バイール平野とバンカー要塞を失った南ロウリアは完全に戦争の主導権を失い、今や残り少ない兵力を首都ピョーヤンに集中させ徹底抗戦の構えを見せていた。
ピョーヤンの市街地では一般人が内務人民委員により国民強制皆兵制度により武器を持たされ、女子供問わず軍事訓練に参加させられており、それを拒否した者は見せしめのため容赦なく粛清されていき、首都内には不穏な空気が漂っていた。
そんな町中には今日も爆音が響き渡る。
「避難だ!避難しろ!」
住民達は爆音が聞こえる度に各々の家や近くの遮蔽物に隠れる。
そんな様子を町中にある空き家の2階の窓の隙間から見ていた、タスクフォース332の潜入部隊が無線を使ってい現状を報告していた
「こちらフォックスアイ、首都内に着弾なし」
『了解』
タスクフォース332に所属する日本人2人、アメリカ人2人、ムー人2人の6人で編成された潜入部隊はつい数日前よりピョーヤンへ入り込み、空き家になっていたこの建物を隠れ蓑しながら、待機中のタスクフォース332の本隊と国連軍へ向けて敵首都内と敵の指導者や幹部が詰めている議事堂に関する情報を送り、作戦の最終段階実行のタイミングを図っていた。
「もう数日経つが、此処もいよいよキナ臭くなってきたな。今日も内務人民委員の横暴を見ちまったよ」
「敵さんも必死なんだろうよ。国の命運が掛かってるからな。そう言う動きを見せてるって事は、追い詰められてるって証拠さ。実際に住民達も口には出さないが表情から、もう自分達は負けてるんだって理解してるみたいだ」
だ」
彼等はここ数日の活動で南ロウリアの住民達の心情を理解していた。特にアメリカ人隊員はイラクやアフガニスタンでの経験から敏感にそれを読み取る事が出来るのである。
「住民達ももう上を見限る頃だ。そろそフラストレーションも溜まってる頃だろうぜ。今突っつけばシャボンみたいに簡単に弾けそうだ」
「それなら尚好都合だ。地上部隊の威嚇砲撃が効いてるって証拠だな」
国連軍は敵に対する心理的威圧を目的に、ここ数日間は威嚇砲撃を続けている。勿論、首都内に砲弾が落ちないよう、首都を覆っている城壁の手前に砲弾が落ちるように砲撃し、昼夜不定期で聞こえてくる強烈な爆音と衝撃は数日で住民達や内務人民委員、軍人達に精神に大きな負担を掛けている。
こうする事により、敵を心身共に疲弊させ油断を生む事が出来、叉内部分裂を生み組織立った行動を阻害させる効果もありタスクフォース332や国連軍がより動き易くなるのである。
「もうそろそろ今夜辺りにGOサインが掛かる筈だ。本隊と何時でも合流出来るように準備しておけ」
「了解」
そしてその日の夕方、国連軍上層部はタスクフォース332の作戦実行の許可を出し、作戦は夜間に行われる事となった。
日が暮れて夜となり、時刻が0時を刺す。
「5、4、3、2、1、0。オペレーションスタート」
首都周辺に待機していたタスクフォース332が動き出した。
敵の指導者と幹部を捕獲するオペレーションのため、先ずは脅威となる内務人民委員と首都防衛軍の本拠地と兵舎への攻撃が行われる。
「こちらフォックスアイ、目標をマーク」
潜入部隊は各所に分散し、レーザー誘導装置を目標に向けて照射する。
『こちらノブナガ、これより攻撃を実行する』
ロデニウス大陸南沖に待機していた尾張が動き出した。
「衛星と地上部隊とのデータリンク完了」
「砲撃用意じゃ!」
尾張の9門の主砲がロウリアへ向けられる。
薬室にXM2017誘導砲弾が装填され、衛星と地上部隊とデータリンクで繋がれる。
「砲撃用意よし!」
「撃てぇぇぇい!」
闇夜の海上に尾張の主砲が火を吹いた。
続く
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