観閲式決行当日のオタハイトは、普段より大いに賑わっている。
警視庁本庁舎から中央官庁街に続く国道1号線の大通沿いには観客用のスペースが設けられ、パレードのルート上にある商店は警備の都合上、数日前から閉店している。
今回の観閲式には警視庁警備部内に新設された第1から第5までの機動隊5個中隊による行進、パトカーとバイクを主力とする交通機動隊の車両行進、化学兵器や爆発物事案を担当する特殊武器対策部隊等が参加する予定となっており、これらの隊は警視庁本庁舎から中央官庁街にあるムー国王や来賓が待っている王城前の広場まで行進し、国王のラ・ムー以下の来賓から祝辞の言葉を貰う事になっている。
当然、行進が行われる国道や王城前の広場には厳重な警備が敷かれる事となっており、これらは式に参加しない第6から第8までの機動隊が中心となって行い、それ以外からは交番や派出所の警官や公安部などの裏方までも総動員して行われる。
警視庁本庁舎前の国道では、式に参加する警視庁の新設部隊が整列した状態で待機していた。
「総監、時間です」
「うむ」
彼等が整列している一番前に設けられた台の上に、ムー警察のトップである警視総監が上がりマイクの前に立つ。
『諸君。警視総監のジベールである。本日は晴天にも恵まれ、雲は一つも見られない非常に爽やかな日和である。本日は警視庁始まって以来の新設部である諸君らを、国民や内外に示すための非常に重要な日であると位置付けている。これからのムーの治安を担う君達には大いな期待が寄せられている事を自覚し、今日の観閲式に望んでもらいたい』
警視総監ジベールは訓示を述べ、言い終えるとゆっくり台から降りる。
それから数分後、パレードの開始を告げる花火があがる。
『右向け、右!』
列の一番先頭に居る第1機動隊の中隊長の合図で全ての部隊が右にある国道に体と視線を向け、その場で体を大きく動かし行進の足踏みを行う。
『行進、前へ!』
ジェラルミンの盾を片手に、黒色と紺色の出動服と防弾チョッキ等の出動装備で整えられた第1機動隊が前に進み始める。その後ろを第2、第3、第4、第5機動隊、交通機動隊、特殊武器防護隊が続く。
よく訓練された彼等の行進はぴったりとタイミングが合っており、国道沿いから彼等を見ていた一般市民達はその練度の高さに感心していた
「これは凄い!皆息ぴったりだ!」
「すげぇ……格好いい!」
「こりゃ、ムーは安泰じゃのぉ~………」
多くの市民から歓声を受ける機動隊は内心照れながらも、表情を変える事無く行進に集中し、王城前の広場まで行進を続けた。
続く
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