日本国召喚×不沈戦艦紀伊   作:明日をユメミル

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第9話

中央暦1640年 8月6日 エストシラント南方400㎞上空。

 

早朝の薄暗い空を、航空自衛隊のE767早期警戒機『AWACS』が飛行していた。

胴体上に装備されているAN/APY-2レーダーが収められた円盤状の巨大なレドームが回転し周囲800㎞の空域を隈無く捜索している。

原型のB767では客室である箇所には様々な情報が集約する管制室がある。此処にはレーダーや味方同士のデータリンクで得られた情報が集約されコンピューターにより高度に処理、味方にリアルタイムで送信されるまさに空飛ぶ司令室となっている。

 

電子機器冷却用のエアコンが効いた管制室内ではモニターや通信システムを操作する管制官が情報収集と解析を行っている。

 

 

「レーダーコンタクト。目標周辺上空に飛行物体を探知」

 

 

レーダー員の報告が入り管制官が反応する。

 

 

「数は?」

 

「20。速度100ノット」

 

 

AWACSに装備されている戦術データシステム『リンク16』によって、AWACSが得た情報は作戦に参加している全ての戦闘機と爆撃機に共有されている。既にこの時点で、エストシラントに向かっている航空部隊には情報は行き渡っている。

 

 

 

 

 

エストシラント北方 上空

 

 

F-15イーグルを改造して作られた元在日米軍所属のF15Eストライクイーグルが夜明け前の空をF100エンジンを轟かせながら飛行していた。

戦闘爆撃機である本機の胴体下ステーションにはレーザー誘導爆弾ペイブウェイⅢが搭載されており、自衛用のAIM-9Xサイドワインダー以外を全て爆装に振っている。

そんな鈍重のストライクイーグルを護るようにF-15Cの飛行編隊が空自のAWACSからの情報を基に編隊を組んで目標に接近しつつあった。

 

 

『レーダーコンタクト!』

 

 

F15Cのレーダーが最初に目標を捉えた。

AWACSからリアルタイム情報が各イーグルのHUDに表示され、それを見ているパイロット達は皇国の力の入れ様に呆れ返る。

 

 

『警戒だけで結構な数飛ばしてやがる。流石は自称列強ってところか?』

 

『奴等、俺達に全て見られてるって気付いてると思うか?』

 

『気付いてたらこんなに密集してチンタラ飛んでるかよ』

 

 

『Hummer、This is aster。Kill target 』

 

 

彼らの会話を遮る様にAWACSから一斉通信で攻撃開始の指示が入る。

 

 

 

『Roger、kill target。さて、連中には眠ってもらうか』

 

 

イーグル全機が目標に向けてレーダー照射を掛け、ミサイルロックを掛ける。

 

 

『all Hummer、FOX-1 fire』

 

 

 

5機のイーグルからAIM-120中距離アクティブミサイルが放たれ、マッハ4の速度で目標に向かって飛び去っていく。

HUDにはAIM-120からのシグナルと敵を示すシグナルが表示され双方の距離が一気に縮まっていく。

 

 

 

『target splash』

 

 

全ミサイルは目標を全て命中しHUDから敵のシグナルが次々と消失する。ここまで僅か2分、敵はミサイルを視覚に捉えられず撃墜されたと誰もが思った。

 

 

 

『これで連中も気が付いたろ。爆撃隊はそのままターゲットに向かって直進!』

 

 

 

護衛が下がり、F15Eが皇都に向かって直進する。

 

 

 

 

 

 

 

皇都エストシラント カイオス邸

 

 

 

「時間です」

 

 

カイオスの書斎では、カイオス本人と特殊作戦群とシールズチームが外を見ている。

 

 

「何が始まるんだ?」

 

「最初の一撃です」

 

 

鈴木が部下に視線を向け、部下はそれに黙って頷くと、コンテナからOD色に塗られたプラスチック製の箱のような物を取り出す。

 

 

「これは何なのだ?」

 

「味方の攻撃を誘導するための道具です」

 

 

彼らが取り出したのはレーザー誘導爆弾を地上の兵士が目標へ向けて正確に誘導するためのレーザー照射誘導装置だ。

 

 

「目標を石器時代に還す」

 

 

ハットリは無線で全員に作戦開始の合図を伝え、隊員達はレーザー誘導装置を作動させ目標の建物へ向かってレーザー照射を掛ける。

 

 

「こちらエコー、ヘルファイア。スタンバイオールグリーン」

 

『ヘルファイア、drop redy now』

 

 

無線が切られ、黙って待っていると暗闇の何処からか雷のような音が聞こえてくる。

 

 

「この音は…」

 

「見ててください。これが我々の戦い方です」

 

 

ハットリがそう発した直後、北の方角から激しい爆音が何回も聞こえてきた。

 

 

「なんだ!?」

 

 

立て続けに爆音が続き、僅かに窓が揺さぶられる。

窓から外を見ると一瞬だけだがオレンジ色の閃光が見えた。

 

 

「あそこは確か陸軍基地がある場所……あそこは防備が完全の筈なのに、いったいどうやって?」

 

「陸上の敵本拠地を真正面から攻めるのは至難。ですが真上からだったらどうですか?」

 

「真上………まさか空から陸軍基地を攻撃したの言うのか?しかもこんな暗い中をか?」

 

「えぇ。これが我々の戦い方です」

 

 

皇国首都の防衛能力を一瞬で奪った日本とアメリカの力に恐怖するカイオス。

 

 

「我々も準備しましょう」

 

「あ、あぁ」

 

 

 

 

 

続く

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