日本国召喚×不沈戦艦紀伊   作:明日をユメミル

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今回より番外編としてロウリア戦争編に突入です


第1話

日本とムーがグラ・バルカス帝国との戦争に突入した中央暦1641年初頭の第3文明圏ロデニウス大陸は、特にこれと言って変わった様子を見せず、年末年始を迎えていた。

先のロデニウス大陸戦争で、日本の介入により戦勝国となったクワトイネ公国とクイラ王国は日本との交易開始から2年で大きく変貌を遂げていた。

 

 

クワトイネ公国首都マイ・ハークは、2年前から比べると大きく発展を遂げており、道路は石畳から黒いアスファルト道路になり、日本からやって来た舗装会社の社員や現地で雇われた現地人達が工事車両を操りながら道路の舗装を行っており、日本から輸入したトラックやバイク、自転車が信号機や交通整理員の誘導で走り回っている。

特に最近では、クワトイネ公国政治部会が日本の首都東京の千代田区霞ヶ関にある国会議事堂を中心とした中央官庁街をモデルにした『マイ・ハーク中央官庁街並びに首都圏整備計画』により、それらの工事や資材運搬のため人や車の出入りが激しくなっている。

 

 

 

「変わったな……このマイ・ハーク」

 

 

 

公国政治部会が置かれる予定である建設中の議事堂の2階から、工事の進捗確認を兼ねた視察にやって来たカナタは、まだ窓や窓枠が貼られていない2階からマイ・ハークの変貌を見ていた。

 

 

「つい2年前までは、こんな光景を見るなんて夢にも思わなかったな」

 

 

カナタは日本と接触したつい2年前からマイ・ハークで政治のトップとして議員や国民をより良い道へと導くための努力を重ねていた。穀物や野菜、家畜、肥料を日本へ輸出した対価として日本、そしてつい最近国交を締結した新生アメリカ合衆国から輸入した技術と両国からの技術指導等の手厚いサポートにより、クワトイネは信じられない程に発展した。

外交面でも、列強入りを果たした日本の仲介によりムーやミリシアル等の列強国や、パーパルディアを始めとしたフィルアデス大陸にある72ヶ国との交易が本格化した事で、貿易や物流も加速しつつある。

 

 

 

「この発展を維持するためには、何としてでも安定的な平和を実現しなければ」

 

 

 

カナタの心の中には一抹の不安があった。

それは、世界に対して宣戦布告と言う暴挙に出たグラ・バルカス帝国の存在と、隣国のロウリアとの事だった。今の所、グラ・バルカス帝国の驚異は第3文明圏に深刻な影は落としていないものの、先のロデニウス大陸戦争で敗戦国となった旧ロウリア王国は戦争後に民主国家となり、国名を『ロウリア民国』と改名していた。公国とクイラ王国とは去年の中頃に国交再締結・平和条約を結んでいる。

 

 

ここまで来ればロデニウス大陸は安定していると思われているが、大きな問題が残されていた…………

 

 

 

 

 

それはロデニウス戦争で敗北した旧ロウリア王国軍の旧体制派の軍人や諸侯が、王国南部を中心にロウリア民国と睨み合っているのである。彼らはロウリア王国敗戦後に軍の指揮系統から離れた脱走兵と、それを受け入れた旧体制を推進していた南部諸侯から成っており、新体制となったロウリア民国を『日本と亜人共の傀儡』として批判し、南部地域を中心にロウリア統一を目的とした『ロウリア人民共和国』として一方的な独立を宣言していた。

 

無論、日本・アメリカ・クワトイネ・クイラ・パーパルディア等の列強国は彼らを国としては認めておらず、ロウリア人民共和国を『南ロウリア』、ロウリア民国を『北ロウリア』と便宜的に呼称している。

現在、ロウリア南北は国の中心部を流れている『ロウ・ハーク川』と中央山地を国境代わりにして、両国軍の国境警備隊が睨み合っている状態であるが、双方の警備隊による乱闘騒ぎや亡命騒ぎ、更には興味本位で無断越境した現地人が拘束されるなどのトラブルが絶えず、何時何のキッカケで南北が衝突するか余談を許さない状態である。

無論それはロウリアだけの問題ではなく、公国も南ロウリアに何時侵攻を受けるか分からない状態であり、3国の国境が連なる中央山脈に配置されている国境警備隊と南部方面を担当する公国軍第3師団も常に臨戦態勢を整えている。

 

 

 

 

 

「首相!日本国大使館より緊急連絡です!」

 

 

 

物思いに浸っていたカナタの元へ、秘書官が慌てた様子でやってきた。

 

 

「何事です?」

 

「日本の人工衛星が南ロウリア軍による大規模な動きを捉えたとの事です。南ロウリア軍が我が国の国境付近に集結しつつあるとの情報を持ってきてくれました!」

 

「それは………直ぐに閣僚を集めてください!緊急の対策会議を開きます!」

 

「分かりました!」

 

「それと、首相権限で公国軍と国境警備隊に防衛出動待機を命じてください」

 

「はい!」

 

 

カナタは嫌な予感が的中した事に頭を抱えながら、既に完成している議事堂地下にある対策室へと急いだ。

 

 

 

 

 

 

続く

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