日本国召喚×不沈戦艦紀伊   作:明日をユメミル

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第10話

パーパルディア皇国 皇都エストシラント 皇都防衛陸軍基地。

F15Eによる精密爆撃により被害を承けており、基地司令官の『メイガ』は被害状況の報告を受けていた。

 

 

 

「状況を報告せよ!」

 

「はい!兵員宿舎は全滅し竜騎士隊は全員死亡。待機中のワイバーンの竜舎も同じく全滅!滑走路も破壊され使用不能です!」

 

「クソ!いったい敵はどうやって攻撃を……」

 

「今の攻撃は、空から投下された爆弾による物と思われます。」

 

「空から爆弾をっ!?何て威力だ。」

 

 

その時、新たな報告が舞い込んだ。

 

 

 

「緊急事態!敵の超大型飛行機械多数を確認!」

 

「超大型飛行機械だと!?」

 

 

慌てて外に出て双眼鏡で上を見ると、皇都の遥か上空に見るも大小の飛行機械がいくつも飛んでいた。

 

 

「なんだ……あれは………」

 

 

その飛行機械の中でも一際巨大な黒い飛行機械は見るだけでとてつもない恐怖を感じる。

超巨大飛行機械こと成層圏の要塞『B-52 ストラトフォートレス』は今回の作戦に投入された航空機の中では最大級を誇り、B1やBP-3Cが一回りも二回りも小さく見えてしまう。

かつてのベトナム戦争での米空軍による北爆作戦にて、ベトナムの主要都市のインフラ等を悉く破壊し尽くした成層圏の要塞は今、大量の通常爆弾を抱えた爆弾倉の扉を開き、駄目押しの絨毯爆撃を実行に移そうとしている。

 

 

 

「奴等はいったい何を……」

 

 

 

メイガはB52が何をするのか見当もつかず、只真上に視線を向けている。

その直後、B52から大量の通常爆弾が投下された。メイガは真上から大量に降ってくる爆弾を見て状況を理解した。

 

 

 

「まさか………爆弾っ!全員待避!!」

 

 

メイガがそう叫んだ瞬間、基地内が巨大な爆音と衝撃波につつまれ、メイガはその場で伏せて頭を抱える。

 

 

「うっ………」

 

 

耳の鼓膜を破壊しかねない程の爆音が何回も何十回も、何百回も続く。

 

 

 

(おさまれ!おさまれ!おさまれ!おさまれ!頼むぅぅぅぅ!)

 

 

メイガは耳を塞ぎながら心の中で祈り続ける。

 

 

 

 

 

 

 

やがて衝撃波が収まり、耳から両手を放し立ち上がり回りを見渡す。

 

 

「………………………」

 

 

辺り一帯は炎と黒煙に包まれていた。

整備されていた滑走路は畑を耕したかのように土が盛り上がっていたり大穴が空き、残っていた兵舎、竜舎、食料庫、弾薬庫は崩落。残っていたのはメイガ本人と生き残っていた基地要員のみだった。

 

 

 

「?」

 

 

ふと何処からか雷のような轟音が響き渡る。基地上空を1機のF-15Jが旋回していた。まるで基地をくまなく調べてるかのように飛び回ると、足早に何処かへ去っていった。

 

 

 

 

 

『こちらアタッカー1、攻撃成功。基地の無力化を確認。第2次攻撃の必要なし。』

 

 

爆撃を終えたB52はその場から踵を返し、後続の第2次爆撃を担当だったBP3C、B1の爆撃隊はイーグルによる戦果確認により第2次攻撃を実行する事なく爆弾を抱えたまま、全速力でエストシラント上空から去っていった。

 

 

 

 

 

 

 

同時刻、エストシラント南方沖の海上を尾張と護衛艦6隻が航行していた。

 

 

 

「艦長!米軍と空自の爆撃隊が敵の航空戦力と基地の無力化に成功したようです。」

 

「よし!そろそろ攻撃開始時刻だ。各艦に攻撃準備命令を!」

 

 

尾張と護衛艦隊は尾張を護るように展開し、同行していたアメリカ海軍のミサイル巡洋艦チャンセラーズビル、ミサイル駆逐艦マスティンの2艦は、攻撃準備を終える。

 

 

「攻撃開始!」

 

 

チャンセラーズビルとマスティンのMk41VLSからタクティカルトマホークが打ち出されて闇夜の中を2艦から放たれた20発近くのトマホークはエストシラントの方角へと飛び去っていく。

 

 

 

 

 

皇都エストシラント 南方の港

 

 

皇都防衛の要ともいえる、エストシラントの南方基地の港には多数の戦列艦と砲艦が停泊しており、ある者からすれば一種の感動を与える。

海将『バルス』は皇都が空爆された報を聞き、日本の艦隊がこの場にやって来ると判断、停泊していた第1と第2艦隊に出撃命令を下す。

 

 

 

「しかし、皇都が爆撃された挙げ句に、基地が全滅するとはな。」

 

「しかし首都に直接攻撃とは、敵も中々やりますな。」

 

「今まで上の連中は日本を侮っていたようだが、これからはそうは行かんだろう。我々は全力を持って日本艦隊を相手にしようと思う。」

 

 

 

バルス以下の幹部達に慢心と油断と言った表情は無い。向かってくるなら全力で相手をしようと意気込む。

 

 

 

「皇都が攻撃されたなら、そろそろ此処にも敵からの攻撃があってもいいような物だが…」

 

 

 

バルスには言い知れぬ不安がよぎる。

 

 

 

「海将!!沖から多数の飛行物体を確認!とてつもない早さです!」

 

「何っ!?」

 

 

 

不安は的中し慌てて外を見ると、白い炎を吐きながら多数の飛行物体が信じられない速度で迫ってくる。

 

 

 

「早く迎撃を上げろ!」

 

「駄目です!間に合いません!!」

 

 

 

飛行物体は港近くで一気に上昇すると、まるで意思があるかの如く、自分達が居る海軍本部へと降下してくる。

 

 

「いかん!皆逃げろ!!」

 

 

バルスが叫び、皆が逃げる。

その直後、飛来したタクティカルトマホークはまさに斧の名前の如く建物や倉庫、兵舎を尽く破壊していき数分で一帯は火の海と化した。

 

 

 

 

続く


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