チックな自動拳銃が握られていた。

それは、多様化・凶悪化する犯罪に対抗するため新生アメリカ合衆国から輸入した中古のベレッタ92だった。

アメリカでも一般の警官が使用しているその拳銃は、装弾数が多く、信頼性が高い事からムー警察の次期正式拳銃に選定され、その第1陣である在日米軍の倉庫で保管されていた使い古しの中古品が彼等に回ってきたのである。

しかし使い古されているだけあって、銃のスライドやフレームは塗装が剥がれしまっており、マガジンも傷だらけであるが、一応検査には合格しているものだけを選別して導入しているため使用には全く問題はない。

警官達はリボルバーと勝手が違うベレッタの扱いに苦労しながらも、マガジンに9㎜弾を装填する。

 

 

「弾込め確認!」

 

「弾倉装填!」

 

 

警官達はベレッタの操作に慣れた在日米軍から派遣されてきたアメリカ人教官の指示に従い、15発の9㎜弾が入った弾倉をグリップに押し込む。

 

 

「スライド引け!」

 

 

スライドを引き、第1弾を薬室に装填し、スライド後端にあるセーフティーレバーを射撃位置に回す。

 

 

「構え!」

 

 

全警官が標的に向かって両手で構える。

 

 

「撃て!」

 

 

教官の合図と共に警官達は引き金を引き、射撃を開始した。

『パンッ!』と乾いた銃声が響く中、警官達はアメリカ人教官達から構え方や狙い方のレクチャーを受けながら射撃を続ける。

 

 

「撃つ時はしっかりと銃のグリップを握るんだ!肩の力を抜いて、両足を広げるんだ!」

 

「はい!」

 

 

アメリカ人教官の教えに従いながら、警官達は支給された弾倉が空になるまで射撃を続ける。

 

 

 

 

 

 

さらに別の場所では………

 

 

「これが警邏車か」

 

 

カラッゾ・オートモービル社が保有する新型車のテストコースに複数人の警察関係者とカラッゾ・オートモービル社の担当員が詰めており、彼らの目の前には1台の自動車が置かれていた。

それは日本製のセダン型普通自動車の車体が白と黒のツートンカラーに塗装され、屋根には大型青色灯が取り付けられている。

 

 

 

「はい。これはその第1号です」

 

 

彼等の目の前のこの車両は、ムーにとって初となるパトカーの試作モデルである。

この車両が作られた理由は、それまでのムー警察はパトロールには自転車かバイクしか使用しておらず犯罪者の追跡には不十分である事と、犯罪者に対する威圧に対して効果があると判断した事にある。

試作モデルは日本の大手自動車メーカーの中古車を改造したものだが、パトカーとしての性能は充分に満たしている。

 

後は、これを警察が導入するかしないか決定する段階にまで来ており、導入決定となればムー警察は恐らくこの世界では初めてのパトカーを保有する国となる。その分、カラッゾ・オートモービル社にとっては軍以外からの公的機関からの受注が見込めると踏んでいる。

 

 

 

「ではご試乗お願いします」

 

 

社員に促された警察関係者はパトカーに乗り込み、それぞれ助手席と後部座席に座る。

車内もパトカーらしく、新しく導入された小型無線機や、サイレンと拡声器の操作パネルが設置されている。乗り心地もベース車両そのままで、非常にゆったりとしている。

 

 

「ではコース内を走ります」

 

 

カラッゾ社専属のテスト員がステアリングを握り、エンジンを掛ける。

周囲を確認してからシフトレバーをドライブの位置に入れてから、ゆっくりとアクセルペダルを踏み込み走り出した

 

 

 

このように、ムー警察も近代化に向けての組織改革に向けて動き出していた。

 

 

 

 

 

続く




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