(あれから、どれくらい経ったんだ?)
痛みが少し収まり、意識を取り戻したラリーは目を覚ます。目の前には軽トラの荷台で迫撃砲の向きを調整している例の二人組の姿が見えた。
(不味い……何とかして止めないと)
だが無線機は壊されている上に、上半身は縄で縛られているため立ち上がる事が出来ないため、二人に飛び掛かって止める事も逃げる事も出来ない。
だが幸いにも、二人の視線は完全にラリーから外れており、意識を取り戻した事には気付かれていない。
(逃げられないなら止めるか、何とかして本部か近くの警官に知らせるしかないか)
この時ラリーは、殴られる寸前に無線で本部にこの場の住所と不審車両を発見した事を伝えていたのを思い出した。
(来てくれる保証は無いが………それまでに何とかあの迫撃砲を止めないと)
ラリーは取りあえず縄だけでも切らなければと、辺りに何か使えそうな物は無いかと見回す。
(これは…)
ラリーのズボンのポケットからタバコが詰まった箱とオイルライターが落ちた。
(しめた!これで縄を焼ききれば)
ラリーは2人に気付かれないよう、身体を横転させながら背中に回されている手でライターを拾いあげる。そのままの状態でライターの蓋を開けると、ライターを点火させ縄に近付ける。
(!?)
ライターの炎が縄と手に当たり、一瞬だけ声が出掛けるが何とか耐える。ライターの火は縄を焼くと同時に、手の皮膚にも僅ながら火が当たるため火傷も負わせる。
(耐えろ!耐えろ!耐えろ!耐えろ!)
自分にそう言い聞かせながら何とな火傷に耐えながら必死に縄を焼ききる事に集中する。
そして徐々に縄が焼き切れて、ほどけていくのが分かる。
(もう直ぐだ!)
そして、縄が焼き切れると同時に縄は完全にほどけた。
(よし!ベレッタはある!)
どうやら縛られている状態では拳銃は使えないと踏んでホルスターからベレッタは奪わなかったらしい。ラリーはその場でゆっくりと立ち上がり、ホルスターからベレッタを引き抜き、スライドのセーフティーを解除する。
「動くな!!」
ドスの効いた声でそう叫び両手でベレッタを構える。2人は驚いた表情でこちらを向く。
「どうして!?固く縛ったはずなのに!」
「ヒラとはいえ警官を舐めるなよ。二人ともそこから降りろ!」
「ふん!人殺しに慣れてないサツなんかどうせ撃てやしないんだ!」
1人が煽る様にそう言う。
だがラリーは問答無用と言わんばかりに上空に向けて3発程、威嚇射撃を行う。
「撃ったのかよ!?コイツ本気だぜ!」
「こっちが本気だって分かったなら、荷台から降りて地面に両足をつけろ!」
本気と言わんばかりの表情に2人は荷台から降りて、両膝を地面につける。
「手をあげろ!そのまま地面に伏せろ!」
「分かった!言う事聞くから撃たないでくれ!」
二人組は両手をあげて地面にうつ伏せになった。
「そのまま大人しくしてろよ。えぇ10時18分、傷害罪と公務執行妨害、危険物所持使用未遂の現行犯で逮捕する」
ラリーは手錠を取り出し、2人の片腕に手錠を掛けた。
その直後、サイレンが聞こえてきた。
「ようやく来てくれたか」
目の前に交通機動隊とパトカー1台と、機動隊と特殊武器対策部隊を乗せたトラック3台が到着した。
「大丈夫か!?」
パトカーからラリーの上司である巡査部長が真っ先に駆け寄ってくる。
「大丈夫です。頭と手を怪我しましたが、実行犯はこの通り逮捕しました」
「そうか、よくやったぞ!二人を連れていけ!」
巡査部長は部下にそう命令し、逮捕した2人はパトカーに連行されていく。
「おい警察!良いこと教えてやるぜ!」
そこへ実行犯の1人が声をあげる。
「今、王城前の広場に国王と他国の代表が居るだろ?実はよぉ、其処には俺らの仲間が居るって言ったらどうするよ?」
その言葉にラリー達は戦慄した。
「おい!…どう言う事だ!」
「そう言う事さ!仲間は俺らがしくじっても、予定時間には行動を開始する。王城前は地獄に変わるだろうな………」
「貴様!!言え!仲間の人数は?武器は?」
「………………………………」
実行犯はそこから何も言わなくなった。
「直ぐに警備本部と式本部に連絡だ!」
「了解!」
彼等の仲間の存在は直ちに式本部と警備本部に伝えられ、王城前広場周辺に警戒態勢が敷かれ、ラ・ムーと国賓達も安全が確認されるまで避難する様に伝えられた。
続く
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