日本国召喚×不沈戦艦紀伊   作:明日をユメミル

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第27話

夜の海上を砲炎で照らし出した尾張の主砲から放たれた3発のXM2017はロケットブースターで加速しながら目標方向へと飛翔していく。

超音速で飛翔するXM2017はGPS誘導によりピョーヤンへ向けて飛翔、そして目標上空でGPS誘導からレーザー誘導に切り替わり、燃料切れとなったロケットブースターが切り離される。弾頭が下を向くと、弾頭は重力に従い目標へ向けて降下していく。

 

 

「5、4、3、2、1……弾着!」

 

 

その瞬間、ピョーヤンに3回の爆音が響いた。

首都防衛軍本部庁舎と兵舎から爆炎が上がり、同時に崩落してしまった。

 

 

「目標沈黙を確認。第2目標に切り替える」

 

 

潜入部隊はその場からピョーヤンの玄関になっている城壁正門へと移動した。

 

 

「第2目標マーク」

 

『ノブナガ了解』

 

 

続けて砲撃が行われ、3発のXM2017が正門を吹き飛ばした。

 

 

「第2目標破壊確認」

 

「敵さん、今頃大慌てだろうな。フェイズ2に移行する」

 

 

フェイズ1を終えた潜入部隊はその場から離れると、ある場所へと移動した。

 

 

 

 

 

 

 

 

ロウ・ハーク川からピョーヤン内へ流れ込むピョーヤン川の上流は、ピョーヤンの議事堂裏の池と繋がっている。

突然の攻撃で混乱している首都防衛軍は、議事堂を守るための必要最低限の戦力を残し、幸いにも生き残っていた兵士をかき集めた残存戦力を正門へと移動した。

 

 

 

「チッ!折角寝てたってのによ」

 

「文句言うな。内務の連中に聞かれたら俺らの首は一瞬で飛ぶぞ」

 

「かまいやしねぇよ……どうせ内務の連中も正門に向かっちまって誰もいやしねぇんだからな」

 

 

 

普段より人気が無くなった議事堂裏の池の近くを巡回していた議事堂警備隊の2名が愚痴を漏らしていた。

2人とも眠気が強いのか目に隈が出来ており、足元もおぼつかない様子で、静かで暗い夜を自分達を見つめる視線と池の水面に波紋が走ったのに気付いて居なかった。

 

 

『目標捕捉』

 

 

議事堂の東から少し離れた位置にある2階立ての民家の屋根の上に人影がある。タスクフォース332のスナイパーチームがライフルを手にしながら、議事堂裏の警備兵を捉えていた。

警備兵が背を向けている池の水面から手が伸び、掌を警備兵の背中に向ける。

 

 

プシュ!

 

 

 

銃口に装着されたサプレッサーから弾丸が飛び出し、2人の警備兵は頭を撃ち抜かれ池に向けて倒れるが、2人の体を水面から出ていた掌が受け止めると静かに死体を水中に引き込んでいく。

 

 

『こちらレッドアイ、ターゲットダウン。周囲に脅威なし』

 

『こちらポイズンニードル了解』

 

 

静かに無線交信が交わされると、池の中から迷彩服とM4カービン、HK416カービンで武装した10名のタスクフォース332の陸上自衛隊特殊作戦群の隊員と、元合衆国海軍特殊部部隊ネイビーシールズチーム5を再編した新生合衆国海軍特殊作戦コマンドシールズチーム1隊員、ムー陸軍特殊空挺連隊の隊員が上がってきた。

全身水浸しになりながらも、タスクフォース332の襲撃チームは周囲を警戒しながら素早く態勢を整えると、ハンドサインのみでコミュニケーションをとり、議事堂内に入れる裏口を探す。

 

 

『そこの角を左に曲がって30メートル先に入り口がある』

 

『ザッザッ』

 

 

襲撃チームは無線のボタンをタップしながら了解の意を示し、スナイパーチームの誘導を受けながら議事堂へ入れる裏門へ到達し、素早く解錠して中へ侵入した。

 

 

『アイアンフィスト、こちらレッドアイ。ポイズンニードルが目標へ侵入した。至急火力支援を求む』

 

 

 

スナイパーチームからの要請を受け、ピョーヤンから少し離れた位置で待機していた火力支援班が動き出した。

 

 

『レッドアイ、こちらアイアンフィスト了解!今そちらへ向かう!到着予定時間は10分を予定!』

 

 

森の中に隠れていた火力支援班が乗り込む軽装甲機動車、高機動車、ハンヴィー、L-ATVが動き出す。

 

 

「行くぞ!」

 

 

班を指揮する特殊作戦群の『山本大揮』1尉以下の火力支援班はライトをつける事なく、森の中の車が何とか通れる狭い道を敵が見ていない西方向から議事堂へ向けて移動を開始した。

 

 

 

 

 

その頃、議事堂内への侵入に成功した『トーマス・レイリー』少尉率いる襲撃チームは静かに廊下を壁伝いに移動しながら、目標が居ると思われる場所へと向かう。

移動中に、敵の警備兵と遭遇するが静かに作戦行動をとる訓練によって鍛えられた彼等には造作もなく、抵抗どころか声をあげる隙を与えられる事なく警備兵達は始末されていく。

 

 

 

「此処だ」

 

 

そして、一枚の扉の前にたどり着く。

 

 

 

「こちらポイズンスピアー、目標付近へと到達した。待機する」

 

『了解』

 

 

襲撃チームはその場で周囲を警戒しながら直ぐには突入せず、時が来るまで待機する。

 

 

『こちらアイアンフィスト、位置についた』

 

「ポイズンスピアー了解」

 

 

議事堂西門前に火力支援班が到着し、準備が整った。トーマスはハンドサインで突入準備の合図を出し、チームの隊員が扉の鍵を素早く解錠すると、突入の合図を出した。音を立てないようにゆっくりと扉を開けて中に入る。目の前には貴族が使いそうな如何にもと言った感じの屋根付きベッドがあり、そのベッドの上で布団を被ったまま寝息を立てている男の姿があった。

 

 

ゆっくりと近付き布団を剥がすと、睡眠ガスが入ったスプレーを取り出し、射出口に装着されているマスクをその男の顔に当ててガスを噴射させる。

すると男は一瞬だけ体を動かしたが、直ぐに動かなくなった。チームリーダーは懐から写真を取り出してその男と写真と同一人物か確認する。

 

 

「間違いない。ナーフ・ロウリアだ」

 

「情報通り、髪の色と背丈以外はハーク・ロウリアに似てるな」

 

「よし、回収するぞ」

 

 

襲撃チームはナーフに目隠し、手足を手錠で拘束し万が一目を覚ましても抵抗されないように、してから部屋を後にする。

 

 

「こちらポイズンスピアー、目標確保。これより脱出する」

 

『レッドアイ了解!』

 

『アイアンフィスト了解。これより議事堂に突入する』

 

 

 

すると、議事堂西門が突然爆発と共に吹き飛んだ。

 

 

「Go!」

 

 

西門前で待機していた火力支援班の車両が議事堂の敷地内へと突入した。

爆音と車両のエンジン音で敵襲に気が付いた警備隊は、慌てて兵力を西門へと差し向ける。

 

 

「前方に敵多数を確認!」

 

「撃て!」

 

 

火力支援班は現れた警備隊に対して攻撃を開始した。

軽装甲機動車と高機動車に装備されているブローニングM2とMINIMI、ハンヴィーとL-ATVに装備されているM134ミニガンとMk19自動擲弾銃が火を吹き、向かってくる敵に絶大な火力を浴びせる。

 

 

「スカイドラゴン、こちらアイアンフィスト!現在敵と交戦中!」

 

『アイアンフィスト、こちらスカイドラゴン了解。後3分で到着予定!』

 

「アイアンフィスト了解!到着次第、上空支援を頼む!」

 

 

 

火力支援班は攻撃を続ける。

そんな中、ナーフを確保した襲撃チームとスナイパーチームがやって来た。

 

 

「スカイドラゴンは何時到着する!」

 

「後2分だ!脱出準備は大丈夫か?」

 

「こっちは問題ない!」

 

「分かった!」

 

 

トーマスは山本にそう話し、車両を盾にしながら周囲を警戒する。

 

 

 

 

パタパタパタパタパタパタパタ!!!!!!

 

 

 

 

すると何処からか、ヘリコプターのローター音が聞こえてくる。

 

 

『ポイズンスピアー、こちらスカイドラゴン!現在こちらからポイズンスピアーを確認!そちらからこちらは見えるか?』

 

 

ふと上を見上げると暗闇で肉眼では見えにくいが、真っ黒に塗装されたMH-47Gチヌーク1機とAH-6Jキラーエッグ2機が北の方向からやって来た。

 

 

「確認した!これより着陸地点をマークする!」

 

 

トーマスは着陸地点にストロボライトを設置する。

 

 

 

『着陸地点を確認した!これより上空支援を行う!』

 

 

すると、チヌークを護衛していたキラーエッグは敵の目の前でホバリングすると、ロケット弾を発射した。放たれたロケット弾は敵を吹き飛ばしていき、混乱して一気に逃げ腰となった敵を追い回し味方から引き離していく。

 

 

その隙に、チヌークは着陸地点に着陸し、ランプドアが開かれた。

 

 

「じゃあまた基地で会おう!」

 

「分かった!会えたら酒でも奢るよ!」

 

「約束だ!」

 

 

拘束したナーフを捉えたトーマスら襲撃チームとスナイパーチームは此処で火力支援班と別れ、チヌークに乗り込むと足早に議事堂から飛び立ち、空路で脱出した。

 

 

「我々も此処までだ!弾薬に余裕があるうちに撤収だ!」

 

 

火力支援班は予め用意していた陸路で第2師団が占領したバンガー要塞へ向けての脱出のため、議事堂から飛び出すと、そのまま東方向へ向けて走り出す。

ライトを付けず、隊員のナイトビジョンのみを頼りにした夜間運転で車両は闇夜の街中を東へ向けて進み続ける。

 

 

「班長!前方に検問所!」

 

 

すると前方に、松明を明かりにした敵の検問所が見えてきた。そこには南軍兵が10人程が立っており、向かってくる車両に向けて指を指している。

 

 

「突っ切れ!」

 

「了解!」

 

 

機関銃で検問所に向けて銃撃を加えながら強行突破を図る。敵は慌ててその場から逃げ出した直後、先頭のハンヴィーがバリケードをこじ開けて突破し、そこを後続の車両が続く。

 

 

「よし!このままバンガー要塞へ直行だ!」

 

 

 

障害を取り除いた火力支援班はそのままバンガー要塞に向けてピョーヤンから去っていった。

 

 

 

 

 

それから数時間後、異変を察知して議事堂に駆けつけた首都防衛軍と内務人民委員らはナーフが自室と議事堂内に居ない事に気が付き、敵により連れ去られたと言う報告から大混乱に陥り、指揮系統はメチャクチャとなり、本格的に組織立った行動が出来なくなった。

 

そしてその話は噂として首都内にも広まり、民衆達も指導者不在により、今後の身の振り方について考える者や、これからどう行動すべきか、敵に一矢報いるかで意見が割れる事になり、暴動も発生、それを鎮圧しようと人民軍や内務人民委員との衝突も起き、ピョーヤンは混沌としていく。

 

 

 

 

 

続く




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