日本国召喚×不沈戦艦紀伊   作:明日をユメミル

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第23話

空挺団普通科隊と空挺団特科隊が要塞北方から侵入に成功し、敵の主力が集中している北の正門へ向かっている頃、正門では国連軍と敵の主力部隊が戦闘を繰り広げていた。

 

 

「撃て!」

 

 

正門から500メートル手前で、陸上自衛隊の軽装甲機動車と96式装輪装甲車、73式装甲車を装備した普通科隊が正門へ向けて機関銃攻撃を開始する。

 

 

「隠れろ!」

 

 

機関銃攻撃を前に、正門と回りの城壁上に居た南軍兵は身を隠す。

大小様々な銃弾が城壁に使われている石を破壊し穴を開け、そこから壁越しに隠れていた南軍兵士に直撃する。

 

 

「グアっ!」

 

 

銃弾を受けた兵士はその場から地面へと転落したり、転落を免れた兵士も銃弾により大怪我を負う。

 

 

「負傷兵を下げろ!無事な者は直ぐに配置に就け!」

 

「応戦しろ!」

 

 

南軍は直ぐに態勢を建て直し、弓矢を壁越しに放つが、射程距離外にいる国連軍には1本も届かなかった。

 

 

 

「クソ!バリスタと投石機さえあれば!」

 

 

 

既にバリスタと投石機等の対空兵器と重兵器はヘリ部隊の攻撃で全て破壊されており、彼らには弓矢や刀剣類等しか残されていなかった。

 

 

 

 

その頃、要塞北方向から移動中の空挺団普通科隊と空挺団特科隊は今の所、敵に気付かれず移動していた。

偵察小隊が先行して周囲を偵察しているが、敵は全戦力を正門へと集中しているため建物以外に人っ子一人居なかった。

 

 

「中隊長、目標地点まであと5キロです」

 

「偵察隊からの報告は?」

 

「今の所、敵発見の報はありません」

 

「このまま何事も無ければ良いが」

 

 

中隊長は指揮車である高機動車の車内から隊全体の指揮を執り続けていた。

 

 

「目標までの到着時間は?」

 

「後10分です」

 

「前進を急がせろ。敵さんにこちらの存在が感付かれる前に」

 

「了解」

 

 

空挺団は移動速度を早め、南へと急ぐ。

 

 

「中隊長!間も無く目標地点です!」

 

「全車停止!」

 

 

中隊長の合図で車列は正門から3キロの地点で停止した。

 

 

「総員下車!下車後、直ちに戦闘配置!」

 

 

車両から降りた普通科隊と特科隊は直ちに配置に就く。普通科隊は軽装甲機動車を先頭に、特科隊は重迫牽引車から120ミリ迫撃砲を展開し発射態勢を取る。

 

 

「各隊、前進用意よし!」

 

「特科隊、迫撃砲射撃用意!」

 

 

先ず最初に特科隊の重迫撃砲による射撃から始まり、装填役の隊員は迫撃砲の砲口に砲弾をセットし半装填で待機する。

 

 

「射撃用意よし!」

 

「撃て!」

 

 

隊員が手を離し砲弾が迫撃砲内に落ちた瞬間、ドンと迫撃砲から砲弾が打ち出された。

 

 

「普通科隊、前進!」

 

 

同時に普通科隊も前進を開始し、軽装甲機動車と高機動車、トラックに乗り込んだ隊員達が前進を開始した。

 

 

『弾着………今!』

 

 

発射から数秒後、砲弾は南向に居た敵の頭上から降り注ぐように着弾した。

 

 

「何だ!?何が起きた!」

 

 

次々と起こる大爆発に南軍は混乱する。

爆発の度に何十人と言う兵士が木の葉のように吹き飛び、城壁上に居た兵士も至近距離で起きた爆発で転落してきた。

 

 

「あぁぁぁ!」

 

「いてぇぇよ!いてぇぇよ!」

 

 

吹き飛ばされた南軍兵の体には砲弾の破片が突き刺さり、そこから大量出血している。中には手足を吹き飛ばされた兵士が地面を転がりながらもがいている。

 

 

「軍団長!後方に敵影!」

 

「何!?後方だと!」

 

 

部下の報告に後ろを振り向くハスター。

そこには、軽装甲機動車と高機動車を盾にした空挺普通科隊が展開していた。

ハスターは本来ならそこに居る筈の無い敵の姿に何が起きたのか一瞬理解出来なかったが、直ぐに国連軍の意図を理解した。

 

 

「しまった!奴らは伏兵と共に挟撃する気か!」

 

 

ハスターは直ぐ様後方へ向けて兵力を差し向けようとするが、それよりも一瞬早く空挺団が動き出した。

 

 

「撃ち方始め!」

 

 

普通科隊による小銃と機関銃射撃が開始された。雨のように向かってくる銃弾に南軍兵は次々と倒れていく。中には彼らの存在に気付いていないのか、正門を向いたまま背中を撃たれて絶命する兵も居る。

 

 

「射撃の手を緩めるな!中隊前進!」

 

 

普通科隊は車両を盾にしながら前進を開始する。

 

 

「奴等を近付けるな!応戦!」

 

 

ハスターは出せる精一杯の声量で指示を下し、南軍兵は矢を放つ。

 

 

「伏せろ!」

 

 

真上から矢が降り注ぐが、隊員達はその場に伏せるか車両の後ろに隠れたため難を逃れる。

 

 

「あの弓兵を潰せ!小銃擲弾!」

 

 

お返しと言わんばかりに隊員が小銃に06式小銃擲弾を装着し、弓兵部隊に向けて発射した。

撃ち上げられた擲弾は彼らの頭上に降り注ぎ、破片と爆風であっさり蹴散らされた。

 

 

「軍団長!正面の敵が迫ってきました!」

 

 

このタイミングで正面の国連軍地上部隊が要塞に向けて迫ってきた。

後方に待機していた74式戦車が動き出し。要塞の正門へ向けて戦車砲を発射して、砲弾が直撃した正門は爆発で破壊され、レンガと石畳が粉々に崩れ落ちた。

 

 

『戦車前進!前へ!』

 

 

戦車隊は普通科隊の前に出ると、地上部隊の先鋒として要塞突入へ向けて前進する。

 

 

「いよいよこれまでか………」

 

 

ハスターは正門が破壊されたのを見て、もはや敵に抗う力は殆ど残されていないと悟る。

 

 

「こうなれば…………これより最後の命令を下す!残存部隊は各々の判断で敵へ向けて最後の突撃を敢行!」

 

 

ハスターの最後の命令を受けた南軍兵達は覚悟を決め、戦死した戦友の武器や各々の武器を手に前と後ろどちらに向けて突撃を敢行するかを決めて配置に就く。

 

 

「よし!突撃ぃぃぃ!!」

 

 

ハスターの合図で南軍兵は立ち上がり、前と後ろに居る国連軍へ向けて突撃を開始した。

 

 

「血迷ったか!前方に火力を集中!弾幕射撃!」

 

 

空挺団と戦車隊は突撃してくる彼らに向けて容赦ない攻撃を開始する。機関銃と小銃の音が辺りに鳴り響き、その音の中で次々と死んでいく南軍兵達は、仲間の死体を踏み越えて突撃をやめようとはしなかった。

 

 

「撃て!」

 

 

要塞正門手前で突撃してきた彼らに向けて戦車隊が榴弾を撃ち込み、同時に機関銃攻撃を開始し、敵を次々と葬っていく。

上空のヘリ部隊による攻撃も加わり、突撃開始から僅か30分程で敵は負傷者と運良く生き残った者を除き全滅した。

 

 

そして、敵首都ピョーヤンに近い要塞は僅か数時間のうちに占領され、第1師団は首都へ続く橋頭堡の確保に成功した。

 

 

 

 

 

 

続く




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