空自のファントムによる、南軍の航空基地爆撃成功の報告は直ちにダイダル基地経由でクワトイネ派遣隊へともたされた。
「そうか、成功したか」
「はい。恐らくこれで敵の航空戦力は壊滅できたかと」
大河内は空自の爆撃結果をモーチとヤンマーに伝える。
「そうですか………それは吉報だ。それなら我々は上を気にせず戦えると言う訳ですな」
「えぇ、ですが敵の航空戦力が残存していた場合には備える必要はあるでしょう。今回の空爆で敵航空戦力を全て奪えたかは確実ではないので」
「承知しました。貴国のご協力に感謝します」
その一方で、航空戦力に大打撃を受けた南軍では……
「何だと!?もう一度言ってみろ!」
南軍が事実上の首都と定める旧南部諸侯の本拠地である城塞都市『ピョーヨン』の中心に設けられた議事堂内の会議室に1人の男の声が響く。
「はい同志……つい先刻、我が軍の秘密航空基地が壊滅しました」
「それは分かっている!私が聞きたいのは基地が破壊された原因と何者による仕業なのかだ!」
「現在、首都防空隊のワイバーン1騎を派遣し現状確認に向かわせていますので少々お待ちください同志」
部下からの報告を聞いた同志と呼ばれた男、旧南部諸侯の事実上トップで、現在のロウリア人民共和国の最高指導者『ナーフ・ロウリア』は、「下がれ」と一言だけそう言うと自分専用の椅子に座る。
「さて諸君、何故我が軍の貴重な航空戦力が集結していた秘密基地の存在が敵に知られたのか?原因は何だと思う?」
ナーフは会議室に居る政治員達にそう質問を投げる。
「我々や人民軍の中に裏切り者が居るか、あるいはスパイが居るという可能性が高いものかと」
「そうだ。恐らく原因は前者だ。あの秘密基地は前国王以下数人を含めて我々でしか知らない筈だし、捕えられた国王陛下らの誰かが秘密を漏らしたとしても徹底的に偽装されたあの秘密基地を見つけるのは困難な筈………となると味方の中に裏切り者が居ると言う事になる」
その言葉にその場に居た全員が戦慄した。
ロウリア人民共和国は旧ソ連のような恐怖政治であり、何時何時自分の身に不幸が訪れるか分からない。共和国創設から権力争いを背景にスパイ容疑で何十人と言う政治員が姿を消している事から、その恐ろしさを知っている政治員達は緊張する。誰が自分を貶めようとしているのか分からない中、誰も言葉を発しなかった。
「同志」
そこへ1人の政治員が発言した。
「僭越ながら申し上げます。我々は祖国解放のための戦をしています。今我々がやるべき事は失われた航空戦力をどう穴埋めするかでは無いかと」
その政治員の言葉に顔を真っ赤にしていたナーフは落ち着いた表情になる。
「そうだな。今は如何に戦いを有利に進めるかについて話し合うべきだ。この話は戦いを終えてからに持ち越そう」
その言葉に政治員達は安堵した。
「では今後の戦略について……」
会議はその日の深夜まで続いた。
続く
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